厳密には歌舞伎ガカリではありませんが、私の世界観が生まれる大きな起点となった映画をご紹介します。
篠田正浩監督の『心中天網島』です。1969(昭和44)年の作品ですから、50年以上も前の作品です。
近松門左衛門を原作に、デフォルメと省略だらけのセットに黒衣(くろご)がそこかしこに登場します。一見、歌舞伎ガカリには見えますが、篠田監督は人形浄瑠璃(文楽)をベースにしたといいます。主演は岩下志麻と中村吉右衛門。当代・吉右衛門さんの若き日の匂い立つようなお姿が拝めます。フォトギャラリーでぜひご覧ください。(→出典:IMDb)
20歳の時にたまたまテレビオンエアを観たんですが、まさにこれだ!と思いました。映画監督への思いと古典文化への憧れが合わさった瞬間でした。
ほかに私の歌舞伎ガカリのエッセンスは、木下惠介監督『楢山節考』(58)や、鈴木清順監督の『陽炎座』(81)などが挙げられます。
いずれも配信でご覧になれますので『宮城野』とあわせて、お楽しみいただければと存じます。
■篠田正浩監督『心中天網島』Amazonビデオ/TSUTAYA TV
■木下惠介監督『楢山節考』Amazonビデオ
■鈴木清順監督『陽炎座』Amazonビデオ/TSUTAYA TV
映画『宮城野』監督 山﨑達璽