新型コロナウイルスの影響で、日本でも失業や減収など、人々の生活に経済的悪影響が起きていますが、世界の難民たちもまた、同じ苦境に立たされています。
ヨルダンで、難民キャンプの女性たちと協力し刺繍製品を作っているバスマ・ナゼールさんに聞きました。(※本ストーリーは、4月末時点のものです。)
難民キャンプの女性たちと刺繍製品をつくる
バスマ・ナゼ―ルさんは、34歳のヨルダン出身の女性です。彼女は、「糸」という意味の社会的企業「Khoyoot」を経営しています。Khoyoot社では、CAREの支援により難民の女性に刺繍の講座を提供し、その後、様々な刺繍製品の製作を依頼することで彼女たちが収入を得られるようにしています。また、製品の売り上げによる収益は、より多くの講座を開くための資金に使われます。
バスマさんは、家族の生活資金を一手に背負わなければならない、難民キャンプの女性たちを支えています。
新型コロナウイルスはあなたと家族の生活にどのような影響がありましたか?
新型コロナウイルスによって、ロックダウンされました。幼い子どもがいながら家で働くことや、仕事と家族のバランスを保ちながら働くことは、簡単ではなく、大変です。私の夫も私も最近は家で働いていますが、幼い子どもがいる家庭では簡単ではありません。私は、難民キャンプにも行くことができません。
これまでで、新型コロナウイルスによるビジネスへの影響はなんですか?
ヨルダンでは、ロックダウンだけでなく、空港も閉鎖されているので、現在は製品の輸入も輸出もありません。Khoyotto社においては、発送もできないので、もはやヨルダン国外に製品を販売し送ることはできません。また、ヨルダン国外からくる材料をとても頼りにしているのですが、それも今は限られています。私たちは、ロックダウン前に入手していた最後の生地を使って作業しています。しかしそれが終われば、この生地は現在全く材料を輸出していないフランスやヨーロッパから仕入れていたため、私たちはこのコレクションの作成に取り組めません。
私は難民キャンプに暮らす女性に家でできるたくさんの仕事を与え、製品の在庫を確保したかったのですが、私たちが持っている生地は限られているので、それを惜しみなくすることはできなくなりました。
協力している難民の女性たちは、どのような影響を受けましたか?
持っている資源の限界とロックダウンにより、深刻な状態です。最近では、難民キャンプの女性は、限られたわずかな材料で働いています。彼女たちは、今まで日々の収入で生活していましたが、今では以前のようには収入を得る事ができません。助けてくれる夫がいても、ロックダウン中では、彼も以前もらっていたような日々の収入を得る事ができません。難民キャンプに住む女性の多くは、自分が家族の主な収入源です。現在、大きく売り上げが下落しているので、女性が多くの製品を生産することができず、これが彼女たちに大きな影響を与えています。
私たちは彼女たちを助けるために最善を尽くしていますが、材料が限られているため、これ以上の生産を始めることができません。今、難民キャンプに住む女性は、特にこの期間に貸付金を求めたり、食糧の支給がないか慈善団体に確認しに行ったりしています。
この難局で、難民のコミュニティにとってあなたのビジネスはどのように重要だと思いますか?
難民キャンプに住む女性は、私たちを最も必要としています。彼女たちは辛うじて、収入を得ていて、そして基本的な食糧の支給のほとんど手に入れることができません。だから、私たちは、彼女たちが日々の収入を得ることができるように、新しい製品ラインの立ち上げに挑戦しているのです。
Khoyoot社では、現在、主にヨルダン国内から仕入れた材料を使用する、二つの製品ラインを生産しています。難民キャンプにある一つの店と連絡を取ることができ、彼らはたくさんの糸をくれました。私も、それら二つの製品ラインのデザイン作業に注力しています。そうすることで、ヨルダンで揃えられる材料を使った新しいコレクションで、日ごと、週ごとに彼女たちが給料を得ることができます。この厳しい時期を乗り越えて、彼女たちにより多くの収入がもたらされ、助けることができると考えています。
※本ストーリーは、4月末時点のものです。6月上旬より、ヨルダンでは全国的なロックダウンが段階的に解除されていますが、バスマさんと難民女性にとって、コロナ以前のような売上に戻すには未だ困難が続いています。
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感染の脅威を免れても、その日暮らしの不安定な職に就くことの多い難民たちは、経済的に苦境に立たされています。私たちはこのような状況の難民たちに、食糧や現金支給による支援も行っています。
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