
私たちHito Rehaは、いま、障害のある人と大学生が一緒に暮らすシェアハウス「Meet Up Home Sendai」をつくっています。
なぜ、障害のある人と大学生が一緒に暮らす場所なのか。
なぜ、イベントや交流会ではなく、あえて「暮らす」という形なのか。
今回は、クラウドファンディングの終了が近づくこのタイミングで、私たちがこのプロジェクトを始めた原点に、もう一度立ち返りたいと思います。
「イベントではなく、日常に。」
Hito Rehaには、活動を始めた頃から、ずっと考え続けている問いがあります。
それは、「障害のある人が、地域のなかで当たり前に過ごせる日常を、どうしたらつくれるのだろう?」という問いです。例えば、カフェに行く。温泉に行く。街を歩く。そんな何気ない日常のなかで、障害のある人やその家族と出会う機会は、どれくらいあるでしょうか。
もちろん、障害のある人が参加できるイベントや、みんなで楽しめる企画には大切な意味があります。普段はなかなか出かけられない場所に行けたり、新しい体験ができたり。環境やサポートが整うことで、実現できることもたくさんあります。でも、イベントが終わったあと、日常に戻ったらどうでしょうか。イベントでは一緒に楽しめても、普段の生活では出会わない。同じ地域に住んでいても、お互いのことを知る機会がない。
それでは、日常そのものは変わらないのではないか。そんな問いから、私たちは「イベントではなく、日常に。」という考えを大切にしてきました。
一緒に過ごしてみて、初めてわかることがある
これまで、大学生たちが障害のある子どもたちと一緒に過ごす機会をつくってきました。初めて関わる学生たちからは、こんな声が聞かれました。
「最初は意思疎通がとれなくて、どうしたらいいかわからなかった」
「どのように声を掛ければ伝わるのか難しかった」
相手のことを知らない。どう関わればいいのかわからない。自分のやり方ではうまくいかない。そんな戸惑いが、最初にはありました。
けれど、一緒に過ごす時間が続くと、少しずつ変化が生まれます。目線を追いながら、好きな色やカードを選べるように工夫してみる。体の動きや表情を見ながら、どうすれば一緒に楽しめるかを考えてみる。自分だけでは気づけなかったことを、そばにいるスタッフから教えてもらう。
最初から、相手のことがわかっていたわけではありません。一緒に過ごし、うまくいかないことがあり、それでも相手を見て、考えて、もう一度試してみる。そうした経験を通して、学生たちは少しずつ相手を知っていきました。
ここで大切なのは、学生たちが「障害について学んだ」ということだけではありません。これまで自分とは関係のない存在だった人が、一緒に時間を過ごす相手になったこと。そこに、私たちは大きな意味があると考えています。
「支援する人」と「支援される人」だけではない関係へ
障害のある人と関わるとき、私たちはつい「何をしてあげられるだろう」「どうサポートすればいいだろう」と考えます。もちろん、必要なサポートはあります。
一方で、相手が何をしたいのか、何ができるのか、どんなことを楽しみたいのかを知る前に、「支援する側」と「支援される側」という関係を決めてしまっていないでしょうか。
学生たちの体験でも、こちらが良かれと思って手伝っても、相手が楽しそうではなかったり、思うようにいかなかったりする場面がありました。そこで必要になるのは、一方的に何かをしてあげることだけではありません。「この人は何をしたいんだろう?」「どうしたら、自分でできるだろう?」「一緒に楽しむには、どうしたらいいだろう?」そんなふうに、相手のことを知ろうとすること。そして、自分の考えだけで決めず、相手の反応を見ながら関わり方を考えていくこと。
私たちは、障害のある人も大学生も、誰かを支援する人・支援される人という役割だけで捉えるのではなく、それぞれに思いや希望がある、一人の生活者として出会える関係をつくりたいと思っています。
だから、「一緒に暮らす」という形を選びました
一緒に過ごす体験やイベントには、出会いのきっかけをつくる力があります。でも、そこで生まれた関係を、イベントの外側にもつなげていくことはできないだろうか。その問いから生まれた取り組みの一つが、Meet Up Home Sendaiです。
このシェアハウスでは、障害のある人と大学生が、同じ家で暮らします。大学生には大学生の生活があります。授業がある日もあれば、アルバイトで帰りが遅くなる日もある。試験前には忙しくなるし、休日には出かけたい日もあるでしょう。障害のある人にも、それぞれの生活があります。仕事や日中活動に出かけたり、自分の時間を過ごしたり。疲れている日はゆっくりしたいこともあるはずです。毎日、ずっと一緒にいる必要はありません。
一緒にご飯を食べる日もあれば、それぞれ別の時間を過ごす日もある。何気ない会話から相手の好きなものを知ることもあれば、生活の違いから戸惑うこともある。ときには、話し合わなければ解決できないこともあるでしょう。そうした日々の積み重ねのなかで、少しずつ相手を知っていく。
特別なイベントだから一緒にいるのではなく、同じ地域で暮らす一人の人として、日常のなかで出会い続ける。私たちは、そのような暮らしをつくりたいと考えています。
この家から、何を変えたいのか
私たちが変えたいのは、障害のある人に対する知識や理解だけではありません。もちろん、知ることや理解することは大切です。でも、それだけで、実際の関係や行動が変わるとは限りません。知らなかった人と出会う。少し話してみる。一緒に何かをしてみる。うまくいかず、相手のことをもっと知りたくなる。自分の当たり前を見つめ直す。そんな経験を通して、これまで関係のなかった人が、「自分とは関係のない誰か」ではなくなっていく。
その人のことを知り、気にかけ、必要なときには声を掛ける。そして、いつか別の場所で障害のある人と出会ったときにも、自然に関わってみようと思えるかもしれません。私たちは、シェアハウスでの暮らしが、そんな小さな変化のきっかけになることを期待しています。この家だけで社会が大きく変わるわけではありません。
それでも、誰かにとっての「知らない人」が「知っている人」になり、その出会いがまた別の誰かとの関わりにつながっていく。そうした変化が、日常のなかに少しずつ広がっていくことを目指しています。
2027年4月、ここから始まる暮らしを一緒につくりたい
Meet Up Home Sendaiは、2027年4月、まずは大学生3人の暮らしから始まる予定です。最初から、すべてがうまくいくとは思っていません。暮らし始めて初めて気づくことも、話し合いが必要になることも、思い描いたようにはいかないこともあるでしょう。
だからこそ、私たちは、完成した仕組みを提供するだけではなく、そこで暮らす人たちと一緒に、この家のあり方を考え続けたいと思っています。
そして、この挑戦を、住む人たちだけのものにしたいわけではありません。応援してくださる皆さんにも、SNSで日々の発信を見守っていただいたり、活動報告に反応していただいたり、機会があれば実際に家を訪れていただいたり。それぞれの形で、この暮らしに関わっていただけたらうれしいです。
私たちHito Rehaが大切にしてきたのは、「誰もが自らの可能性を広げ多様な日常を愉しめる」というビジョンです。「イベントではなく、日常に。」その問いに対する答えを、Meet Up Home Sendaiの暮らしを通して、これから少しずつ探していきます。
この家で、どんな出会いが生まれるのか。どんな戸惑いがあり、どんな発見があるのか。そして、そこから何が変わっていくのか。私たち自身も、まだ知らないことばかりです。だからこそ、この挑戦の始まりを、一緒に見届けていただけたらと思っています。
クラウドファンディングも、いよいよ残りわずかとなりました。皆さんからのご支援が、この家を整え、これから始まる暮らしの土台になります。「こんな暮らしがあってもいいかもしれない」「日常のなかで人と人が出会える場所を、一緒につくってみたい



