
【ついに、その時がやってきた】
そんなもやもやを抱えながらも、相変わらず名古屋と東京を行ったり来たりする日々。
私は特別養護老人ホームに籍を置きながら、研修事業部として初任者研修や実務者研修の計画を立て、自らも講師として教壇に立っていました。
認知症紙芝居の伝え手として活動する中で、私は【本当に伝わる伝え方】を少しずつ肌で実感するようになっていました。だからこそ、余計に胸の奥の迷いが膨らんでいきます。
「自分が今やっている研修は、ただ単にテキストをなぞるだけのもの…このままでいいのだろうか……」
「暮らしを支えるプロ」を育てるための、本当の教育とは何なのか。
一人で答えの出ない問いを抱えていた、まさにそんな時でした。
訪れたのは、大阪府岸和田市で開催された「認知症紙芝居の全国大会」
実は、SNSを通じてその人の存在だけは一方的に知っていました。
全国大会の会場に向かうため、エレベーターに乗っていた時のことです。
扉が閉まる直前、慌てて滑り込んできた大柄な男性がいました。
そう、その人が稲岡でした。
同じ認知症紙芝居のメンバーだという親近感(ただそれだけだったのですが)、私はごく自然に、「こんにちは!」と声をかけたのです。
けれど、その時の稲岡の表情と、返ってきた言葉だけは今でも忘れられません。
「えっ?!……あ、どうも」 ……まさかの、そのひと言だけ(笑)。
全くの愛想なし。
おまけに見上げるほどの高身長でしたから、私の第一印象は「は?なんか怖い人……かかわらないでおこう!」でした。
代表の稲岡は「人とのつながりを大切にする人」なんて言われていますが、私と代表のリアルな出会いは、お世辞にもドラマチックとは言えない、なんとも不器用で冷ややかなものだったのです。
少し長くなってしまいましたね。
次回は「は?」が「ん!?」になったお話です。



