朝日新聞に本プロジェクトを取り上げていただきました!プロジェクトリーダーの大澤祥子、大学生メンバーの淵上貴史がインタビューを受けました。ぜひ、ご一読ください♪ ***************** 以下、記事の抜粋です: 若者が集うキャンパスなどで、性暴力の被害者にも加害者にもならないように――。そのために必要な知識として、性における同意の大切さを知ってもらおうと、大学生らが来春の新入生向けにハンドブック作りを企画している。150万円を目標に、インターネットを通じたクラウドファンディング(CF)で資金集めを始めた。 企画したのは、ジェンダーや性暴力などについて考える「一般社団法人ちゃぶ台返し女子アクション」。 これまで複数の大学で、性的同意(セクシュアル・コンセント)の大切さを学ぶワークショップを約20回開き、大学生約620人がロールプレー(演技)などを通して学んできた。「沈黙は同意だと思っていたけど、違うとわかった」と話す男子学生や、「これまで嫌でも断れなかった。ちゃんと自分の意思を伝えたい」と明かす女子学生がいた。 ★続きはこちらからご覧いただけます(要登録)⇨ http://www.asahi.com/articles/ASKCY4V2MKCYUTIL02T.html?iref=comtop_8_03 クラウドファンディング終了まで、残り14日間となります。誰もが性暴力の被害者にも加害者にもならない社会のために、ぜひ皆さまと力を合わせ、ハンドブック制作を実現できたら嬉しいです!
こんにちは。ちゃぶ台返し女子アクション、共同発起人の鎌田華乃子と申します。現在、ハーバード大学ウェザーヘッドセンター日米関係プログラムで研究員をしています。 アメリカでは1970年代に女性運動などの成果で、大きく性暴力に関する法律が変わりました。しかし、法律だけでなかなか無くならないのが性暴力の難しさです。2011年頃に、大学内での性暴力、いわゆるキャンパスレイプ問題が米国中で明らかになりました。 ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)は学校内でも性暴力の問題が2012年頃に明らかになりました。飲み会の場で女子学生の胸を触ったりという行為だけでなく、あるゲームが普通に行われていました。男子学生が女子学生1人1人に対し「殺すか、セックスするか、結婚するか」とランク付けするゲーム。日常的にこのような事があったのに誰も声を上げず、ある女子学生がスタッフに報告した際、驚きが校内に広がったそうです。(引用元 http://www.harbus.org/2012/sexual-assault-at-hbs-spurs-dialogue-on-student-culture/) アメリカもまだまだ男性優位社会。意思決定者に男性が多数を占める場所で、セクハラに対して声を上げるのは、自己主張が必要なアメリカでさえ容易なことではないのです。それが最近のハリウッド映画プロデューサーによる性暴力を明らかにした#Me tooのムーブメントからもわかります。 私自身も職場での性暴力を経験し、とても傷つき自尊心を失いました。刑法性犯罪のキャンペーンのお陰で自尊心を回復できました。自分が経験したことを他の人に経験してもらいたくなく、ビジネス界に戻っていく学生にどのような性暴力に対する教育が行われているのか関心があり、先日HBSを訪問しました。驚いたのは特に3つの点です。 ● 性暴力予防と対応について専門的に学んだスクールカウンセラーがいる ● 学生自治会のリーダー、クラス代表、全生徒に対するトレーニングがある ● 第三者介入トレーニングを全生徒に対して提供し、コミュニティ全員が性暴力を無くす取り組みができるコミュニティアプローチを採用している 私が訪問した日はちょうど学生自治会のリーダー、クラス代表に対するトレーニングが行われ、ハーバード大学のセクシャルハラスメント対応方針やリーダーとして性暴力を目撃、報告された際にどう報告、対処すべきか説明を受けていました。 第三者介入トレーニングというのは危ない状況、例えば「飲みの場でお尻を触っている」、「酔った女性を家に送ると言っている」を目撃した際、どう安全に第三者として介入するか、考えます。また女性蔑視の会話が性暴力を生み出すカルチャーを作るので、「女性は数値的な分析が得意ではない」といった普段の会話も受け流さずにどう介入するかも考えます。また、とても共感したのがパワーについても考える点です。職場ではヒエラルキーとピア・プレッシャー(同僚からの圧力)があります。つまりセクハラを報告することで「あいつが貶めた」みたいになり報告しない。そして上司の行為を報告すると昇進できないかも、と思いしない。それらのパワーの問題をどう考えて、行動するかも話し合います。 学校だけでなく実社会に入っていっても適用できる内容だと思いました。ちゃぶ女でも第三者介入トレーニングを開発しています。ご関心のある方はぜひ御連絡ください。 そして、ぜひクラウドファンディング応援をお願いいたします! ▼鎌田華乃子プロフィール 1年間の会社員生活の中で社会問題解決のためには市民社会が重要であることを痛感しハーバード大学ケネディスクールに留学。卒業後ニューヨークの地域組織にて市民参加の様々な形を現場で学んだ後、2013年9月に帰国。コミュニティ・オーガナイジング・ジャパンを2014年に立ち上げ、ワークショップやコーチングで、COの実践を広める活動を全国で行った。 留学を機に日本の女性が妻や母親という役割に縛られ、生きづらさを抱えていることに気づき「ちゃぶ台返し女子アクション」を2015年に立ち上げる。女性が共に声を上げることで、政策を変える力にまで結びつける活動をしている。明治時代から変わっていない刑法性犯罪条項を改正するキャンペーンを実施。2017年6月通常国会にて改正が実現した。 現在はハーバード大学ウェザーヘッド国際関係センター日米プログラム研究員として市民運動の国際比較研究に従事している。
NPO法人Gender Action Platform理事を務める 大崎麻子さんよりプロジェクト応援コメントをいただきました!
かれこれ、一年以上性暴力の撲滅のために活動させてもらっているものです。 毎回、自分の近況を友人などに紹介すると、なぜそんな活動をしているのか(絶賛、就活中です)を聞かれます。私は自分自身や、身近な人が被害に遭った強烈な経験があったわけではありません。(ちなみに男性の性暴力被害者も多くいることを知ってもらいたいものです) 改めて、自分がずっと関われているのかこの場を借りてみなさんにお伝えできたらと思います。 初めの関心事は大学で男女平等社会の重要性に心から納得したところから始まりました。大学の授業で多様化する個人が生まれ、市民社会の発達していく中で、従来の権力や競争によって成り立っていた社会から、女性らしさが持つ対話や寛容性がこれからの時代により重要であるとの視点に強く賛同しました。フェミニズム運動も女性のためだけではなく、男性にとっても無理な社会的プレッシャーがかからない社会になるのです。個人の視点でもジェンダーの枠に囚われず、個人の尊重をしていきたいと思い始めました。 少し自分の幼少期を振り返ると、学校などで感じるジェンダーへの社会的プレッシャーを私は感じていたようでした。男は泣くな、強くあれのような男らしさを全員に期待する力に向き合いきっていなかったからこそ、この考えに強く賛同したのだと思います。 そんな折に、性暴力の恐ろしさについて知りました。性暴力が魂の殺人と呼ばれ、想像以上に精神的なトラウマがその後も被害に遭った方の人生を苦しめることに、胸が痛みました。圧倒的に被害者になりやすい女性が日頃抱く被害への恐怖心は想像以上です。その恐怖を軽減して安心して暮らせる場づくりをしていきたいと強く決意しました。 活動に携わらせて頂くうちに、“同意”の概念を知らないがために苦しむ被害者、また人権の尊厳を傷つける加害者が生まれてしまうことに悲しみを覚えました。 知っていることで未然に防げることがあるのです。 この活動に携わっていることを友人に聞かれて話すと、過去に性について嫌な経験があることを打ち明けてくれる人もいて、その数に驚かされます。その度に性暴力がいかに身近に潜んでいるかを実感しております。 そうした経験をする人達が少しでも未然に防げるように、相手に嫌な思いをさせる人が少しでもいなくなるように、活動を続けていきたいと思います。 今回のクラウドファンディングはそうした思いを形にした一つです。少しでも多くの人が“知っていれば苦しまずに済む”ようにご支援をよろしくお願いいたします。 そこに性暴力を防ぐ、被害者を守ることは必ず繋がってくると感じました。 ▼淵上貴史(創価大学4年)プロフィール大学での同意についてのワークショップの導入に向けて交渉・啓発を行っています。性暴力の解決を通して、ジェンダーに関わらず、一人ひとりが尊重された日本を目指しております。なかなか理解の進まない文化の中ですが、草の根運動で男女間の架け橋であり続けます。
ただハンドブックを作るだけで、すぐに性暴力がゼロになるだとか、そんなことはありえません。 ハンドブックは、性暴力を撲滅する銀の弾丸などでは決してありません(そうあるべき、とも思いません) けれど、ハンドブックを読んでくださることで、自らがもつ性暴力に関する誤解や偏見に気づき、周囲の人にそのことを伝えたり身の回りで実際に行動したりして、性暴力をなくすための長い道のりを一緒に歩んでくださる方が一人でも増えれば、とてもとても勇気づけられる、そう思いながら、今回のプロジェクトに携わっています。 僕自身、ワークショップに参加して、そこから「同意」を広める活動の運営側に回って、自分自身、一歩踏み出せたと感じる出来事がありました。 とても個人的かつ長々しい話で恐縮ですが、よろしければ、お読みください。 (*性暴力についての記述があります。閲覧の際はご注意ください) ある夜のことでした。 たいがいパソコンをひらくと、メールチェックして、ツイッター開いて、というのがルーティンの僕。いつものように、ツイッターの画面をスクロールしてると、あるツイートが目にとまりました。 もう夜も更けつつある時間帯です。身の毛もよだつような恐怖が、赤裸々と綴られた投稿でした。 そのツイートをつぶやいていたのは、昔からの友達でした。責任感が強く、誰に対しても優しく、感受性の豊かな、そんな素敵な子です。 何の理由もなく、何の同意もなく、わけもわからないまま、加害者の自分勝手な行為によって、いきなり被害にあった友人のことがとてもとても心配になりました。 十年来の仲ですし、一年に一度くらいは何かにつけて会う友達ですから、連絡すること自体は難しくありません。 でも、その子に「大丈夫??」と連絡しようかどうか、一瞬迷ってしまった自分がいました。 遅い時間帯というのもあったし、何より余計なお節介じゃないかな?何様だよ?って思われないかな、と不安になった自分がいました。 でも、少し考えて、「余計なお節介は焼くなよ」とは言われたくない、自分の行動を否定されたくない、そんな、ちっぽけな自分を守りたいがための「不安」なんかよりも、 いわれのない暴力に直面してその子が感じた「不安」の方が、よっぽどキツかっただろうし、大変だったろうなって、思い直しました。連絡しようって。 ------ 問題は、どうやって声を掛ければよいか、です。 ツイッターにはリプライ(ある人がつぶやいたツイートに対して、返信をすること)という機能があります。その子がつぶやいたツイートにリプライすることも考えました。 でも、それはできないと判断しました。 その子のアカウントは公開されていないのに、アカウントを公開している僕がリプライを送ると、そのリプライの内容は不特定多数に見られてしまいます。 僕のリプライの内容次第では、その子が性暴力被害にあったことが、図らずも露見してしまいます。 その子が非公開のアカウントでツイートしている以上、僕がその非公開のツイートの内容を示唆するような返信をしてはいけないだろう、と思い直したのです。 結局、今となっては最初からこうするしかなったと思いますが、LINEでその子に直接連絡しました。 余計なお世話を焼いてごめんね、と断りつつ、とても心配しているということ。 自分の気持ちや状態が落ち着くのをまず一番大切にしてほしいこと。 そんでもって、もし気持ちと体力と時間に余裕があれば、警察に連絡してみる(*1)こと。 そんなことを伝えました。 ------ この声がけが百点満点だったかどうかはわかりません。 でも、及第点ではあったと思います。 被害を軽くみたり、被害にあった子の落ち度を追及したりするセカンドレイプに加担しないように、伝えたい内容と、伝え方を慎重に慎重に選び抜いたつもりです。 被害にあった人を心配する仕方に、模範解答などありません。その人との関係の深さや長さによっても声のかけ方は変わってくるだろうし、内容も違ってくると思います。 でもそれは、心配さえすれば何でもあり、ということでは決してありません。 これだけは言ってはいけない、そんな言葉がいくつかあります(*2)。たとえ良かれと思っても、被害にあった方をさらに傷つけてしまう言葉です。 文末に詳述しましたが、どれも、咄嗟にかけてしまいそうな言葉です。でも、絶対にかけてはならない言葉です。 ------ 真夜中の突然の連絡にもかかわらず、不安で仕方がなかったであろうにもかかわらず、その子は丁寧な返信をくれました。 しかも、自分のことで精一杯なはずなのに、わざわざ感謝の言葉まで添えてくれました。 そうやって返事が来たことで、幸い、その子が安全な状況にいることが確かめられました。 加害者に対する怒りは収まりませんでしたが、何より、その子が無事でいることにホッとして、その日は眠りにつきました。 その夜の出来事を思い返して、あることに気づきました。 「1年前の自分は、同じように誰かに声をかけることができただろうか」 できなかったと思います。 できたとしても、セカンドレイプに加担していたかもしれない。ピントのずれた心配の仕方をしていたかもしれない。 ------- では、どうしてその日はできたのか。 それはやはり、同意ワークショップに参加して、「同意のない性的言動はすべて性暴力である」ことを知って、強かん(*3)だけでなく、たとえ夫婦、パートナー間であってもさまざまなかたちで起こりうるし、何よりちかん(*3)も、メールやSNSでの性的な嫌がらせも、盗撮やのぞきも、法律上の罪の軽重を問わず、すべて「同意のない性的言動」であることに変わりはないことを知っていたからです。 そして、「加害者でも被害者でもない第三者が、性暴力に発展しうる / 性暴力を助長する状況に介入することで、性暴力を予防・阻止すること」を指す「第三者介入」に関するワークショップ(*4)を準備するなかで、介入には未然にする方法である3つのD(*5)だけでなく、事後のフォローアップ(*6)もあるということを知っていたからです。 ------- 僕のように、一年前には何も知らずに過ごしていたとしても、 本当に行動すべきなのだろうか、声かけをすべきなのだろうかと迷っても、 それでも最低限の知識をふまえて、それぞれができる方法で、誰かを思いやり、行動できる人が一人でも増えればいいな、という願いをこのプロジェクトに込めています。 誰も傷つけない、誰も傷つかない社会へ。誰もが安心して過ごせる社会へ。 ご支援のほど、何卒よろしくお願いいたします。 ------ (*1)警視庁のHP(http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/sodan/shien/w_crime.html)には、「性暴力被害にあったら!」というページで「被害から時間がたってしまった・・・」場合について、「少し落ち着いてからでも構いません。ひとりで悩まず、最寄りの警察署又は電話:#9110番に相談してください」というアドバイスが掲載されています。このURLをその子にも送りました。 (*2)「性暴力の被害者・サバイバーに言ってはいけないこと」を山本潤さんの『13歳、「私」をなくした私』(朝日出版社、2017年)の150-151頁からまとめます。 ・「まさか、信じられない!」 →「あなたは嘘つきだ」と言われているように感じることがあります。 ・「どうして、あの人があなたにそんなことをしたの?あなたが何かしたんじゃないの?」 →性暴力の責任はあなたにあると言われているように感じられます・ ・「もう忘れなよ。先に進まなきゃ」 →人は性暴力からすぐに立ち直って、先に進むことなんてできません。 ・「あなたの気持ちはわかるよ」 →性被害を受けたことがないのなら、本当にはわからないはず。 ・「かわいそうに」 →同情されることを一番嫌がる人もいます。 ・「あなたにそんなことをしたやつは許せない」 →被害者は自分を責めています。ほかの人が加害者を責めると、「悪いのは私」と被害者が加害者をかばおうとしたり、怒りをなだめなくてはいけなくなります。加害者が家族だった場合、被害者は自分も責められているように感じることがあります。 ・「誤解しているんじゃないの?」 →被害者は起こったことを誤解しているんじゃないかと悩んだあげく、あなたに打ち明けています。 (*3)「強かん」については「強姦」、「痴かん」については「痴漢」という表記が一般的ですが、前者については「女」という字によって「被害者=女性だけ」という不正確な印象(全体からしてみれば少数ですが男性の被害者もいます。ただしこの女性/男性というのは統計上の分類であって、被害にあった方の性自認が、女性/男性という単純な二分法に収まりきるわけではないはずです)が与えられること、後者については「漢」という字によって「加害者=男性だけ」というこれまた不正確な印象(同じく加害者の性自認が男性/女性という二分法に収まりきるわけではないでしょう)が与えられることから、ジェンダー・ニュートラルな表記として、それぞれをひらがなで書く方法があります。僕は、一見価値中立的な装いをまとった「分類」自体が実際にはバイアスを含んでいることを批判するこの立場に賛同し、それぞれひらがなで表記しています。なお、「痴漢」の「痴」という字もまた、電車で女性の身体を触る男=バカな男(マイノリティ)/ そんなことはしないバカでない男(マジョリティ)という巧妙な二分法を作り出し、する側を周縁化することでマジョリティを守る構造になっていると指摘する方もいます(信田さよ子「〈性〉なる家族 3 加害者は語れるか」『春秋』2017年11月号、pp. 14-15、春秋社)。(*4)ワークショップの具体的な内容については、ライターの三浦ゆえさんが取材してくださった記事(http://wezz-y.com/archives/50231)が、大変わかりやすく簡潔にまとめてくださっています。 (*5)①DIRECT:直接介入する=加害者/被害者になろうとしている者に対して直接干渉し、事態の悪化を止める。②DELEGATE:委譲する=別の人に助けてもらうようお願いする。③DISTRACT:気を紛らわす=注意をひくような“邪魔”を意図的に作り出し、問題となりうる状況を和らげる。 (*6)DELAY:事後介入する:声をかけたりフォローアップしたりして、サポートする。 ▼佐々木 弘一(東京大学大学院 人文社会系研究科 修士1年)プロフィール他人事だと思っていた性暴力が実際に身の回りで起きたことをきっかけに、まずは自らが所属する東大で、性暴力について正しい理解を広め、性暴力を防ぐための活動に取り組み始めました。活動する中で自分自身が性暴力神話(性暴力に対する誤解や偏見)に囚われていた/いることに気づき、誰かを傷つけないために正しい知識を得る大切さを日々痛感しています。誰もが安心して過ごせるキャンパスを「性」という視座からつくっていくことが最終目標です。