ただ縫うだけでない手縫いの魅力。革同士の接着、穴あけ、糸の太さ、最後の糸留めだけではなく、途中で万一切れてしまった時でも、すぐにほつれてこないように。修理するまでの数日間も不便なく使えるように。気にかけて縫製を施しています。あなたの手に届く時、より一層愛着の持てる財布に仕上がるように、大切な事を全てお伝えしていきます。
昨日で37歳になりました。より良い1年にしていきます。ボタンが一つである理由、それは[一つしか必要なかったから]です。不要なものは全て排除しました。制作動線すらも効率化しました。本当はボタンすら無いのが理想ですが、それに執着すると別の余計な構造が増えます。目的は、構造をシンプルに本革の素材を存分に楽しめる逸品。見た目ではなかなか伝わらないシンプルな構造で素材を最大限活かした本品を楽しみにしていてください。
手縫いの工程はまず革に穴を開けてから縫製をかけます。ミシンではそんなこともせずともガシガシ縫い付けてくれるのですが、手でそんなことはできません。これらを考えるとどうしてもミシンのように高効率で仕上げていくには限界があります。企業やハイブランド商品がミシン縫製である事もうなずけますね。僕の仕立ては使い勝手と革の切り出し効率を考え、どうしてもミシンで縫えない構造もあります。それらを踏まえると必然生産個数には限界があり最終手段は人海戦術一択になります。野球ボールのように側面をつないでいます。僕は今ひとり家で黙々と朝仕事に出る前と、夜家族が寝てからの時間を使い制作しているので人海戦術も使えずこのような小ロット生産を行なっております。おかげさまで一つ一つ品質の確認をしながら確実に妥協なき品をお届けできます。みなさまの応援あっての活動です。ありがとうございます。
そもそも茶芯って何?ですよね。革はもともと生成りと呼ばれるベージュのような薄茶であったり茶色であったりします簡単に言うとそれを「表面だけを染めたレザー」です。よく見かける色のレザーというのはドラムで表裏、革の芯まで浸透させ染めています。そのため断面も表裏も同色。ですがこの茶芯は表面だけですので、裏、断面というのは元の色が残っております。このコントラスト、そしてエイジングに伴い表面の色が禿げてきて茶色が見え始める。この経年変化と十人十色の個性ある表情を見せてくれる事が魅力です。その中でも黒はとくに色の違いが顕著なのでより楽しんでいただける仕立てとなっております。
[直すのは簡単、ただ辿った歴史までは直せない。]ミシンと手縫いの違いを僕の主観で綴ります。まずは長持ち度合いが違います。太さ縫製方法からも手縫い圧勝だと思っています。つぎにステッチの見た目。これも手縫いは美しい。ミシンのように片方からだけ針を通し続けるのとは違い両方から交差して縫っていきます。そのため縫い目に表裏の違いは少なく、どちらから見ても美しい。妥協なき機能性とは見て感じた結果、心地が良いという心を満たす機能も必要だと思っています。そして耐久力があるからこそ、革と共にエイジングする魅力。僕はここにこだわりたい。冒頭にも書いたように直すのは簡単。構造がシンプルだからこそ、そのように作られています。ただ革と同じように歴史を重ねた糸の雰囲気もとても魅力的なものだと感じます。軽くくすんできて生まれる、革との一体感、ロウ引き糸の独特の風合いはミシンで仕立てられたものとは一線を画す魅力です。これをあじわえるのも手縫いで仕立てたこのお財布です。




