似顔絵こけしミアウペッケ・プレミアムの魅力をもっと分かってもらえるように、工夫したところをお伝えしたいと思います。なお、写真はご主人様のご了解を得て載せてます。
【 似顔絵こけし 】
ご主人様から写真を送ってもらって、はじめに下絵(ラフなモノクロの絵)デザインをします。猫ちゃんのどこから見るかというと、やはりお顔です。目の位置と形、瞳の形と虹彩の様子から目力をつかみ取って、ミアウペッケの「見あう」に相応しくなるように丁寧に鉛筆で写しとっていきます。猫ちゃんたちがご主人様を見つめている様子はどの子も似ているのかなと思えました。
次に写し取るのは、鼻、口、ひげ、目頭、頬と額の模様です。デフォルメするより写実するように取り組んでいる部分です。それでも単純化していくとさらに似てしまいます。そして和やかな顔立ちにしてあげたいとの功工人の思いがあるためでしょう、描彩されるとどの子も笑顔になっています。
・・・この続きは、モデル猫ちゃんの写真と、似顔絵こけしミアウペッケ・プレミアムをお見せしながら、工夫をこらしたところをお伝えします。最後までお読みくださいますようお願い申し上げます。
天空の「こてつちゃん」
【 ご主人様の愛でスポット 】
丸模様、長いしっぽ、おおきい耳
【 特徴 】
・大きな目と小さい口、耳はやや大きめ
・目の虹彩はハシバミからミドリへ
・額の模様:|AΛ| 、頬の模様:3本線(下が長い)、後頭部の模様:5本線
・体の模様:「王」+「◎」+「二」を筆使いで強調
・背中:三本線(中央長め)と上半身が「北」
・しっぽ:直線的に下がって先は斜め下へ長く(縞模様4本)
教えて戴いた性格と送って戴いた貴重な幾つかの写真を基に、想像を膨らましてデザインしていきます。こてつちゃんのご主人さまが選んだ写真は特にお気に入りのもののように感じられました。
「おぼちゃま」らしい上品なたたずまいに挑戦してみました。周囲に目配せしているような眼差し、口元は小さめ、を意識して下絵を描いてみました。これを確認してもらいながら『目の色はハシバミ色からミドリ色へ』『首回りの白色は口周りから胴体へ』などの特徴を具体的に教えてもらいました。下絵を描彩図へ仕上げるのにとても助かりました。
写真だけではとらえきれない色彩の変化や模様があることを学びました。目は深い透明感があり、体毛は綺麗なシルバーです。描彩前のまだこの段階では、ÜOILなら艶があるので上手く行きそうな気がしていました。
腕には「王」の紋様を、同体には「二重丸(中は黒丸)」の紋様を、足には太く跳ねた感じのある綺麗な紋様、さらには背中側の紋様までも、それぞれに特徴があるのでデザインすることにさほど迷いはありませんでした。しっぽも元気な縞々模様が素敵でした。功工人のオリジナルデザインを反映できる模様だったので嬉しかったところです。
苦心することになったのはここから。透明感ある瞳の描き方です。ÜOILの黄色と緑色と青色をどのように選択するか、色を混ぜるのか、下地に白色を塗ればよいのか、いろいろと思い悩みました。それともいっそアクリルのような別の塗料を使ってしまおうかとも考えたほどです。
描彩図では色鉛筆を使います。重ね塗りが可能ですし何度も書き直せるので雰囲気を寄せることができます。これをÜOILを使って透明感ある感じになるように功工人にチャレンジしてもらいました。
瞳はÜOILを一色一色重ね塗りしていきます。油性塗料なので乾くまでに時間が必要であることから仕上がるまでに数日かかることも。特に黄色はとても薄くて実物に近づけることはあきらめなくてはなりませんでした。重ね塗りするまえに試しにマニュキュアで描いてみたら光りすぎて、まったく不自然で似合いませんでした。手間を惜しまず重ねていくしかなさそうです。研究を続けていきます。
(後日談)実はちょうどその頃、功工人の愛猫のあむちゃん、その左目が白濁する病気に罹りました。幸い動物病院で治療して徐々に回復していきました。先日工房を訪問したら目がすっかりよくなってしました。珍しく近寄ってきてくれて、はじめてお顔をじっくりみることが出来ました。とてもきれいな目の色なのでしょう。本物を観察することの大事さが改めて身に沁みる出来事でした。だけれども、猫ちゃんはいつも自由だから、すぐどっかへ行っちゃうので難しい、くくく。
出来上がったミアウペッケをいまは天空で自由に遊ぶこてつちゃんが気に入ってくれると嬉しいです。
地元の「宮男ちゃん」
【 ご主人様の愛でスポット 】
たとえラフスケッチであっても絵に描いてもらうと分かりやすいです。功工人の想いを知ることができました。
【 特徴 】
・おとなしく真っ直ぐ前を見ているその目がハンサム
・口元はビビりで小さめ
・体の模様:毛並みは細い、中央には点々の模様
・背中側:頭5本、胴は3本線(中央が太目)
・しっぽ:矢羽根模様(功工人のオリジナルデザインがある)
ミュージカルキャッツが大好きなご主人さま。ミアウペッケの由来を聞いて大変気に入ってくださいました。宮男ちゃんの名前の由来は鳴き声と宮城県生まれだからなのだそうです。ギターの練習をしていると、なぜかいつも同じタイミングで「みぁお」と鳴いてくれるサービスもしてくれるとか。
『愛でスポット』があるとの表現で教えてくれたのが宮男ちゃんのご主人さまです。背中のボツボツ模様は絵で教えてもらうまでは読み取れませんでした。そのままの写実ではなく、こけしらしく単純化しました。しっぽは、この写真を見た瞬間に功工人が以前に試して描いたことのある矢羽根模様を思い出しました。ここは想像するまでもなくデザインすることが出来ました。ミアウペッケには性格まで表現したいと思っているので、甘えたいといってるしぐさを背中としっぽから感じ取ってもらえたら嬉しいです。
こんなツーショットを見せてもらったら、作者としてはこのうえなく幸せな気分になります。1品を末永く大事に扱って(かまって?)くれるものと思います。これからも皆さまのねこへの深い慈愛を想像してミアウペッケを作っていきます。
こけしはデフォルメと単純化の作品です。一見するとかわいい。でもそれだけではない奥深いものが感じられます。詩人でフランス文学者の堀口大学は「こけしは なんでかわいゝか おもうおもいを いわぬから」と詠いました。この記念碑が置いてある白石市のホワイトキューブは、全日本こけしコンクールの会場です。来年の開催に向けてポスター制作が進められています。3年ぶりに必ずや開催されることを願うばかりです。
・・・スペシャルなミアウペッケを出典するつもりです。