
【研修前の30分、人生の分岐点】
岸和田での衝撃的な(?)出会いから3ヶ月。
有言実行、本当に稲岡が私の勤務先である特養へと来てくれました。これが、後に続く私たちの活動の「名古屋初上陸」の瞬間です。
当時、私は「講師」という仕事に対して大きな壁にぶつかっていました。資格を取らせるためだけの、中身の薄い講義。「これでいいのかな」という終わりのないモヤモヤ。
……と、ここまでは研修のお話のようですが、実は、私の運命を大きく変えたのは、その後に始まった研修そのものではなかったのです。
本当に人生の分岐点となったのは、研修が始まる前の、誰もいない会議室でのわずか30分間でした。 実は稲岡が名古屋に来る前から、私は少し悩みを話していました。
そしてあの日、目の前にいる彼に、ずっと胸の奥に溜まっていた泥臭い本音を、一気にぶちまけたのです。
「実務者研修の講師をしてるけど、本当は何をしていいか分からない」「介護過程って、一体なんなの?」 テキストをなぞるだけ。とりあえず資格を与えたらいい。そんな中身のない状態で、何も理解できていない私が教壇に立っていていいんだろうか……と。
専門職としてのプライドも、先生としての格好つけも全部捨てて、恥を覚悟で話しました。
当時、大手カレッジで同じく実務者研修の講師をしていた稲岡は、私の話をじっと聞いたあと、「僕はこんな風に教えているよ」と、今まで見たり聞いたりしたことのない方法で話してくれました。
研修前の静かな会議室。時計の針がカチカチと進む中、私を包んでいた分厚いもやもやが、スッキリと晴れていくのを感じていました。
次回:目からウロコ。これが「暮らしを支えるプロ」を育てる教育だ。



