
朝、顔を合わせたら「おはよう」。大学の授業に出かける人。仕事や日中活動に向かう人。それぞれの予定に合わせて、一日が始まります。夕方になれば、少しずつ家に人が帰ってくる。「今日、どうだった?」「お腹すいたね。何食べようか?」そんな何気ない会話が生まれるかもしれません。
2027年4月、開設を予定している「Meet Up Home Sendai」。ここは、障害のある人と大学生が一緒に暮らすシェアハウスです。これまでの活動報告では、大学生が障害のある子どもたちと過ごした体験や、学生たちが感じた戸惑い、シェアハウスのコンセプト、そしてこれから始まる暮らしについてお伝えしてきました。
今回は、その「ここから始まる暮らし」シリーズを振り返りながら、この家でどんな毎日が生まれていくのか、もう少し具体的に想像してみたいと思います。
朝、それぞれの一日が始まる
大学生には、朝から授業がある日もあれば、午後から大学に行く日もあります。試験前は勉強に集中したいかもしれません。寝坊して、慌てて家を出る朝もあるでしょう。障害のある入居者にも、それぞれの生活があります。仕事に出かける人、日中活動の場に通う人、自分のペースで一日を過ごす人。起きる時間も、出発する時間も、毎日同じとは限りません。
みんなで朝食を食べる日もあれば、挨拶だけ交わして、それぞれ出かける日もある。ここで大切にしたいのは、全員が同じ生活を送ることではありません。それぞれの生活リズムを大切にしながら、同じ家で暮らしていること。顔を合わせたら挨拶をする。出かけるときに「行ってきます」と声を掛ける。帰ってきたら「おかえり」と迎える。そんな小さなやり取りが、日々の暮らしの一部になっていくことを願っています。
帰宅時間はバラバラ。それでも、一緒に食べるご飯があるかもしれない
夕方から夜にかけては、家に帰ってくる時間も人それぞれです。大学の授業が終わって帰ってくる人。アルバイトをしてから帰宅する人。仕事や日中活動を終えて、家に戻ってくる人。全員が同じ時間にそろうとは限りません。それでも、タイミングが合えば一緒に夕食を食べたい。
「今日の授業、どうだった?」「仕事でこんなことがあってさ」「今度の休み、どこか行かない?」食卓を囲むことで、普段は知らなかったお互いの一面が見えてくるかもしれません。もちろん、毎日みんなで食べる必要はありません。帰りが遅い日は別々に食べる。一人でゆっくりしたい日は、自分の時間を過ごす。余裕がある日は、みんなで料理をする。
そんなふうに、無理なく一緒に過ごせる形を探していきたいと思っています。食事は、ただお腹を満たすためだけのものではありません。何気ない会話が生まれたり、相手の好きなものを知ったり、ちょっとした相談をしたり。一緒に暮らすからこそ生まれる時間を、大切にしていきたいです。
掃除も洗濯も、暮らしのルールも。みんなで考える
シェアハウスで暮らすということは、楽しい時間を一緒に過ごすだけではありません。掃除や洗濯、ゴミ出し、日用品の買い出し。生活を続けるために、やらなければならないこともあります。誰が掃除をするのか。洗濯は各自でするのか。日用品がなくなったら、誰が買いに行くのか。夕食の時間に間に合わないときは、どうするのか。こうしたことは、最初からすべて決まっているわけではありません。
基本となるHouseルールはありますが、実際の暮らしのなかで必要になる細かな決まりは、入居者同士で話し合いながら考えていきます。例えば、文字だけでは伝わりにくいことがあれば、写真やイラストを使ってみる。予定を共有したほうが安心できる人もいれば、必要以上に予定を知られたくない人もいる。一人ひとりの考えや生活の違いを知りながら、みんなが暮らしやすい方法を探していきます。
最初から完璧なルールをつくることが目的ではありません。暮らしてみて、困ったことがあれば話し合う。うまくいかなければ、やり方を変えてみる。暮らしながら、暮らし方そのものをみんなでつくっていく。それも、このシェアハウスで大切にしたいことの一つです。
休日は、一緒に出かけてもいいし、それぞれ過ごしてもいい
平日は大学や仕事、日中活動などで忙しく過ごしていても、休日には少し違う時間が流れるかもしれません。庭で育てている野菜の様子を見てみる。天気がよければ、一緒に出かけてみる。みんなでご飯をつくる。庭でバーベキューを楽しむ。そんな過ごし方ができたらいいなと考えています。
一方で、休日だからといって、いつも一緒に過ごす必要はありません。友人と出かける人もいれば、家でゆっくりしたい人もいる。一人の時間を楽しむ日があってもいい。雨の日にリビングでのんびり過ごしていたら、自然と会話が始まることもあるかもしれません。
一緒に過ごす時間も、それぞれで過ごす時間も、どちらも大切にする。「みんなで何かをしなければいけない場所」ではなく、一緒にいたいときには一緒にいられて、一人でいたいときには自分の時間も守られる場所を目指しています。
きっと、最初からうまくいくわけではない
私たちは、この暮らしが最初から順調に進むとは考えていません。相手の言っていることがわからない。自分の思いがうまく伝わらない。生活リズムが合わない。よかれと思ってしたことが、相手にとっては望んでいたことではなかった。そんな場面もきっとあるでしょう。
これまで大学生が障害のある子どもたちと関わったときにも、最初は「どうしたらいいかわからない」という戸惑いがありました。けれど、その戸惑いは、相手を知ろうとするきっかけにもなります。一緒に暮らすなかで違いに気づいたら、話し合ってみる。自分の当たり前を押しつけていないか、考えてみる。相手の希望を聞きながら、別の方法を探してみる。
そうした積み重ねによって、少しずつお互いのことがわかっていくのではないかと思っています。大切なのは、最初から相手を理解しきることではありません。わからないことがあっても、そこで関係を終わらせず、相手を知ろうとし続けること。私たちは、そんな関係が育つ暮らしを目指しています。
特別な体験ではなく、日常のなかで出会い続ける
障害のある人と大学生が一緒に活動するイベントには、出会いのきっかけをつくる力があります。でも、イベントが終われば、それぞれの日常に戻っていきます。Meet Up Home Sendaiで目指しているのは、その出会いを一度きりで終わらせず、毎日の暮らしにつなげていくことです。
一緒にご飯を食べる。挨拶をする。掃除の仕方について話し合う。相手の好きなことを知る。ときには、意見がぶつかる。困ったときには、お互いに助けを求める。一つひとつは、特別なことではないかもしれません。
でも、そうした日常の積み重ねが、これまで関わる機会のなかった人同士をつなぎ、お互いの見方を変えていく可能性があると、私たちは考えています。障害のある人も、大学生も、最初から「支援する人」「支援される人」として出会うのではなく、同じ家で暮らす一人の生活者として出会う。違いがあっても、一緒に暮らす方法を考えていく。それが、私たちの考える「共存」の一つの形です。
2027年4月、この家の暮らしが始まります
Meet Up Home Sendaiは、まず大学生3人の暮らしから始まる予定です。そこから少しずつ生活を整え、関係を育て、障害のある入居者を迎える準備を進めていきます。すべてが整ってから始めるのではなく、暮らしながら考え、話し合いながら、この家のあり方をつくっていく。その過程で生まれる発見や戸惑いも、私たちにとって大切な経験になるはずです。
これから、どんな会話が生まれるのか。どんな食卓を囲むのか。どんなルールが生まれ、どんな関係が育っていくのか。私たちにも、まだわかりません。だからこそ、これから始まる暮らしを、皆さんにも一緒に見守っていただきたいと思っています。
クラウドファンディングでいただくご支援は、この家を整え、ここから始まる日々の暮らしを支える土台になります。家をつくることがゴールではありません。この場所で人と人が出会い、一緒に暮らし、少しずつお互いを知っていく。その日常を、ここから始めたいと思っています。「特別な体験」ではなく、毎日の暮らしのなかで。Meet Up Home Sendaiの挑戦を、ぜひ応援していただけたらうれしいです。



