現在行われているエンデューロには、排気量によるクラス分けのない場合があります。125、250、もっと排気量のあるバイクが同じクラスで競います。一般には排気量の大きいバイクのほうがパワーがあって有利と考えられますが、オフロードでは一概に言えません。いくらパワーがあってもタイヤの大きさが同じだからです。
北海道のトップランカーの方に練習を見せてもらったことがあります。そのとき、山の中では20馬力あれば十分という話を聞きました。じっさい、その人がレースで使うバイクはせいぜい30馬力の4スト250でした。
現在の2スト250は50馬力以上の出力があります。でもエンデューロでそのパワーを使う場合はあまりありません。むしろ、中低速のトルクを使う場合がほとんどで、とくに難所では低速の粘りを使って走っています。アクセルの開け方もコーナーの出口でがばっと開けるのではなく、タイヤのグリップが失わないように調整しながら開けます。
125ではどうしても低速のトルクでは250に負けます。でもバイクの重量を見ると、125が90キロ、2スト250が100キロ、4スト250は110キロあります。この重量の差がエンデューロでは有利に働くことが出てきます。軽さは武器です。バイクを起こしたり持ったりすることが多いレースでは、125は圧倒的に体力の消耗を減らしてくれます。また女性ライダーに125が多いのは軽さのせいです。
初期のころの2ストロークは低速がなく、回すとパワーが出るピーキーな特性でした。80年代に日本メーカーが排気バルブを可変させるシステムを考案して、90年代には世界的に普及しました。現在の2ストロークエンジンの基礎を作ったのは日本メーカーです。現在の2スト125は低中速の特性を見ると4スト250に近い数値があります。非常に扱いやすくなっているのです。
125といえば半クラッチを多用する特殊な乗り方が必要でしたが、いまは4ストとあまり変わらないエンジンです。初心者、女性などにはぴったりのバイクと言えます。