今年も杜の樹の梅の花がようやく咲きました。
今年もこの梅を愛でながらこの梅で作った梅酒を味わいます。
5月になり、北海道、小樽あちこちで桜や梅が咲き始めています。
(梅前線は桜前線よりのんびり北上するので、北海道で桜と同時か桜より遅く梅が咲きます)
年年歳歳花相似
歳歳年年人不同
唐代の詩人、劉希夷の「白頭を悲しむ翁に代かわりて」の第4節です。
古人復た洛城の東に無く
今人還た対す落花の風
年年歳歳花相似たり
歳歳年年人同じからず
言を寄す全盛の紅顔の子
応に憐れむべし 半死の白頭翁
昔の恋人はもはや洛陽にはいない。今また、若い恋人同士が風に散る花を眺ながめている。
冬が終わって春になると、昔年と同じように花は美しく咲くけれど、一緒にこの花を見た人はもはやこの世にはいない。
若く、美しい君達に云っておく。若いと云うがすぐ年老い、黒い髪も白くなるのだ。
そういう意味に詩だそうです。
それを杜の樹風にアレンジ。
年年歳歳宿相似
歳歳年年旅不同
毎年毎年、この宿は同じようにそこにあるが、そこに来る旅人の旅はひとつとして同じモノはない。
一人一人の旅は違うし、同じ旅人でも、去年の旅と今年の旅は違う。
同じ旅はひとつとしてないが、この宿は同じように旅人を迎えよう。
これは、杜の樹の矜持であり理想です。
いつかその旅人が戻ってきたとき、ほっと安心できるような宿でありたい。
何か目新しいおもてなしや楽しげなひととき、便利なアメニティなどなどがあるわけではなく、以前来たときと変わらない山や海にの景色のように、そこにある空気のような宿でありたいと思っています。
今年も花が咲きました。
でも、今年は少々旅が旅人が違います。
こういう事態も旅の旅人の宿としての受け止め方。
それでも、やはり変わらない宿として、ここにあり続けたい。
花が咲きました。そして散ります。
そのあとは新緑の季節になり、汗ばむ夏も来ます。いつしか葉も色づき、そのうちまた寒く長い白い季節が来ます。そしてまた、花が咲きます。そういう流れの中、この宿は変わらず旅人を迎えていきます。
それぞれの旅を愉しんでください。
また花は咲きます。
旅も続きます。