
家を手に入れたら、終わり。リフォームが終わったら、完成。家づくりでは、そんな区切りをイメージするかもしれません。でも、私たちがつくろうとしている「Meet Up Home Sendai」は、建物が整ったら完成するプロジェクトではありません。丸太階段をつくること。庭を整えること。Houseルールを考えること。そして、実際に暮らし始めてから、住人同士で話し合うこと。
一つひとつの準備の先に、ようやく始まるものがあります。それは、障害のある人と大学生が一緒に暮らす、毎日の生活です。今回は、開設に向けた準備の裏側と、私たちが「完成して終わり」ではなく、「ここから暮らしを育てていく」ことを大切にしている理由をお伝えします。
庭づくりも、暮らしづくりの一つ
Meet Up Home Sendaiには、家の中だけでなく、広い庭があります。この庭を、これからどんな場所にしていくのか。私たちは、庭の使い方についても構想を練っています。
左側には野菜を育てるスペース。中央には、庭の高低差をつなぐ丸太階段。右側には、バーベキューなどを楽しめる交流スペース。野菜を育てて、収穫して、一緒に食べる。天気のよい日には庭で過ごし、みんなでバーベキューを楽しむ。そんな時間が生まれたらいいなと考えています。
もちろん、最初からすべてが整っているわけではありません。庭をどう使うか、どこまで整備するか、実際に暮らし始めたら何が必要になるのか。使いながら気づくことも、きっとあるでしょう。庭は、ただきれいにするための場所ではありません。野菜を育てる人がいて、手入れをする人がいて、収穫を楽しみにする人がいる。それぞれができることを持ち寄りながら、一緒に使い方を考えていく。そんな、暮らしの一部になる庭を目指しています。
丸太階段も、これからの暮らしにつながっている
庭の整備の一つとして、丸太階段づくりにも取り組んでいます。庭の高低差をつなぎ、人が行き来できるようにするためのものです。ただ、階段は見た目ができれば終わり、というものではありません。実際に人が使うことを考え、安全性や歩きやすさなどを確認しながら整えていく必要があります。そして、この階段ができた先には、庭を歩き、野菜を育て、外で過ごす日常があります。
私たちがつくっているのは、階段そのものだけではありません。その先にある、庭を使う時間や、そこで生まれる会話も含めて、暮らしの環境を整えています。家の中を整えることと同じように、家の外にも、人が自然に過ごせる場所をつくっていきたいと考えています。
Houseルールは、最初からすべて決められない
暮らしを始めるために必要なのは、建物や設備だけではありません。複数の人が一緒に暮らすためには、生活のルールも必要です。
例えば、こんなことです。掃除やゴミ出しは、どう分担する?食事は誰がつくる?一緒に食べる時間は決める?日用品がなくなったら、誰が買いに行く?アルバイトなどで帰りが遅くなる日は、どうする?どこまでお互いの予定を共有する?一人で過ごしたいときは、どう伝える?どれも、特別なことではありません。
でも、実際に暮らしてみると、人によって考え方や習慣が違うことに気づくはずです。例えば、掃除は毎日したい人もいれば、曜日を決めて取り組みたい人もいるかもしれません。予定を共有すると安心できる人もいれば、自分の時間やプライバシーを大切にしたい人もいます。
最初から一つの正解を決めることはできません。だからこそ、基本となるHouseルールを土台にしながら、実際の暮らしに必要な細かな決まりは、住人同士で話し合ってつくっていきたいと考えています。ルールは、誰かを縛るためだけのものではありません。それぞれの自由を守りながら、一緒に暮らすためのものでもあります。
暮らし始めてから、初めてわかることがある
私たちは、入居前にすべての問題を想定し、完璧な答えを用意することはできないと考えています。実際に暮らし始めてみて、初めて気づくこともあるからです。「言葉だけでは、うまく伝わらなかった」「自分にとっては普通のことでも、相手には違う意味だった」「よかれと思ってしたことが、相手の望んでいたことではなかった」そんな場面があるかもしれません。
障害のある人と大学生が一緒に暮らすからこそ、コミュニケーションの取り方や、生活上の工夫について、丁寧に考える必要もあります。言葉で伝えるだけでなく、写真やイラストを使ってみる。一度で伝わらなければ、別の方法を試してみる。自分の考えだけで決めず、相手の反応や希望を確かめてみる。そして、住人同士だけでは解決が難しいことがあれば、運営側にも相談しながら対応していく。そうした積み重ねによって、この家に合った暮らし方を見つけていきたいと思っています。
大切なのは、最初から何も問題が起きないことではありません。問題が起きたときに、誰か一人の責任にして終わらせるのではなく、どうすれば一緒に暮らし続けられるかを考えることです。もちろん、安全やプライバシーに関わること、誰かが我慢し続けなければならないことまで、すべてを話し合いだけで解決しようとは考えていません。必要なルールや運営側の対応を整えながら、住人それぞれが安心して暮らせる環境をつくっていきます。
「未完成」は、何も準備していないという意味ではない
ここまで読むと、「まだ決まっていないことが多いのでは?」と感じる方もいるかもしれません。確かに、暮らし始めてから考えることはあります。ただ、それは準備をしていないということではありません。
住まいとして必要な環境を整える。安全に暮らすためのルールを用意する。入居者同士が話し合うための土台をつくる。困ったときに相談できる体制を考える。そうした準備を進めたうえで、実際の暮らしに合わせて調整していくということです。
私たちは、暮らしのすべてを運営側が決めてしまうのではなく、住む人たち自身が考え、選び、つくっていく余地を大切にしたいと思っています。もちろん、何でも住人任せにするわけではありません。住人が自分たちで決められることと、運営側が責任を持って整えることを分けながら、一緒に暮らしをつくっていきます。
最初から完成された暮らしを用意するのではなく、安心して暮らし始められる土台を整え、その先を住人と一緒に育てていく。それが、私たちの考える「未完成だからこその挑戦」です。
支援していただきたいのは、完成した建物だけではありません
クラウドファンディングを通じて、皆さんに応援していただいているのは、家の購入やリフォームだけではありません。もちろん、安心して暮らせる住環境を整えることは欠かせません。けれど、その家に人が住み始め、毎日の生活が始まって初めて、このプロジェクトが目指すものが動き出します。
朝の挨拶。一緒に囲む食卓。庭で育てる野菜。掃除や洗濯の分担。生活の違いから生まれる戸惑い。それを乗り越えるための話し合い。そうした一つひとつが、これからの暮らしをつくっていきます。
障害のある人と大学生が、同じ家で暮らす。ただ同じ建物に住むだけではなく、お互いの違いを知り、必要なときには助け合いながら、それぞれの生活を大切にする。その日常を実現するための土台を、皆さんと一緒につくりたいのです。
そして、暮らしが始まってから何が起きたのか、どんな工夫をしたのか、どんな変化が生まれたのかも、活動報告などを通して伝えていきたいと考えています。うまくいったことだけでなく、悩んだことや、これから改善していきたいことも含めて。完成した姿を見せて終わるのではなく、暮らしが育っていく過程そのものを、皆さんと共有していきたいと思っています。
2027年4月、ここから暮らしが始まります
Meet Up Home Sendaiは、まず大学生3人の暮らしから始まる予定です。そこから生活を整え、入居者同士の関係を育て、障害のある入居者を迎える準備を進めていきます。庭も、Houseルールも、日々の過ごし方も、すべてが最初から完成しているわけではありません。暮らしながら考え、話し合いながら調整し、この家に合った形を見つけていきます。
私たちにとって、このシェアハウスは、建物を完成させることがゴールのプロジェクトではありません。人と人が出会い、一緒に暮らし、関係を育てていくための挑戦です。この家でどんな日常が生まれるのか。その始まりから、ぜひ一緒に見守っていただけたらうれしいです。
クラウドファンディングも、いよいよ残りわずかとなりました。皆さんからのご支援が、住まいを整え、ここから始まる暮らしの土台になります。完成して終わりではない。ここから暮らしを育てていく。



