秋田からこんにちは!
蔵人・酒道家の大髙尚人です。
ANTCICADAの活動報告をご覧の方は、名前やタグ付で見かけるけど実体がない謎の人物と思う方もいらっしゃるかと思います。
現在、僕は東京にいるメンバー達と離れ、一人秋田の酒蔵にて酒造りの修行をしています。お会いしたことがある方は聞き飽きているかもしれませんが、自己紹介と共に日本酒造りに興味を持ったきっかけをつらつらと書かせていただきたいと思います。
1994年7月12日生まれの25歳で、東京都東村山市で育ちました。
物心つく頃から生き物や自然、科学が好きで、エンジニアの祖父、父の影響で、小さい頃からものつくりや実験、昆虫採集やキャンプなどが大好きでした。
成長と共に、好きな科学や数学の力も相まって今まで好きだったものがもっともっと魅力的なものだと感じ、より大好きになりました。
酒造りに興味を持つきっかけとなったのは、中学三年生の京都・奈良への修学旅行。寺社仏閣や日本の伝統、文化に触れる中で、伝統工芸に携わる職人への強い憧れを抱きます。
しかし、職人の道は狭き門。一子相伝なところや小さい頃からの修行を経て職人になるのだというイメージで、憧れの存在止まりでした。そんな中で選んだのは大好きな科学の道。高校は国立科学技術高校の応用化学科に進み、化学の勉強に励みます。
ここで、次回紹介がある悪友、内記との出会いがあり、後々の祐太との出会いにつながる事に。
この時期、将来について悩んでいたのですが、父のあるとき言った「科学が好きで職人になりたいなら、"杜氏"とか良いかもな。」というひとことが酒造りの道への大きなきっかけとなりました。
それ以来、発酵や醸造の世界に魅了され、大好きな科学と憧れの職人という両方の魅力に溢れた酒造りという仕事に惚れ込んでしまったのです。そこから、日本で醸造学を学べる唯一の大学である東京農大の醸造科学科に進学。ここで先日紹介のあった山口歩夢と出会い、内記の紹介で篠原と知り合って意気投合。シェアハウスで同居人としての生活が始まります。
そして在学中も想いはぶれる事なく、念願叶って酒造りの道の第一歩を踏み出す事になりました。
活動理由
祐太との出会いは、四年ほど前、内記の紹介がきっかけでした。
大学時代に精神的に凹みに凹んでボロボロだった時期があり、その時の自分を内記が引きずり出してくれたのですが、それが祐太の開催する虫カクテルのイベントでした。あまりの元気のなさに、祐太自身は初対面の印象が全く記憶にない(笑)そうで、その後シェアハウスを始めるというタイミングで再開したのがある意味本当の始まりです。
この時内記が連れ出してくれなかったら、今の自分はないでしょう。この時のこと、すごく感謝しています。
それ以来、自然への価値観や食への想いが合致してすぐに意気投合。シェアハウスに通い詰め、入り浸り、準住人という肩書きを経て、いつしかルームメイトになっていました。
もはや友人を超えて兄弟や家族のように、生活を共にし、内記を含めた仲間達で海に潜ったり山に登ったり、昆虫食やジビエなど、食の探求を続けていきました。
その中で、「将来、自分たちの想いを込めたものを一緒に創ろう。」という約束をし、酒造りの修行に向かいました。
正直、活動理由というものを説明する必要がないほどに、祐太の食へ対する価値観、考え方、向き合い方への共感が強く、離れていても、言葉にしなくても、同じ方向を向いていると思っています。
理屈ではなく、食べることって本当に楽しくて、面白くて。祐太の言葉を借りると、食は作業ではなく、まさに冒険であり、その冒険を皆で一緒にできることが自分の人生においての生きがいなのです。共に時間を過ごすこと、一緒に自然と触れ合うこと、くだらない話や時には真面目な話をしながら、美味しいお酒を飲み交わしてご飯を食べることが僕にとっての何よりもの幸せです。
そしてその幸せを、もっと多くの人と共有し、ずっとみんなで笑顔で過ごしたい。それが僕のANTCICADAにかける想いです。
スーパーには加工されたお肉が当たり前のように並び、飲食店に行けばボタン一つで食べ物が出て来る、そんな時代。コンビニに行けば、24時間いつでも食べ物が手に入り、余ったものは破棄される飽食の時代。技術発達により、一年中同じ食べ物を食べることができ、季節の食べ物、旬の時期が分からなくなってきている。
それどころか、魚の切り身が泳いでいると本気で考えている小学生がいる時代。
お肉はもともとどんな生き物のもので、誰がどんな風に加工して、どのように調理され、我々の口まで届くのか?野菜はどうやって土から芽生え、育てられ収穫されるのか?
そんなことを知らずに、地球への感謝の気持ちを忘れて消費するような生活を送りたくない。
日本酒も地球からの恵みであるお米と水を原料に、自然界から取り込まれた微生物達によって醸されるものです。人が造るのではなく、造らせていただくもの。祐太にとっての虫と同じく、お酒でも野菜でも魚でも、全ては地球からの恵みであり、ものは違えど根っこの部分は変わりないものです。
僕自身は造り手として、他のメンバーとは違った視点から、地球と向き合えると思っています。その体験をさせてくれているみんなに感謝すると共に、僕にしか出来ない体験をANTCICADAのメンバーと、そしてお越しいただく皆さんと共有できたら嬉しいなと思っています。
酒造りは微生物という生き物たちに、そして彼らが織りなす発酵という現象に寄り添う仕事のため、冬場は酒蔵を離れられず、寂しいこともありますが、食の最前線を突っ走るみんなからいつもエネルギーをもらって、夏に会えることを楽しみに頑張っています。
長々と失礼致しましたが、ここまでおつきあいいただきありがとうございました。しばらくの間は直接お会いすることが難しいかもしれませんが、このメンバーと、皆さんと一緒に食の冒険の日々を送れることを楽しみにしております。
夏にはぜひ、一緒にお酒を飲み交わしましょう!
何卒、よろしくお願い致します。
ANTCICADA 大髙尚人