
2020年、最初にヴィンヤードオーナーを募集した時、100人以上の申し込みをいただきました。
その反響に、びっくりしたことを今でも覚えています。
誰もそんなに関心はないだろうと思っていたので、本当に驚きでした。
みんな、興味があるんだ。
私がやろうとしていることは、もしかすると、みんなにとってもひとつの夢なのかもしれない。
嬉しくもあり、戸惑いもあり、正直、怖さもありました。
この広い土地で、本当にブドウの実がとれるようになるのか。続けていけるのか。
あの頃は、期待よりも戸惑いの方が大きかったように思います。
それでも、皆さんが集まって、一緒に苗木を植えてくれました。
小さかった苗木が、季節ごとに少しずつ大きくなっていく。
「ブドウって、こんなふうに育つんだ」
気候によってこんなに変わる。畑にはこんなにたくさんの生き物がいる。昨日と今日でも、ブドウの様子が違う。
そんな発見を皆さんと一緒に重ねてきました。
継続しない人もいます。一度離れて、また参加してくれる人もいます。ずっと続けてくれている人もいます。
その人の事情に合わせて、出たり、入ったり。
でも、それでいいと思っています。
そして、この畑には本当に気持ちのいい人たちが集まってくれました。
年齢も仕事も、ここに来る理由もそれぞれ。それでも、お互いを気遣いながら、できる人ができることをする。
気がつけば、そんな関係が自然にできていました。
「オーナー」という名前で始まったけれど、今では私にとって、信頼できる仲間のような存在です。
ブドウを育てていたつもりが、いつの間にか、こんなつながりも育っていました。
そして最近、何より嬉しいのが、皆さんの成長ぶりです。
私自身も、皆さんと同じ、経験ゼロからのスタートでした。
トライ&エラーの毎日。
いろいろなやり方を考えて、やってみて、皆さんと共有する。
そうすると皆さんが覚えてくれて、今では私がいなくても、ブドウを見ながら考えて作業ができるようになってきました。
新しい発想でアイデアを出してくれる人もいます。
「それ、やってみよう」と始めたことが、いつの間にか、この畑では当たり前のことになっていたりもします。
一人より二人。二人より10人。10人より150人。
そして150人より、300人。
人が増えれば、できることも増えていく。
農業人口が減っていくこれからの時代に、農業に関わるということは、必ずしも「農家になる」ということだけではないのかもしれません。
少しずつ関わる人が増えて、知恵を持ち寄って、できる人ができる時に手を動かす。
それも、これからの農業のひとつの形なのではないか。
横浜の一角で始まった、この小さな活動。
まだまだ、もっとふくらんでいくのではないかと。
私は願っています。



