ありがたいことに、最近よく聞かれる質問があります。
「なぜ今、紙の新聞なんですか?」
もちろん、スマートフォンは便利です。
情報は一瞬で届きますし、SNSやWebにもたくさんの良さがあります。
それでも、僕が紙にこだわる理由があります。
中学生の頃、部屋でバイク雑誌を読んでいた時のことです。
普段はあまり話しかけてこなかった兄が、ふと部屋に入ってきて、
「このバイク、ええらしいで。」
そう言って、一緒に雑誌を眺めてくれました。
あの時、僕と兄をつないだのは、一冊の紙の雑誌でした。
紙には、不思議な力があります。
回し読みができます。
「これ、読んでみて」と誰かに手渡すことができます。
折り目をつければ、「このページを読んでほしい」という気持ちも伝えられます。
読み終えた新聞が、誰かへのプレゼントになることもあります。
昔、編集長として『JIN』という情報誌を作っていた頃、ある読者の方が創刊号からのバックナンバーを大切に保管してくださっていました。
そのコレクションは、編集部に残っていたものよりも充実していて、正直少し驚きました。
編集者が作った新聞を、一人の読者が歴史として守ってくれていた。
あの光景は、今でも忘れられません。
情報は、届けるだけでは終わりません。
誰かの手から手へ渡り、思い出になり、記憶として残っていく。
僕は、そんな「人と人をつなぐ力」が紙にはあると信じています。
だからANTSは、これからも紙の新聞を発行します。
そして同時に、「紙では伝わらない人」のために、音声でも届けたいと思い、ANTS Podcastも始めました(こうやってリンクを付けられるのもネットの良さですね)。
読むのが好きな人には紙を。
耳で聴く方が届く人には音声を。
大切なのは媒体ではなく、その人に届くこと。
これからも、いろいろな方法で「孤立をつながりへ変える」お手伝いができればと思っています。



