
暮らしが変わり、山に入る必然が消え、人が山と関わらなくなると、山への関心が薄れはじめます。森や木の変化、獣の痕跡、山道や水源の異変。自然の変化に気づく目そのものも、少しずつ失われていきます。
何がどう変化しているのかがわからなければ、気がついたときには、畑や道が草木に覆われ、鹿や猪、熊などの野生動物が集落のすぐ近くまで来ている。いま各地で起きている鳥獣被害は、人と自然の境目が曖昧になっていく変化に、私たちが十分な関心を向けてこなかったことの表れなのかもしれません。

自然は、人が関心を失っても、そこにあり続けます。むしろ、人が自然を見る目を失うことで、気づかないうちに暮らしとの境目が変わり、私たちの側が自然に飲み込まれていっているのだと、山に暮らしていると強く感じます。
だからこそ私たちは、もう一度山に入り、自然の変化に気づける目を取り戻したいと考えています。
ただ、「必要だから」という義務感だけでは、山との関わりは長く続きません。無理なく関わり続けるには、山へ向かうことが、今の暮らしのなかの楽しみや仕事につながっている必要があります。
私たちにとって、その入口は狩猟採集の「楽しさ」でした。
山菜やきのこを探す。獣の痕跡をたどり罠をかける。渓流へ入りアマゴやイワナを釣る。そして、採れたものを持ち帰り、料理して食べる。山へ入ることが面白く、その恵みをいただくことでこの地に暮らすことの豊かさを実感し、もっと山に行きたい。山のことをもっと知りたいと思いました。

そして私たちは、その狩猟採集を、仕事とも結びつけてきました。
自分たちで採った山菜やきのこを料理に使い、お客さんに食べてもらう。山へ入ることで料理が生まれ、仕事に生かせるものや、お客さんに伝えられるものが増えていく。

楽しみが仕事につながり、仕事になることで、山へ入り続ける理由が生まれる。山との関わりが、楽しみであり、仕事であり、暮らしの一部になる。
「月夜見山荘」と「おすくに」は、山の暮らしをお客さんに伝える場であると同時に、私たち自身が山と関わり続ける必然をつくる実践でもありました。
私たちは、かつての知恵や山との関係を、今の条件に合う形で生かし直したい。楽しさを入口にし、それを今の暮らしや仕事と結び直すことで、新しく「山へ向かう理由」はつくれる。そう考えています。
「山の共同よろず小屋」では、私たちが続けてきたこの実践を、地域の人や訪れる人と一緒に、さらに育てていきたいと思っています。
【クラウドファンディングの現在地】
8月30日18:00確認時点で、139人の方から3,720,000円のご支援をいただき、目標の37%まで来ました。募集終了まで残り46日です。応援してくださっている皆さま、本当にありがとうございます。
目標は1,000万円。このプロジェクトはAll-or-Nothing方式のため、期間内に目標へ届かなければ実現できません。引き続き、ご支援や情報のシェアで力を貸していただけたらうれしいです。



