
活動報告 Vol.12
「求人票掲載率78.8%(契約社数ベース)を達成しました。」
でも今日は、この成果の裏側にある
“根っこの現実”と“いまの僕の正直な気持ち” を書かせてください。
これまで僕は、この業界全体の“構造(森)”について話してきました。
しかし、今日は森の上ではなく、
土の下で静かに進んでいる“根”の話です。
■ 1社の求人票 vs リクナビ・マイナビ
最近、全国を回って痛烈に感じています。
義肢装具士の就活はいま、
「1社の義肢装具会社の求人票」 vs 「リクナビ・マイナビ(一般企業連合)」
という構図になっている。
なぜトヨタがリクナビに出すのか?
なぜYahoo!がマイナビに出すのか?
それは、
「うちは有名だから学生が来るはずだ」
という“おごり”を持たずに、
多職種の中で選ばれるために、
必死に魅力を伝えているから。
広告費をかけ、
採用動画を作り、
採用ページを磨き、
学生に「見つけてもらう努力」をしている。
■ ところが義肢装具業界では、まだこう言われる
現場ではいまでも、
「〇〇県で探す義肢装具士は、うちが選ばれるでしょ」
「学校の先生に任せてますから…」
「昔からこのやり方でやってますので…」
しかし、現実は違う。
学生は義肢装具士ではなく、他の職種へ流れていく。
・魅力が伝わっていない
・給与や働き方が厳しい
・求人票が紙で、想いが1mmも伝わらない
そして最も深刻なのは、
大学の義肢装具学科の学生ですら、
義肢装具士の免許を取らなくなってきている事実。
これは、構造が限界を迎えているサインです。
■ 教育者協議会の“外側”に落ちる会社がある
義肢装具士の新卒求人は、多くの学校で
「1校に届いた求人票を、全国の学校に転送する仕組み」
が動いています。
便利に見えますが、この仕組みから漏れた会社は、
学生にとって “存在しない会社” になります。
・紙の求人票は魅力を伝えられない
・学校が知らない会社は選択肢に入らない
・学校のない地域は採用が極端に難しくなる
だから僕は、
78.8%もの契約社数を獲得できたこと自体が奇跡だと思っています。
しかし、この構造の歪みは、さらに深刻な姿で現れ始めています。
■ 北海道2校閉校─“空白地帯”の誕生
北海道の義肢装具士養成校 2校が閉校 することが決まりました。
これで全国の学校は たった8校。
つまり─
北海道と東北が丸ごと“空白地帯”になります。
北海道の大手義肢装具会社は、
これまで道内の学校から学生を受け入れて医療を支えてきました。
しかし今いる在校生が卒業する 令和9年を最後に、
令和10年からは、誰ひとり入ってこなくなる。
これは採用の問題ではなく、
地域医療そのものが崩れる危機です。
義肢装具士がいなくなるというのは、
“職業が減る”ではありません。
“助けられなくなる患者が増える”ということ。
それが、すでに現実として進んでいる。
■ 温かい応援と、閉鎖性。両方に突きつけられた数週間
全国の先生たちは本当に温かく、
「学生のために一緒にやりましょう」
「業界をもっと良くしたい」
そんな前向きな言葉を何度もいただきました。
その一方で、現場では
「先生の紹介があるから伝える必要ないです」
「うちはもう学校の先生にお願いしてますから」
という“閉じた現実”にも出会います。
そのたびに思います。
地元に戻りたい若手はどうなる?
入りたい会社に入れなかった学生は?
努力や実力とは関係のない
“地域構造”で人生が決まってしまう。
胸が締め付けられる瞬間が、何度もありました。
■ せめて─
義肢装具士なら、誰でも戻って来られる業界にしたい。
閉ざすのではなく、開く。
排他的ではなく、ウェルカムに。
学生にも若手にも、地域医療にも、
それが一番いいはずだから。
僕はその未来をあきらめていません。
■ 78.8%。ここからが最大の分岐点
構造の“外側”にいた会社を拾い上げてこれたのはここまで。
しかし、ここから先は僕ひとりでは伸ばせません。
学校の協力が必要です。
協会の協力が必要です。
業界全体が、
「選ばれる努力」を始めるタイミング に来ています。
僕はまだまだ非力です。
悔しいほど力が足りていません。
でも、それでも続ける理由があります。
誰か一人の人生でも、未来でも、
救えるのであれば、それで十分だから。
■ 次回予告
次の投稿では、
「義肢装具士の“最初の3年”が最強のキャリアのパスポートになる理由」
そして
「ジョブハッピーが卒業後36カ月伴走する“第2の専門学校”になる未来」
をお伝えします。



