このプロジェクトの目的は、イノシシ肉を普及させるための壁──イノシシ肉の味を表現する言葉──をみんなで見つけること。
今回、イノシシ肉と一緒に皆さんにお届けする『イノシシ肉の味がよくわかるレシピ』の作成を依頼しているボワヴェールのオーナーシェフ川口さんに、レシピ作成の進捗状況とイノシシ肉の味についてのヒントをお伺いしました。
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【本日のインタビュー】
川口かずのり シェフ
「現代青森料理とワインの店ボワ・ヴェール」オーナーシェフ。
WEBSITE:https://www.bois-vert.jp/
1974大阪府堺市生まれ。18歳でフランスに渡り、シェフへの道を歩みはじめる。フランス・ブルゴーニュ〈ル・ベナトン〉で修行後〈クラブNYX〉〈西麻布クリニャンクール〉で宮本雅彦氏に師事。日々シェフとして腕をふるいながら多くのフードプロデュースも実施。NPO法人伝統肉協会では設立時から理事として、ジビエの普及啓発に尽力している。
今回のプロジェクトでは、リターン用の〈イノシシの味がわかるレシピ〉の作成を依頼しています。
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── 今回、川口シェフには『イノシシの味がわかるレシピ』の作成をお願いしています。そもそもシェフはイノシシ肉にどんなイメージを持っていますか?
イノシシには2つのイメージがあります。1つは私のフランス修業時代で扱ったマルカッサン(marcassin)=(生後6か月以内の)仔イノシシのイメージです。脂がほとんどなくて柔らかい肉質のものが多いです。もう1つが、日本のイノシシ。日本産のイノシシで、マルカッサンを指定して仕入れた時には、想像以上に小さくびっくりしたことがあります。一般的に流通している日本のイノシシは、フランスではサングリエ(sanglier)という、大きいサイズのイノシシで脂が乗っているのが特徴です。
フランスのマルカッサンはブタ肉と似ていますが、日本のイノシシの肉は、牛肉に近いイメージがあります。お肉の色や、焼き方、合わせるソースなんかもブタよりウシの調理方法のほうがあっている気がします。
── 日本のイノシシ肉の味はどうですか?
特に脂が美味しいと感じます。
ボワヴェールで使う肉は、生産者が何を食べさせているかを確認してから使うようにしています。ひどい餌を食べさせてしまった家畜の肉は臭くなってしまいます。肉を見るだけではなかなか分かりませんが、どんな餌を食べさせたかで味の見当がつきます。逆に美味しい肉は良いものを食べさせたと言えると思います。
その点、イノシシ肉は、野生動物の肉なので何を食べて育った肉かは確認できません。しかし、イノシシ肉の脂はさらっとしていていい香りがすることから、きっとイノシシが好きないい餌──体に良い自然の餌──を食べて育ったんだろうなと想像できます。
── 香りって重要ですよね?
そうですね。慣れがあってなかなか気がつかないのですが、牛肉、豚肉、鶏肉、それぞれの味の違いももちろんあるのですが、匂いの違いが一番料理に影響すると思っています。
実際は、同じ種類の肉でも、匂いは違うことがあります。イノシシの脂の匂いは、どれもいい香りがします。同じ産地のイノシシでも香りは少しづつ変わります。きっと、イノシシの個性なんでしょうね。ごくまれにダメな匂いのイノシシもいるんですが……。
── イノシシの味がわかるレシピに対する意気込みをお聞かせください。
先月から相談を受けていて、考えているのですが、まだ完成していません。もう少々お待ちください。
方向性は徐々に固まりつつあります。
ポイントは2つあり、1つ目は先人の知恵を生かすことです。味噌を使ったすき焼き風の食べ方である北大路魯山人のレシピも参考にしています。塩だけで焼くというのも古来からの技法ですが、焼くという技法だけで美味しくさせるのは、一般家庭では難しいかもしれません。
もう1つは、無理なく自然な感じの調理方法にしたいと思っています。木苺とかコケモモ等のソースで食べさせるフレンチの技法もあるのですが、イノシシ肉の味に加えるようなことはなるべくしたくないと思っています。味を加えれば加えるほどにイノシシのパワーがなくなってしまうような気がしています。
個人的には、イノシシ肉を焼いた後のフライパンに春菊をサラッと浸して食べるとか、瓶詰なめたけとカリっと焼いた脂身をご飯に乗せて食べるとかが美味しいと思いますが、今回の趣旨とは違ってきます……ね(笑)
相談を受けてから、2か月ぐらい、かなり悩んでいます。もう少し考える時間をいただきたく思っています。
── ありがとうございます。レシピは来月中旬までに確定してもらえたら大丈夫です。よろしくお願いします。
こちらこそ。
一つ提案なのですが、イノシシ肉の味をもうちょっと深く知るための勉強会を開催しませんか?
いくつか考えているレシピで調理したものを食べてもらうパーティです。イノシシ肉と牛肉が近いといっても、実際に食べてみると、よりイメージが持てると思いますし、どんなレシピがいいか、皆さんにも考えてもらいたいところです。
── 面白そうですね。ぜひやりましょう。
実際に食べながら楽しみながら、よりイノシシの味を深く研究していきましょう。石崎くんのプレッシャーがすごいから、レシピは勉強会までに考えておきます(笑)
── プレッシャーなんてかけてないですよ!本日はありがとうございました。
ありがとうございました。頑張ってね。
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さて、いかがでしたか?
イノシシの味について、いくつかヒントがあったような気がします。
また、川口さんが言っていた、パーティに関しては4月27日(土)に開催を予定しています。詳細は、こちらのページでもご案内します。
そちらも合わせて楽しみにしていてください!