「犬キューピット」のリニューアル前の本を知人に売り込んでいた時に出会った一軒のお店と、一匹の犬のお話。
ZORIONの意味は「幸福」。そんなお店のロゴマークのお話。
人間でならばおそらく50歳を過ぎているその「シュナウザー」がうちにきたのは、6月のある日のこと。6月(ジューン)にちなんで、名前は「ジュノ」になった。
当時TVドラマの影響でシュナウザーブームが絶頂で、ジュノはそのブームの犠牲になった「繁殖犬」でした。おそらくずっと劣悪な環境で過ごし、何度も何度も、赤ちゃんを産んでは奪われ、産んでは奪われ、そしてあっさり捨てられた末にうちに来た。せめて余生は「普通の犬」として暮して欲しい。美味しいご飯、ふかふかのベット、可愛いお洋服。けれど、繁殖犬として「人間の為に子供を産むことだけが生存理由」だったジュノには戸惑いでしかなかったみたい。それだけじゃなく、一歩檻の外でさえ、ジュノにとっては未知の世界。犬の大好きな散歩で、たった一歩踏み出すのさえ、怯えてためらった。
それでもジュノは人間を怨まなかった。私たちの愛情を受け入れ、楽しみ、頼りにしてくれた。ジュノはまごうことなき「家族」。だから、ひとりぼっちのお留守番は少しでも短くしたいし、家族団らんの時間は少しでも増やしたい。でもまだまだ人と犬が一緒にお出かけするには、今の生活環境は不自由、不都合な事ばかり。
人と犬の共存が幸せであるライフスタイルを広めたい。飼い主もペットも、同伴マナーが高まるような練習できる場所。ペットと一緒に入れるお店あればいい。そんな想いのぎゅっと詰め込まれてペットフレンドリースタイルのバルカフェ「ZORION」はオープンしました。だからロゴマークには「ジュノ」がいるのです。
(リニューアル版にはこのエピソードも登場します)