
第4回 :対話を終えて。ビジネスの最前線に、120年の「知恵」を投資する
――はじめに
日光商事の川村です。初山社長との対話もいよいよ最後となりました。最終回は、私が今回のインタビューを通じて、一人のビジネスパーソンとして、そして一人の友人として感じた「本物の価値」についてお話しします。
「カビ臭くない」という、何よりの証明
川村(日光商事):今回、初山社長に色々と伺って一番印象に残ったのは、理屈ではなく「100年前の布の臭いが消えた」とか「自分の家のタオルがずっとカビ臭くない」といった、生活に根ざした実感の強さでした。
初山(初山染工):そうですね。炭染は、触れて、使っていただくことで、その良さがわかります。理屈を並べるよりも、100年前の五服(ごふく)を炭で染め直した時にカビの臭いが嘘のように消えたとか、そういう事実が一番の答えだと思っています。
川村:その「実感」こそが、私たちが今回提案しているビニロンとの組み合わせの核になっています。炭が湿気を吸い、ビニロンがその湿気を逃がす。初山社長が「呼吸のサイクル」とおっしゃったあの話、あれはまさに現代のビジネスツールに必要な「合理的」な回答だと感じました。
これからの「ラグジュアリー」
川村:今回の対話を経て、私の中で「贅沢」の定義が変わりました。初山さんは「大量生産品を使い捨てるのではなく、背景を知って長く使う」ことが大事だとおっしゃいましたよね。
初山:ええ。今の世の中は、あまりにも「安さ」や「効率」に寄りすぎてしまった。でも、為替の影響や技術の空洞化が進む中で、これからは「自分たちの足元で作られた本物」を、手入れをしながら大切にするという考え方に戻っていくべきだと思っています。
川村:初山社長が自ら桜の枝を焼いて炭にしているあのお話を聞いて、私は思いました。この炭染の袋を手に取ることは、単なる買い物ではない。初山社長のような職人が守ってきた「足利の誇り」という資産に、私たち自身が投資し、共に未来へ繋いでいくという行為なんだ、と。
足利の未来を、あなたの日常に
川村:初山社長、ありがとうございました。日光商事と初山染工。足利の二つの伝統が手を取り合い、自信を持ってお届けするプロダクトです。皆様のビジネスライフをアップデートし、共に足利の未来を創っていけることを願っています。
初山社長との対談を終えて
全4回にわたる初山社長とのインタビュー連載をお読みいただき、ありがとうございました。
単なる伝統の継承にとどまらない、時代に合わせた「ものづくりの真理」を感じていただけたなら幸いです。足利の誇りを詰め込んだ「炭染×ビニロン」のプロダクトを、ぜひ手元でその価値を実感してみてください。
【予告:次回連載のご案内】 さて、次回からはインタビュー連載の第2弾として、明治の時代から代々この地で繊維の歴史を紡いできた老舗「田中メリヤス工業」の田中社長をお迎えします。
希少な天然素材「ヤク」や「カシミヤ」を使い、35年のベテラン職人が一目一目を手作業で縫い合わせる「リンキング仕立て」の超絶技巧。「染め」の初山さんに続き、次は「編み」と「仕立て」の極致に迫ります。
なぜ本物のニットは「一生モノ」と呼ばれるのか。そして、それを守るためにビニロン袋がなぜ必要なのか。服を愛する方へ贈る次回連載(全3回)も、ぜひご期待ください。



