8月15日付の静岡新聞、朝刊に載せていただきました!! “パエリア世界一”目指す 富士出身・川口さん決意 富士市凱旋についての記事はこちらをご覧ください。 anocado 最新ブログ【富士でパエリャ】
【anocado 世界に挑戦 2017 】ー palla era あなたの為に ー 本場のパエリャを体験 (食べる編) 奥深いパエリャに感動している私をさておき、女性陣は食事の準備で大忙し。まずは、テーブルクロス。なんにせよ、テーブルクロス第一主義。普段の作業台の時は作業台。食事の時は、テーブルクロスなのだ。テーブルクロスを敷くことは食事に対する礼儀なのか、皆のテーブルクロスへの執着はお伝えするのが難しいくらい、テーブルクロス主義なのだ。テラステーブルにクロスを敷き、食器を並べ、ビールにワイン。レモンソーダにコカコーラ。 ここスペインでは、事あるごとにレモンソーダである。実際にとてもキャッチーなお味のレモンソーダ。ファンタのレモン味なのだが、日本ではあまり見かけない。暑い昼下がり、ビールをレモンソーダで割って飲む”クラーラ”は格別。 なくてはならないほどである。 テーブルの準備が整ったら、いざ実食!! 突然、ミゲール先生が汗を拭きながら、意見を聞く。「お皿で食べる」or「鍋ごと食べる」かの選択である。半数がお皿を選択した。半数がお鍋を選ぶことに。 テラスのテーブルにパエリャ鍋がやってきた。やはり70cmのお鍋は豪快である。黒い鍋に、黄色のパエリャ。青い空に白い壁。緑が揺れる最高のコントラストである。お皿組は、ややお鍋の遠いところに、そして、お鍋組である。ミゲール先生がお鍋組に意見を聞く。「どこに座るのか?」私は、何のこっちゃ分からなかったが、数名がパエリャ鍋を見ながら、席を指差していた。順調にお鍋組も席次が決まり、念願のパエリャバレンシアーナ実食。 「ペシっ!」スプーンをお鍋に向けた私の右手は、ミゲール先生に撃沈された。「ゆーき。ダメダメ。」あっ。”いただきます”を言わずに食欲という欲に包まれた私の心を、流石の先生はご察しになられたのか。はしたない私。気持ちを正して”合唱”そして”いただきます”。「ペシっ!」「ゆーき。ダメ。ダメ。ダメ。」もはや、食欲に侵食された私の右手と、アミラーゼたっぷりの唾液が溢れかけていたが、先生のストップは絶対である。一時停止を余儀なくされた私は、交通ルールに則り、右を見て、左を見て、さらに右を見て確認をした。皆、美味しそうにスプーンを進めているではないか。 もちろん、ミゲール先生もモグモグとパエリャを食している。私だけが、お預けくらっているのか?”ははーん。”軽いジョークと認識した私。懲りずに、スプーンアッタクを仕掛ける。「ペシっ!」いやもう一度、この手のジョークは、繰り返すことにより実るタイプである。「ペシっ!」「ペシっ!」意外と、ミゲール先生も突っ込み好きである。 この茶番を繰り返すうちに、私のロックオンしていた、食べたいお肉はタカシの口の中に。タカシの胃の中に、タカシの腸に向けて旅立って行ったのである。”シェーン。カムバーック”届かぬ願いと、悲痛。 一目惚れしたあの子は、まさか仲間のタカシに取られ、私はここに一人残されたのである。 早朝の遭難劇の罪をここに感じればよいのか、数々犯してきた人間の煩悩をここに思いはせば良いのか?自問自答を繰り返す。戻らぬシェーン。戻っても困るシェーン。いやむしろ違う子を探した方が良いのでは?なんて自分勝手な男である。 と、ハルコさんが「バレンシアスタイルなのよ。」スペイン版三蔵法師のお告げである。”???”ナンノコッチャのパンナコッタのアナコンダである。「ほら、さっき席次を決めたでしょ」 ”うんうん”「座った場所からお鍋にの中心に向かった三角州のエリア」 ”うんうん”「この部分が君の領域」 うんうん”「君がスプーンを向けた先は、タカシくんの領域ということ」”うんうん”と、三蔵法師と野猿のやりとり。 野猿がミゲール先生の顔を見つめると、ニコニコと頷いている。野猿は、スプーンを進ませた。野猿は、感動した。まず、どこまでもひらがるチキンのコクと余韻。こんな表情のチキンの旨味は初めてである。国内でも銘柄鶏や地鶏では追いつかない旨味である。その鶏は少し黄色味があって個体の大きい。ちょっと値段のはる種類。格別な美味しさだ。そしてふっくらなお豆。スープを吸ったお豆の繊維がねっとり舌を覆う。鼻に抜けるサフランとローズマリーの香り。それでいて、トマトやニンニクパプリカの個性は感じない。しかし厚みがあるお味。ピアノはチキン。ヴァイオリンにお豆。チェロをお米の三重奏のハーモニー。さらに、ヴィオラのニンニク・トマト・サフラン・ローズマリー、コントラバスに兎の五重奏。この楽団をまとめた指揮者はミゲール先生なのだ。出るとこは出る、引くとこはひく、探せば見つかるし、探さなくても存在する。邪魔もしないし、主張もしない。ってつまり「どんな味?」 ズバリ。「パエリャバレンシアーナ味」なのだ。 日本式に答えるなら、塩味であるが、そういうことでは片付けられない。つまり、こうである。”お蕎麦”は何味?そう、蕎麦の味である。そばつゆは、何味?日本式には、醤油味である。野猿的には、カツオと昆布とカエシの味である。ナポリタン”は何味?そう、ケチャップ味である。ケチャップは、何味?日本式には、トマト味である。野猿的には、焼いたトマトと、ナツメグと炒めた玉ねぎの味であるあるおっちゃんが言った。釣りばっかしてるおっちゃんが。”ヘラに始まりヘラに終わる”あるおっちゃんが言った。麻雀ばっかしてるおっちゃんが。”ピンフに始まりピンフに終わる”ある野猿は悟った。パエリャ馬鹿の野猿が。”バレンシアーナに始まりバレンシアーナに終わる” ここまでで十分に”パエリャバレンシアーナ”の魅力が溢れ出してしまっている訳だが、さらに恐れ多い事実が待っている。その名は”ソカロッ”という存在だ。この”ソカロッ”はパエリャバレンシアーナの森を抜け行き着いた”テンジク-天国-“。パエリャ鍋の底に生息する神秘的な存在である。色は、茶褐色の飴色で、香ばしさと程よい粘りを持っている。「ソカロッがなくてはパエリャであらず」これがバレンシアでの鉄則なのだ。この”ソカロッ”をコントロールできれば立派なパエリャ職人の証。ここを目指し日々研究を重ねる日々が始まっていくのである。 続く。。。
今週は西伊豆へ、、、 今年のチームメンバーでもあるしまけんさんのキャンプ地へ出張パエリア! パエリアコンクールに向けての練習をいつも気にかけ、サポートしてくれている方々をお招きしてパエリャを炊きました。 照りつける太陽はさすが海!! 滝のように流れる汗を感じながら、薪でパエリャ作り(^ ^) anocado を愛してくれているメンバーに見守られながらのパエリャは、みんなの魂が沢山注入されて、最高の仕上がりになりました(^ω^) ディナーはカサゴとスズキを仕入れて、夏野菜とワインで豪快にバポール(蒸し焼き)!! 海辺をイメージしてセレクトしてきたワインや、みんなの持ち寄りタパスでanocadoアウトドアバージョン。 ディナー後は、日が暮れるのを眺めながらワインとチーズを囲んでこれからの夢を語り合いました。 みんなが協力しあって、誰かの為に作るパエリャ。 私たちがパエリャでやり続けたいことの一つです。 これからもたくさんの方々の為に、愛を込めたパエリャを作り続けます!!
先日の店休日を利用して、千葉県のとある田園を見学してきました。 こちらの広大な田園は、日本パエリア協会のエバンジェリストでもある、副業家の中村龍太さんのアジト!! 中村さんもまた、パエリャの魅力に引き込まれお米の研究までも始めてしまったパエリャマニアの一人です。 今回は、中村さんが研究しているパエリア米の見学。 そして、一般の方でも手に入りやすい食材を使ったバレンシア風パエリャを一緒に作りながら、パエリャの可能性・パエリャの未来について色々と語り合ってきました(^ ^) 今回は、採れたてのナスと那須で採れたインゲンを使って、、、 snow peakのお洒落アウトドアグッズを使ってLet's PAELLA!! 今回は、薪を使って作るパエリャとガスとスキレットで作るパエリャにチャレンジ(^ ^) 最後はもちろん、パエリャを囲んでのパエリャミーティング!! スコールのような通り雨の後には大きな虹がかかり、大人たちも大はしゃぎ(^ ^) パエリャの未来は明るくて、可能性は無限大。 環境や道具、一緒にパエリャを作る仲間が変わるだけでも毎回様々な表情を見せてくれるパエリャ。 またまたパエリャの魅力に引き込まれてしまった私たちなのです。 今週は海でパエリャミーティング予定。 今度のパエリャはどんな表情を見せてくれるか。。。 今から楽しみで仕方ありません。
自分以外の全てに時間は平等に流れているもので、私のいない合宿キャンプでは、順調にパエリャパーティーの準備が進んでいた。 車にゴロゴロとオレンジの薪を積んでミゲールさんが到着。ついで大きなプリンを焼いてきたハルコさんも到着した。 初めて見るオレンジの薪。形は不揃いで繊維が複雑に絡まっているようだった。挨拶をしながら薪を積み直しいよいよパエリャ作りにとりかかる。 丸鳥に包丁を入れ、一羽目の解体を終えると、ミゲール先生のストップがかかった。「ゆーき。ちょっと見ていてくれ。」2羽目はミゲール先生がさばく。カッティングがこれまでやってきた方法と違うのである。本場のパエリャの肉のカットを目の当たりに、疑問は次々と消え新しい技術にワクワクしていった。2羽の鶏は綺麗に解体され、次はうさぎの解体に入る。ここでは私も最初から、ミゲール先生に指揮をお願いした。当時の私のうさぎのカッティングは疑問も多くずっと困惑していたからだ。ミゲール先生は、これまた慣れた手つきで「ここが美味しいよ」と切り進んでいく。このカッティングは素晴らしく、パエリャを食べる事を計算した素晴らしい作業だった。 肉の作業のかたわらでは、まゆとハルコさんが、スペインのインゲン豆「ガラフォン」のカットやニンニクのカットをしていた。タカシは、薪に火を起こし、それぞれがお喋りしながら作業は進んでいく。大会は、2時間30分という制限時間に完成させなくてはいけないが、今日は少し余裕を持っておこなうことにした。 ミゲール先生の指揮のもと、パエリャ鍋に皆んなの思いが寄せられてくる。 オイルの量、肉の焼き加減、ニンニクやトマトの量も、ミゲール先生の感覚。周りの皆んなは、作業の確認をミゲール先生に告げる。その様は、怖く厳しいものではなく、楽しげに進んでいくのである。薪をくめながら、パエリャ鍋の中は進んでいくので、やはりサポートは大切。ハルコさんとミゲール先生のコンビネーションは流石の流石で、サポートにはサポートの腕前があることを学ぶ訳である。 さてさて、この「パエリャバレンシアーナ」。ミゲール先生の先生は、ミゲールさんのお父さん。そして、ミゲールさんのサポートのモデルはミゲールさんのお母さん。つまり、このミゲール先生のパエリャは味だけでなく、「パエリャを作る空気感」も代々伝わってきた、伝承ということなのだ。 日本においては、正月のおせち料理なんかが似ている。各々、家庭の味があり、お母さんからお嫁さんに伝承する。その裏側では大掃除したり、蕎麦打ったりの主人。大晦日の過ごし方や、元旦の過ごし方は、到底変わらない。こちらも、おせちの味だけでなく、「正月を過ごす空気感」が伝承されていると思うのである。 話は、バレンシアに戻ると、このパエリャは各々の家庭で月に一度。はたまた、週に一度行う家族のコミュニケーションツールとなっているということ。父から息子に、時間をかけて伝わっていくレシピや技法。母のサポートなくしてはパエリャは完成せず。この空気感んも時間をかけ染み込んでいく。いつしか、息子が8割がたの作業をやってのけパエリャを囲む。その頃には、サポートも息子の彼女だったり、パートナーだったり。交じり合いながら、パエリャを通じて家族のコミュニケーションが折り重なっていくのである。このコミュニティーが沢山あって。それぞれ存在を続けている。もちろん、「今週は自分の家のパエリャだよ。」や「来週はアントニオの家のパエリャだよ。」となるのだが、味や雰囲気の否定はしない。各々のアイデンティティーを尊重できているのだ。そして、「自分のパエリャを大切」にし続けていく。 パエリャは料理であり、哲学で、生き続けるスピリチュアルな世界なのだ。 現場に戻ると、ミゲール先生の息子や娘。そのお友達のカップルや近所のファミリーも合流した。ミゲール先生もビールを片手に汗だく。スープを味見し、息子と打ち合わせ。味の伝承の作業である。息子の意見のもと、ミゲール先生が最終決定。いよいよ米の投入である。周りのオーディエンスもパエリャ鍋の周りに集まって、米が入る。ちょっとした拍手とともに、それぞれの居場所に戻っていく。やはり、神秘的な作業なのだなあと。嬉しく思えて。ニヤニヤとしてしまう私。 数分がたち、美味しいスープを吸ったお米が見えてくる。ミゲール先生とミゲールJr.の息もピッタリ。お米を平らに美味しそうに鍋をコントロールする。最後は、「おこげ」の作業。静かに耳を傾け、お米の声をきく。「ぱちっ」「ぱちっぱ」「ぱっぱぱちっ」ミゲールJr.が完成のサインを出し。ミゲール先生が、火から鍋を外した。 ミゲール家の伝統の「パエリャバレンシアーナ」の完成である。 少し、東京で忘れてしまった、代々伝わる家族の伝承。そんな難しいことではなくて、家族の約束?家族のヒミツ?家族のあ・うん?ってヤツでしょうか。私も、父から教わったこと。母から教わったこと。はたまた、祖父や・祖母から教わったこと。たくさんあるけど。このパエリャみたいなストーリーは持っていない。持っていないのに何故か懐かしく、憧れてしまう。さらに、2016 パエリャ世界チャンピオンのチームは親子でバルを営んでいるお店でした。 本場のパエリャパーティーには、騒がしい宴会でもなく、ストレス発散の寄り合いでもなく、パエリャを通じて、家族や仲間とコミュニケーションをとり、互いを尊重していく学び場であり、伝承のセクションであったりで。想像以上の収穫となったのです。 パエリャは、道具であり、食べ物であり、習慣であり、儀式であるということ。縦と横の時間をパエリャが編み、人と食物をもパエリャが結ぶ。パエリャは奥が深いのである。