生物を飼うということ
爬虫類飼育のきっかけが子どもが捕まえてきたトカゲやカエルの飼育というケースは多く耳にします。これは、動物保護、自然保護の観点から大変良いことだと考えています。たくさんの方々が飼育、繁殖ノウハウを身につけることで、その生物を保護することにも繋がるからです。
ペットとして動物を飼育すること自体に賛否両論あることは事実です。
しかし、世界では紛争や著しい環境悪化により現地では個体数を減らすも、ペット動物として広まることで、実際に絶滅を逃れている種がいることも忘れてはいけません。
環境を保護、改善すると同時にその間、種の保存もしなければいけません。
環境問題はすでに見守ることでは解決できないところまで来てしまっています。
ペットショップAIS'leでは日本固有の生物の飼育にも力を入れています。
日本固有の生物、両生類、爬虫類は美しい種が多いです。しかし、その多くは準絶滅危惧種とされています。準絶滅危惧種とは「現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種」のことを言います。
生息条件の変化・・・これは今の社会においてすぐにでもあり得ることです。というより、むしろすごいスピードで日々変化をしています。今身近な生物であってもいつ姿を消してしまうかわかりません。
そうなったとき飼育による個体数の維持や繁殖ノウハウは非常に重要なものになってきます。
100年前は1年間で1種の生物が絶滅しているといわれていました。
今は、1年間で4万種以上の生物が絶滅しているとされています。
そしてこのスピードはどんどん速まっているそうです。
皆さん、毎年4万種の生物が完全にこの地球上からいなくなっているのです。
果たして、これは自然淘汰でしょうか? 原因は「生物を飼育したから」なのでしょうか?
もちろんどちらもあり得るでしょう。
しかし、もっと根本的な私たちの人間社会の在り方、生き方そのものが大きな原因であるような気がしてなりません。
確実に言えることは、もうすでに動物のプロフェッショナルや愛好家だけの力ではこの地球環境、地球の未来を守ることは出来ないということです。
一人一人が世界の現状を知り、自分なりに何をすることが出来るのかを考えていかなければいけません。
最後に、動物行動学者であり霊長類研究学者、自然環境保護の活動家でもあるDr. Jane Goodall氏の言葉の一部を紹介したいと思います。
~私が思うに、私たち人類と、一番近い親戚であるチンパンジーの最も大きな違いは、脳にあります。チンパンジーはかつて考えられてきたよりもずっと高い知性を持っています。それでも、どんなに賢いチンパンジーの脳も、ロケットや、そこから這い出して火星を動き回り、地球上の科学者たちに写真を送信するロボットを設計した生き物の脳とは比較になりません。
だから問題は、地球史上もっとも賢い生き物が、その唯一の住処を破壊するなんてことが、どうしてありえるのか、ということなのです。
私たちは知恵を失ったのでしょうか? 大きな決断を下すとき、私たちが考えるべきことは、今すぐに得られる利益や、3ヶ月後の株主総会や、次の選挙戦のことでしょうか? 私たちの決断が将来世代に与える影響について、いつになったら考えるのでしょうか?
一人ひとりが日常のなかでなんらかの影響を生み出していることを意識しましょう。無関係な人などいないということを忘れないでください。
あなたにも果たすべき役割があります。毎日あなたがしていることが変化をもたらすのです。
あなたが買うもの、食べるもの、着るものといった、日常生活のちいさな選択の結果について考えましょう。
それはどこ製ですか? 自然破壊(たとえば森林破壊、大量の殺虫剤や除草剤の使用、遺伝子組み換え作物)や人権侵害(たとえば児童労働や奴隷労働)に由来するものではありませんか? 動物虐待(工業的な集約畜産や、生きたウサギの毛をむしる中国のアンゴラ製品、ガチョウやアヒルの強制給餌で作ったフォアグラ、その他のあらゆる残酷な慣習)を経たものではありませんか? 何十億という人々が環境面でも社会面でも正しい選択をするようになれば、大変革が起きるはずです。
ひとりひとりが重要であり、それぞれに役割があり、だれしもに現実を変える力がある。~
最後まで読んでいただきありがとうございました。
一般社団法人AIS 代表理事 宮嶋 将