
ご無沙汰しています。皆さま、お元気でお過ごしでしょうか?私は7月24日にバンドの仲間たちと関西空港に着きます。
現在日本で開催されている万博にブルキナファソの代表として出演することになりました。8月4日(ブルキナファソのナショナルデーです)午後4時から5時50分まで、ナショナルデーホールでオペラ公演を行います。同日の午前11時から12時まで、やはりナショナルデーホールで行われるブルキナファソの国家式典でも演奏します。翌日5日は、ポップアップステージ(東内)において夜7時から1時間ほどのコンサートをします。
前回の活動報告に書いた夢-「マブドゥがいつか飛行機に乗る日」が目前に迫っています。
ブルキナファソは、途上国支援プログラム対象国として万博に参加しています。今回のオペラ公演は、ブルキナファソ暫定政府の推薦により参加が承認されましたが、純粋にボランティアとしての公演で、無償で上演します。往復航空券、5泊6日分の宿泊費用と日当は万博側が負担してくれるのですが、それでも、ブルキナファソのような貧しい国からの参加者にとって、これがどれほど大変なことか、すぐにはご理解いただけないかもしれません。パスポートを申請し、VISAを取得し、指定された予防接種を受け、普段はむき出しのまま運んでいる楽器のカバーも、飛行機にチェックインするのにふさわしいように作らねばなりません。万博が領収書と引き換えに払い戻してくれるまで、自分たちでホテル代を立て替えねばなりません。何よりも、途上国支援プログラムでは出演者・ステージ技術者チームを含めて10人しか招待してくれませんので、オペラに必要な合唱団をどうしたものかというのが、最大の悩みでした。そもそもこの10名の枠は、国家式典の中の40分の文化イベントを行うために設定されているようで、オペラのような大きな作品を上演するという想定はされていないようです。
しかし、私たちは2020年初頭から5年半かけてこのオペラを制作してきました。この間のブルキナファソの激動の時代を作品に反映させてきました。
テロリストが国土の4割を占拠し、テロとの闘いで人々が命を落とす中、政府は万博参加を決めました。そしてこのオペラがブルキナファソの国民感情を高揚させ、長期にわたるテロとの闘いを乗り越え、共に平和へと歩んでいく力となることを認めて、文化代表団として選んでくれたのです。マスメディアを通してでは、遠く離れた国の人々になかなか伝わりにくいブルキナファソの庶民の心情を、オペラを通して浮かび上がらせ、音楽を通して共感を得ることも期待されています。
幸いにも、内閣官房プログラム・万博国際交流プログラムというものの存在を知り、昨年末に奈良県橿原市にお願いし、ブルキナファソとの交流のためにこの事業に登録していただきました。これによって橿原市立金橋小学校の有志の児童たちが合唱・ダンスでオペラ公演に参加してくれることになったのです。当初20~30名の児童を募集しましたが、予想をはるかに上回る応募があり、68名が万博の舞台で演技するために練習を重ねています。7月25日から彼らと合同で練習するのが本当に楽しみです。
日本で万博開催に反対する声が多く上がっていたことも承知しています。私自身、この万博のあり方に全く疑問がないかというと、そうではありません。ですが、私たちにとって、これは日本の皆さまにオペラを観ていただく千載一遇のチャンスです。8月4日に万博・ナシオナルデーホールで皆様にお目にかかれればこんなにうれしいことはありません。お待ちしています!




