手縫いの工程はまず革に穴を開けてから縫製をかけます。ミシンではそんなこともせずともガシガシ縫い付けてくれるのですが、手でそんなことはできません。これらを考えるとどうしてもミシンのように高効率で仕上げていくには限界があります。企業やハイブランド商品がミシン縫製である事もうなずけますね。僕の仕立ては使い勝手と革の切り出し効率を考え、どうしてもミシンで縫えない構造もあります。それらを踏まえると必然生産個数には限界があり最終手段は人海戦術一択になります。野球ボールのように側面をつないでいます。僕は今ひとり家で黙々と朝仕事に出る前と、夜家族が寝てからの時間を使い制作しているので人海戦術も使えずこのような小ロット生産を行なっております。おかげさまで一つ一つ品質の確認をしながら確実に妥協なき品をお届けできます。みなさまの応援あっての活動です。ありがとうございます。
そもそも茶芯って何?ですよね。革はもともと生成りと呼ばれるベージュのような薄茶であったり茶色であったりします簡単に言うとそれを「表面だけを染めたレザー」です。よく見かける色のレザーというのはドラムで表裏、革の芯まで浸透させ染めています。そのため断面も表裏も同色。ですがこの茶芯は表面だけですので、裏、断面というのは元の色が残っております。このコントラスト、そしてエイジングに伴い表面の色が禿げてきて茶色が見え始める。この経年変化と十人十色の個性ある表情を見せてくれる事が魅力です。その中でも黒はとくに色の違いが顕著なのでより楽しんでいただける仕立てとなっております。
[直すのは簡単、ただ辿った歴史までは直せない。]ミシンと手縫いの違いを僕の主観で綴ります。まずは長持ち度合いが違います。太さ縫製方法からも手縫い圧勝だと思っています。つぎにステッチの見た目。これも手縫いは美しい。ミシンのように片方からだけ針を通し続けるのとは違い両方から交差して縫っていきます。そのため縫い目に表裏の違いは少なく、どちらから見ても美しい。妥協なき機能性とは見て感じた結果、心地が良いという心を満たす機能も必要だと思っています。そして耐久力があるからこそ、革と共にエイジングする魅力。僕はここにこだわりたい。冒頭にも書いたように直すのは簡単。構造がシンプルだからこそ、そのように作られています。ただ革と同じように歴史を重ねた糸の雰囲気もとても魅力的なものだと感じます。軽くくすんできて生まれる、革との一体感、ロウ引き糸の独特の風合いはミシンで仕立てられたものとは一線を画す魅力です。これをあじわえるのも手縫いで仕立てたこのお財布です。
とにかく選択肢をなくす。これを追求しました。カードポケットはたくさんあるとどうしてもそこに収納したくなる。「このカードはよく使うからここ、これはたまに使うからここ、でも実際使ってみたらちょっと場所違うかなあ。」なんて想像できませんか?さらに言うと、出す時はスッと出せるけどしまう時が面倒、結局財布の空き場所に入れてあとで整理するなんて日々を送っているのが以前の妻でした。極論、よく使うカードなんて状況により変わることもある、増えることもある。だからポケットは最低限、あとは間口を大きくまとめてしまっておけば好きな時に好きな物を出せばいい。間口が広ければ出す時もそんなに抵抗はない。カード収納はこの思想でデザインしました。コインはとにかく出しやすく、お札はマチがなくともちゃんとしまえて出しやすい。使い勝手をとにかく追求したお財布があなたのもとに届きます。どうぞお楽しみにお待ちください。
神は細部に宿るという言葉をよく聞きますが、革製品はコバに宿ると勝手に思っています。コバがどれだけ綺麗かで職人のこだわりを垣間見れると思っています。自論ですので重く捉えないでください。あくまで個人的意見です。コバの仕立ては、みなそれぞれで、作業の順番も使う道具も様々です。革によっても仕上がりは変わります。ぜひ受け取った際はコバの仕立ても楽しんでいただければと思います。




