
これまで、Meet Up Home Sendaiをつくるまでに、大学生と一緒に考えてきたことや、実際に子どもたちと過ごした経験、学生たちのリアルな声を紹介してきました。
「障害のある人と大学生が一緒に暮らす」言葉にすると、少し特別なシェアハウスに聞こえるかもしれません。でも、私たちがつくりたいのは、特別なことをする場所ではありません。朝起きて、ご飯を食べて、学校や仕事に行って、帰ってきて、誰かと話して、時には一人で過ごす。そんな「普通の暮らし」の中に、障害のある人も大学生もいる。2027年4月から、いよいよそんな暮らしが始まります。今回は、まだ始まっていないからこそ、私たちが想像している「これからの毎日」を少し紹介します。
2027年4月、この家で暮らしが始まります
2027年4月。Meet Up Home Sendaiには、まず3人の大学生が暮らし始める予定です。これまで、私たちはこの日のために少しずつ準備をしてきました。家の改修を考えたり、Houseルールを考えたり。大学生と一緒にワークショップをしたり、障害のある子どもたちと実際に過ごしてみたり。庭に花を植えたり、野菜を育てる場所や、みんなで過ごせる場所を考えたり。少しずつ「家」はできてきました。
でも、実はここからが本番です。家が完成しても、暮らしはまだ始まっていません。誰かが玄関を開けて、「ただいま」と言ったとき。誰かがキッチンでご飯をつくり始めたとき。リビングで誰かと話したとき。その瞬間から、この場所は少しずつ「家」になっていくのだと思います。
例えば、こんな朝があるかもしれない
例えば、ある朝。一人の学生が起きてきて、「おはよう」と声をかける。まだ眠そうな人もいるかもしれません。誰かが朝ご飯を食べている横で、別の誰かはスマホを見ている。「今日、何限から?」「午後からだから、ちょっとゆっくり」そんな会話をして、それぞれ大学へ向かっていく。もちろん、毎朝みんなで食卓を囲む必要はありません。寝坊する日もあるでしょう。朝からほとんど話さない日もあるでしょう。夜になれば、また誰かが帰ってきます。「ただいま」「おかえり」そんな何気ないやり取りがあるかもしれません。庭で野菜を育てて、「これ、そろそろ収穫できそうじゃない?」と話す日もあるかもしれない。みんなでご飯を食べる日もあれば、一人で部屋にこもっていたい日もある。きっと、毎日はそんなにドラマチックではありません。でも私たちは、その「何気なさ」が大切だと思っています。
一緒に暮らす=いつも一緒、ではありません
「一緒に暮らす」というと、いつも一緒に活動する。いつも一緒にご飯を食べる。困った人がいたら、誰かが助ける。そんなイメージを持つかもしれません。でも、私たちはそうしたいわけではありません。一緒に暮らしていても、一人で過ごしたいときは、一人でいい。今日は疲れたから、部屋でゆっくりしたい。誰かと話したい日もあれば、話したくない日もある。それぞれの生活やペースがあります。
だから、「一緒にいること」と「同じことをすること」は違う。と思っています。一緒にご飯を食べる。庭で一緒に作業する。リビングで話す。そんな時間もあれば、それぞれの部屋で、自分の好きなことをする時間もある。その中で、たまたま出会って、「今日どうだった?」と話す。そんな距離感でいいのだと思います。
「どうしたらいい?」から始まる関係
そして、きっと最初からすべてがうまくいくわけではありません。むしろ、戸惑うこともたくさんあると思います。「どう声をかけたらいいんだろう?」「これって手伝ったほうがいいのかな?」「今は一人にしておいたほうがいいのかな?」「どうしたら、この人がやりたいことをできるんだろう?」分からないことは、きっと出てきます。
でも、私たちはその「分からない」を悪いことだとは思っていません。分からないからこそ、相手を見る。話してみる。やってみる。「これで大丈夫だった?」と聞いてみる。その繰り返しの中で、少しずつ相手のことが分かってくる。これまで大学生たちが障害のある子どもたちと過ごしたときにも、「最初はどうしたらいいか分からなかった」という声がありました。
でも、一緒に過ごす中で、「この子はこうすると楽しそう」「ここは自分でできるんだ」「こうしたほうが伝わるかもしれない」と、少しずつ見えてきました。これは、短時間の体験だけではなく、毎日の暮らしの中でも起こることなのではないでしょうか。
だから私たちは、「支援する人」と「支援される人」という関係を最初から決めてしまうのではなく、まずは、「一緒に暮らす人」として出会いたいと思っています。困ったときは助ける。自分にできることはやる。そして、相手にも助けてもらう。そんな関係を、この家の中でつくっていきたいと思っています。
最初の3人で、この家を育てていきます
2027年4月は、大学生3人からスタートします。「障害のある人と大学生が暮らすシェアハウスなのに、最初は大学生だけ?」そう思われる方もいるかもしれません。でも、私たちはこの時間も大切な「暮らしの始まり」だと考えています。3人が実際に暮らしてみる。一緒に生活してみる。Houseルールを実際に使ってみる。「このルールは必要だった」「これは、なくてもいいかもしれない」「こうしたほうが暮らしやすい」そんなことも、実際に暮らしてみなければ分かりません。
そして、3人自身がこの家での生活に慣れ、関係をつくりながら、新しい住人を迎える準備をしていきます。つまり、4月に「完成したシェアハウス」が始まるわけではありません。
4月から、みんなでシェアハウスをつくり始める。そんなイメージです。家は完成しても、「どんな場所になるのか」は、まだ決まっていません。住む人たちと一緒に、少しずつ決まっていく。だからこそ、この家には余白があります。
この家で起きてほしい「小さな変化」
そして、私たちがこの暮らしを通して一番期待しているのは、何か特別なことが起きることではありません。もっと小さな変化です。最初は、「障害のある人のことを、よく知らない」だった大学生が、「そういえば、あの人どうしてるかな」と思うようになる。一緒に暮らす中で、「この人はこういうことが好きなんだ」と知る。「こういうことは自分でできるんだ」と気づく。困っていることがあれば、「何かできることある?」と自然に声をかける。
そして、いつか、「障害のある人だから」ではなく、「○○さんだから」と、その人を見るようになる。私たちが以前、大学生たちと考えた「行動変容」も、最初から大きな行動が生まれるわけではありません。無関心・無関係だったところから、「ちょっと気になる」→実際に出会う→一緒に過ごす→「あれ?」と感じる→相手を知る・対話する→「自分にもできるかも」と思う→自分から行動する。
そんな小さな変化の積み重ねです。そして、その変化が一人の中だけで終わらず、友人や大学、地域へと少しずつ広がっていく。
「社会を変える」は、もっと日常から始まるのかもしれない
私たちはこれまで、「どうしたら障害について知ってもらえるのか」「どうしたら障害への理解が広がるのか」ということを考えてきました。でも、大学生たちと活動する中で、少しずつ考え方が変わってきました。もしかしたら、「障害を理解してもらうこと」だけを目指さなくてもいいのではないか。もっと普通に出会って、一緒に笑って、一緒にご飯を食べて、時には困って、助けたり、助けてもらったりする。そうやって毎日を過ごしていたら、いつの間にか、「障害のある人」ではなく、「一緒に暮らしている人」になっている。そんなことが起きるのではないか。
だからこそ、Meet Up Home Sendaiをつくります。特別なイベントではなく、特別な支援の場所でもなく、「日常」の中で人と人が出会える場所として。2027年4月。ここから、どんな暮らしが始まるのか。私たち自身も、まだ分かりません。だからこそ、楽しみです。そして、その暮らしを一緒につくってくれる人たちとの出会いも、これから始まります。
Meet Up Home Sendai。「ありのままの自分と出会うシェアハウス」。
ここから始まる暮らしを、ぜひ一緒に見届けてください。



