9月にロシアで上演する舞台「古事記」の上演台本の元となった、鎌田東ニ著「超訳古事記」が、クラウドファンディングのリターンに追加されました。※鎌田先生のサイン入り。
鎌田東ニ先生は、思想・哲学・宗教の研究家で、特に古事記に関しては著書多数で、いわば第一人者とも言える方です。
古事記というと、なんだか難しいという印象があるかもしれませんが、鎌田先生の口を通して
語られる古事記は、ものすごくダイナミックで面白おかしく、まるで熟練の落語家が寄席で面白い話をしているのを聞いているかのように、その世界に引き込まれます。それは講演を聞いてもそうですし、著書を読んでもそうです。
その由来、鎌田先生がなぜそこまで古事記に入れ込んで生涯を通して研究されているかという逸話が「超訳古事記」のあとがきに書かれています。
鎌田先生は小さな頃から「オニ」がいる、「オニ」が見えるなど言っては親や周りの人々からとりあってもらえず、そのことによって自分がおかしいのか?周りがおかしいのか?判断がつかず、その狭間で幼いながらに非常に苦しんでおられたそうです。
しかし小学生のと偶然図書室で子供向けに書かれた「古事記」を読んで、衝撃を受けたそうです。「ここに書かれていることはすべて本当だ!すべて真実だ!」
そこには目には見えない世界に存在する様々な神々や、あるいは妖怪や鬼や精霊とも言えるものが描かれており、それらが全て、完全にリアルなものとして感じられ、「自分が見てきたもの、見えているものはやはり本当のものだった」と感じたそうです。
そのことによって鎌田先生にとって古事記は「救いの書」となり、それが原体験となってその後何十年も古事記を研究し続けることになります。
鎌田先生の存在がなければ、もしかしたら舞台「古事記」も実現しなかったかもしれません。
また、鎌田先生は「フリー神主」「神道ソングライター」としても活動されており、私も法螺貝の演奏を聴いたことがあるのですが、まるで古代のはるか昔から響いてくるような特別な響きを感じました。
その鎌田先生が、自宅の和室に寝そべって、何の書物も手にすることなく、口から出るままに吟遊詩人のように古事記の物語を語ったものを、編集者が記録し、編纂したものが、この「超訳古事記」です。
そこに書かれているものは古事記原文とはかなり異なります。話の筋は大枠同じものですが、もっと詩的でリズミカルな、短歌や和歌のような響きがあり、口に出して読むと、祝詞(のりと)やお経を読んでいるような心持ちになります。
そもそも古事記に描かれている様々な物語は、それが書物になるよりずっと前から、人から人へ語り継がれてきた伝説や逸話であり、そもそもが「口で語る」口承の物語だったのです。
原文を読むのはちょっと、、、という方でもこの「超訳」であれば水を飲むように読めます。
多くの方に手にとってもらいたい一冊です。
《Campfire掲載ページ》
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