
Desig-win 2026のカードデザインを担当されている方の、制作秘話や制作中のエピソードをインタビュー形式で随時ご紹介しています。
今回は、「レトロインクダイブ」のデザインを担当している、すずてぃんさん(以下敬称略)にお話を伺いました。

ーーーまずは、マエデ。でのお名前と、普段のお仕事について教えてください。
すずてぃん:
マエデ。では「すずてぃん」として活動しています。
ベルギー在住で、フリーランスのデザイナー・イラストレーターとして活動しています。「自分の得意なことを仕事にしたい」と思い、現地のデザイン職業訓練校でAdobeの基礎を学び、その後、経験を積むためにマエデ。へ参加しました。
ーーー今回担当されたカードについて教えてください。
すずてぃん:
担当したカードは「レトロインクダイブ」です。
実はこのカード、前作『Desig-win』では「オールドトイ」という名前で収録されていました。ただ、当時の技名や説明文には少し違和感があったんです。例えば説明には「落ち着きのある濃い色を配色することで、レトロな雰囲気を生み出す」と書かれていたのですが、実際のカードを見ると、必ずしも濃い色を使っているわけではありませんでした。
「レトロカラーやヴィンテージカラーを表現する技として、本当にこの説明で伝わるのかな?」
そんな疑問から、今回改めて技名や説明文も含めて見直すことになりました。
前作『Desig-win』収録の「オールドトイ」
ーーーすずてぃんさんは、どうしてこのカードを担当することになったのでしょうか。
すずてぃん:
担当希望を聞かれたときに、「オールドトイの色味が好きです」と伝えたんです。もともと少し古い雰囲気やヴィンテージ調のデザインが好きだったので、その世界観を引き継ぐカードを担当させてもらうことになりました。
「手描きで完成させる」つもりだった
ーーー制作はどのような流れで進められたのでしょうか?
すずてぃん:
私はもともとiPadでイラストを描くことが多かったので、「今回も手描きで完成まで持っていこう」と思っていたんです。
ーーーこの段階では、すべて手描きだったんですね。
すずてぃん:
ラフも手描きで描いて提出していました。ただ、その頃からアートディレクター(以下AD)白旗くんからのフィードバックで何度も言われていたのが、「もっとパス感を出してほしい」ということでした。
手描きで提出したラフたち
ーーー「パス感」という言葉が何度も出てきた、と。
すずてぃん:
そうなんです。でも当時は、「パス感って何?」という状態で(笑)。
私は最後まで手描きで仕上げるつもりだったので、「もっと図形で描いたような感じに」と何度も言われて、ようやく「Illustratorで描いてほしいということなんだ」と気づきました。
ーーー気づいたきっかけは、何かあったのでしょうか?
すずてぃん:
実は、「この一言で分かった」という出来事があったわけではないんです。
最初はiPadで描いたイラストをIllustratorに取り込んではいたものの、手描き感を残したいというこだわりがあって、線の揺らぎなどはあえてそのままにしていました。だから、Illustratorを使えばいいということは分かっても、「求められている表現」はまだつかみきれていなかったんです。
ーーー好きな表現と、求められている表現との間で悩んでいた時期だったんですね。
すずてぃん:
そうですね。「手描きでいきたい」という気持ちはずっとあったので、試行錯誤していました。
iPadで描いたイラスト
転機になった「デザインの作り方」
ーーーその状況が変わるきっかけは何だったのでしょうか?
すずてぃん:
AD白旗くんが、「僕はデザインを作る時、100個くらい事例を集めるんですよね」って話していたことです。その言葉がすごく大きかったですね。
ーーー制作の進め方そのものが変わった瞬間だったんですね。
すずてぃん:
そうですね。それまでは自分のアイデアだけで作ろうとしていましたが、そこからはまず事例を探すようになりました。
図書館で絵本を何冊も読んだり、いろいろな作品を見たりして、「自分が目指したい表現」に近いものを探したんです。すると、手描き感がありながら、ADが言っていた「パス感」も持ち合わせた、ちょうどよく組み合わさってる作品を見つけて。手描き感は最後まで残したかったので、初めてゴールが見えた感覚でした。
ちょうどその頃、言語化シートも配られて、さらにAD白旗くんが他のメンバーへフィードバックしている様子を見る機会も増えました。そのやり取りを見ているうちに、「Desig-win 2026全体として、どんなデザインを目指しているのか」が少しずつ見えてきたんです。
(※言語化シートとは、AD白旗さんがDesig-win 2026の制作メンバーのために用意した、目指すデザインを他人に共有しやすくするためのシート。参考事例を集め、配色や構図など、グラフィックの構成要素を言語化するための項目が用意されている。)
参考を集め、言語化シートでデザインを分解し自分のデザインに落とし込む
ーーー自分のカードだけを見ている時には気付かなかったことが、他の人へのフィードバックを見ることで理解できた、と。
すずてぃん:
そうです。 AD白旗くんがチーム全体として目指す方向性が分かり、そこで初めて「私が作りたいもの」と「Desig-win 2026として目指すデザイン」がつながりました。ADが目指しているゴールは自分の手書き感では辿りつかないんだな、と感じ、制作が大きく変わっていきました。
腹をくくって、すべてをパスで
ーーー方向性が見えてから、制作はどう変わりましたか?
すずてぃん:
チューリップの形を整えたり、黄金比を使ってサイズを検証したり。今まで感覚で作っていたところを、一つずつ整えていきました。
ーーー質感にも工夫があったそうですね。
すずてぃん:
最初はネットで見つけた素材を使っていたんですが、Shさんから「壁とかコンクリートも使えますよ」とアドバイスをもらって。それで、その辺の道を自分で撮ってきました。ベルギー産フィルターです(笑)。
黄金比を使ってチューリップのサイズを調整したりベルギー産のコンクリートを使ったり
ーーーその後、公開フィードバックにも提出されたんですよね。
すずてぃん:
はい。白旗くんから「めっちゃ良くなってる」と言ってもらえて、すごく嬉しかったです。白旗くんに画面上で位置や形を調整してもらうと、本当にどんどん良くなっていって。 最終的には前田さんにも「ゾクゾクする」と言ってもらえて、「やった!」って。
色のハレーションなど最後まで調整はありましたが、最初の手描きだけで作ろうとしていた頃とは、かなり変わりました。
事例を見ることで「なぜ?」を言葉にできるようになった
ーーー今回のカード制作を通して、一番レベルアップしたと感じる部分はどこでしょうか?
すずてぃん:
やっぱり、「最初にたくさん事例を見る」という作り方を知ったことですね。事例をたくさん見ると、「これは好きだけど、こっちの方向にはしたくない」といった違いも見えてくる。そこで「なんでだろう?」と考えることで、自分のやりたいことを言語化できるようになりました。
ーーーこの経験は、普段のお仕事にも活きていますか?
すずてぃん:
めちゃくちゃ活きています。以前は感覚でやっていたことに、ちゃんと理由をつけられるようになりました。「ここをこうしたのは、こういう意図があるからです」と説明できる。理由を説明できるようになると、デザインにも説得力が出るじゃないですか。これは、これからデザインをやっていく上ですごく大きな糧になったと思っています。
ーーー「レトロインクダイブ」の制作は、すずてぃんさん自身のデザインの作り方が変わるきっかけにもなったんですね。最後に、Desig-win 2026を支援してくださった皆さまへメッセージをお願いします。
すずてぃん:
私は技名を考えるリーダーも担当していたんですが、これからデザインがうまくなりたい人たちが「これさえあれば言語化ができるようになる」と思えるものにしたい、という気持ちで作っています。ぜひ、楽しんで使っていただけたら嬉しいです!
※制作途中の画像を含むため、カードデザイン等は一部変更になる場合がございます。
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プロフィール
すずてぃん(ワタナベユイ)
プロフィール:
ベルギー在住の駆け出しイラストレーター兼グラフィックデザイナー
SNSアカウント:
・X:@maakleuk1996
・Instagram:@studiomaakleuk
担当カード:
レトロインクダイブ
リボンスパイラル




