クラウドファンディング を通して暖かいご支援誠にありがとうございます!これまでの活動報告では、文章を中心にYSCグローバル・スクールの活動や海外ルーツの子ども達を取り巻く課題等についてお伝えしてきました。▼過去の活動報告はこちらへそこで今回は趣向を変え、「オンライン写真展」という形で、コロナ禍の前と最中で当スクールや子ども達の様子がどの様に変化したか視覚的にお伝えしたいと思います。是非ご覧ください!===========================【オンライン写真展】コロナ禍とYSCグローバル・スクール===========================*写真:(上)コロナ禍前、(下)コロナ禍中YSCグローバル・スクール福生教室地下一階の一番広い教室での授業風景授業中、先生の話に耳を傾ける生徒達高校受験に向け、作文練習に励む生徒達オンラインで授業を受ける生徒毎年恒例のマインクラフトカップに向け、作品制作に没頭する生徒達束の間の休み時間、パズルゲームに夢中になる生徒達一番の人気ゲームはやっぱりUNO教室内で仲良しの友達とハイチーズイヤーエンドパーティーやハロウィンの仮装をして恒例の記念撮影生徒達が勢揃いする卒業式、コロナ禍ではオンライン画面に満開の笑顔^^YSCグローバル・スクールは、日本語教育や学習支援の場としてだけでなく、同じ境遇にある海外にルーツを持つ子どもたち同士が出会い、絆をはぐくむ大切な「居場所」でもあります。教室に通ってくる子どもたちだけでなく、オンラインで全国から学ぶ子も。画面越しであっても仲良くなるのに時間はかかりません。子どもたちが夢に向かって生き生きと暮らしてゆける様にYSCは今後もその背中を支え続けて行きます。
2010年より、海外にルーツを持つ子どものための専門教育支援事業として運営を行っているYSCグローバル・スクール。当スクールで子どもたちをサポートするスタッフは、多文化コーディネーター、日本語教師、教科学習担当の3つの役割に分かれて活動しています。その全員が、基本的に給与を受け取り支援に携わる専門家たちです。これまで関係機関や保護者等と連携しながら、海外ルーツの子どもたちのニーズに寄り添い、学びの環境を整える【多文化コーディネーター】のお仕事については 10月18日に公開の『【インタビュー】平野成美さん(多文化コーディネーター)』および11月5日、12日に公開した『進学率70%の現実-海外にルーツを持つ子どもの高校受験(前篇)(後編)』でお伝えしてきました。また、11月15日には第1回、『【”ミニ”インタビュー】日本語教師・ゆりこ先生編』を、11月17日には第2回、『【”ミニ”インタビュー】教科学習担当・まさみ先生編』として、活動するスタッフに課題や支援のポイントをご紹介しました。今回はスタッフ”ミニ”インタビュー最後の3回目。YSCグローバル・スクール立ち上げ初期から参画し、算数・数学の教科学習に加えて、現在発達障害を持つ海外ルーツの子ども・若者のための特別支援クラスを担当しているわかこ先生にお話しを伺いました!*記事中のマスクをしていない写真は全てコロナ禍以前に撮影(写真:🄫Yuichi Mori)―― 現在のお仕事を簡単に教えてください。2010年からYSCグローバル・スクールで勤務していて、主に算数・数学を担当しています。週に3日ほどの出勤で、ほかの日は発達障害の子どもと関わる別の仕事も続けています。2018年からは、このスクールでも発達障害のある子どもたちの特別支援クラスも担当するようになりました。――発達障害児クラスの担当として、海外ルーツの子どもの学習で特に課題だと感じていることは何ですか?このスクールにいて一番感じることは、「海外ルーツ」にしても「発達障害」にしても、とても大きな括りで、その言葉で括られる中に本当に多様な状況の子どもたちがいるということです。たとえば、ご両親は海外ルーツ、本人は日本生まれ・日本育ちで日本語を話す、自閉傾向があるお子さんがいますし、海外から来日して間もない、日本語以外の母語で識字に困難のあるお子さんもいたりします。「海外ルーツで発達障害がある」という括りの相談があっても、子どもの数だけケースがある状態です。そして当然、個々によって必要な言語や環境の支援が異なります。そうした中で、ひとりひとりの子どもの背景・言語・特性などをかけあわせて適切な支援を検討していきますが、何を指針にして、限られた支援時間で何を優先するか、また誰に・どんなリソースに繋いだり相談したりすべきかも含め、道筋の立て方が難しいです。それらのコーディネートと、直接教えるときのスキル。どちらの役割も人材も必要です。そのような点でお困りの支援者の方が、各地に多くいらっしゃるのではないかと思います。ですので、発達障害児の担当といっても「目の前の一人」の支援者であるということを忘れず、同時に「手探りで難しい」と言っている状態からは一歩進みたいと考えています。これまで積み重ねてきたケースから見えてきたことを整理し、専門家の方や支援者の方とつながる機会も増やしていきたいです。―― 「海外ルーツの子どもを支援している」、または「これから支援したい」という方々に向けて、ご自身の体験からお勧めしたいことはありますか?海外ルーツの子どもに限ったことではないし、目新しいことでもないのですが。日々教えていて、子どもたちから「わかった」という反応を直に感じるのは、何を説明するにしても「具体的で想像しやすい、身近な例」を出した時です。中学校の数学を教えることが多く、抽象的な数字を扱うことが苦手な子どもも少なくないので、なるべく、その場にいる誰かの生活の中の例を用いるようにしています。そのとき出す例は、ルーツや言語、その他の事情に関わらず、「誰にとっても想像がつくこと」で、「誰かが嫌な思いもしない内容」になるように気をつけています。つい最近も、関数の単元では、ある子どもの毎朝のコンビニでの買い物を取り上げ、データを分析する単元では先生も含めてみんなの睡眠時間を聞いて、「中央値」や「平均値」などの傾向を分析しました。このスクールでは集団授業が多く、そうした例を取り上げると、必ず自然な会話が生まれます。例えば睡眠時間なら、そんなに寝てるの?/寝てないの?、何してるの?というように。そうすると日本語での発話も増えるし、友達の知られざる生活の一面に驚いて盛り上がったりすることもあって楽しいです。この方法は一対一の支援でも使えるのではないかと思います。数学だけでなく、日本語にしても、子どもたちにとって何かを強いられる学習は苦痛なので、少しでも身近なことと結びつけて「わかった!」と思えたり、友達や先生など「仲間と一緒で楽しい」という思いを持ってもらえたらいいですね。…海外にルーツを持つ、発達障害の子どもたちのことは最近、メディアなどでも少しずつ取り上げられる機会が増えました。日本語を母語としないということで、目の前の困っている状況にある子どもたちが「日本語の課題なのか障害なのか」、アセスメントができずに学校でも支援の場でも悩んでいるという声をよく聞きます。また、そのような状況下で「ただ日本語がわからないのに、発達の課題だと誤解されて学校から特別支援学級を勧められた」と言ったケースや、逆に「発達障害が日本語の課題だと誤解され、長年、必要な支援が受けられなかった」というケースもあり、場合によっては学校と保護者との間でトラブルに発展するようなことも起きています。現在、日本語教育側からのアプローチだけでなく、障害福祉側からのアプローチも行われつつあります。双方が知恵や経験を持ち寄りながら、多言語多文化環境下で育つ子どもの発達を適切にサポートすることができるような環境整備が急務です。ただ、環境が整備されるまでの間を待っているわけにはいきません。障害があるかどうかの判断がつかない状況であっても、あるいはその判断自体の要不要が明らかでない状況であっても、”わかこ先生”が言っていたように、「目の前の一人」子どもと真摯に向き合いながら、今その子に必要なことが何かを考え、日々の実践の中で最善を尽くせるようにしていく必要があります。YSCグローバル・スクールでは、2018年から”わかこ先生”と共に海外にルーツを持つ障害児や学びに特性がある子ども、これから社会で生活を営んでゆく障害者の若者を対象とした「学習えじそんクラス」と「生活えじそんクラス」を運営しています。日本語教育や学習・進学支援に留まらず、どのような状況にあっても海外ルーツの子どもたちが日本で安心して学び、成長することができるようこれからも必要なサポートを届けていきたいと思っています。全国各地で「無支援状態」となっている海外ルーツの子どもたちは少なくとも1万人以上。コロナ禍の影響により、経済的に苦しい外国人家庭も増えています。子どもたちの多様な課題に対応できる専門機関も少ないのが現状です。1人でも多くの子どもたちへ、質の高い支援機会を届けたい。私たちYSCグローバル・スクールのクラウドファンディングは、残り【11日】となりました!あと【30万円】で目標金額達成となります。たくさんの方々に海外ルーツの子どもたちと私たちの活動を応援していただけるよう、プロジェクトの拡散やご支援にご協力をお願いいたします!!
2010年より、海外にルーツを持つ子どものための専門教育支援事業として運営を行っているYSCグローバル・スクール。当スクールで子どもたちをサポートするスタッフは、多文化コーディネーター、日本語教師、教科学習担当の3つの役割に分かれて活動しています。その全員が、基本的に給与を受け取り支援に携わる専門家たちです。これまで、関係機関や保護者等と連携しながら、海外ルーツの子どもたちのニーズに寄り添い、学びの環境を整える【多文化コーディネーター】のお仕事については 10月18日に公開の『【インタビュー】平野成美さん(多文化コーディネーター)』および11月5日、12日に公開した『進学率70%の現実-海外にルーツを持つ子どもの高校受験(前篇)(後編)』でお伝えしてきました。また、11月15日には第1回、『【”ミニ”インタビュー】日本語教師・ゆりこ先生編』として、日本語の先生として活動するスタッフに課題や支援のポイントを聞きました。今回はスタッフ”ミニ”インタビューの2回目。教科学習担当として活動する“まさみ”先生にお話しを伺いました。*記事中のマスクをしていない写真は全てコロナ禍以前に撮影(写真:🄫Yuichi Mori)―― 現在のお仕事を簡単に教えてください。当スクールに来る前は何をしていましたか?前職は学校の教員や児童発達支援の仕事をしていました。2018年の秋から当スクールで教えています。常勤勤務なので、昼間のクラスでは、高校進学を希望する中学3年生から15歳以上の若者を対象として英語や日本語の授業を担当しています。曜日によっては学校に行く準備段階にあったり、不登校状態にある小中学生のフリースクール形式のクラスも、他のスタッフと持ち回りで受け持っています。放課後の時間帯は小中学生に国語や算数、数学を主に教えています。授業を教える他には、全体のカリキュラムを考えたり、教材を選んだり、困難な状況にある生徒がいたら多文化コーディネーターと支援方針を確認したりしていて、一日中、子どもたちと向き合ったり彼らのことを考えたりしています。―― 教科担当として、海外ルーツの子どもの学習で特に課題だと感じていることは何ですか?そうですね。特に高校進学を希望する生徒は時間が限られているので、教える内容の吟味にいつも悩みます。他の子どもたちもそうですが、情報量をバランス良く保つ必要があり、何を教えて何を教えないのか、子どもたちにとって何が必要なのかを見極めるのが課題です。また、言葉の壁はありますが、「年齢相当の内容を、どのようにわかりやすく扱うのか?」という点も難しいと思っています。 ―― 「海外ルーツの子どもを支援している」、または「これから支援したい」という方々に向けて、ご自身の体験からお勧めしたいことはありますか?日本語を母語としない子どもたちにとって、外国語である“日本語で勉強する”こと自体がストレスになるので、楽しいことを取り入れたり、その子が自分の母語を 使う時間を作ったりできると良いですね。たとえば、「教科学習で出てくる用語を自分の母語ではどう言うか調べる 」、「その子が得意な言葉 を教えてもらう」などです。また、日本語に関して、たとえ間違っていても「違う」と指摘しないようにしています。その答えに至った過程を想像して、過程が合っていればそこを褒めます。日本語を使うことに対して、一時的に恥ずかしさや怖さを感じる子どももいるので、不安を感じないように「こうするともっといい」というような言い方をするといいかなと思います。日本語を母語としない海外ルーツの子どもにとって、「日本語”で”新しい教科の単元を学ぶ」ことは、高い壁となっています。日本語での会話がネイティブと同じようにできたとしても、これまで習ったことのない内容を、母語ではない言葉で学び、理解し、習得することの大変さは想像を越えます。”まさみ先生”は学校での教育経験だけでなく日本語教師有資格者としての視点から、日本語と教科の間を取り持ちながら、生徒の学力を伸ばして行くための支援を日々実践しています。2021年度、YSCグローバル・スクールに参加した子どもたちは現時点で180名。コロナ前は年間約120名の受け入れでしたが、コロナ禍の中で、オンラインを中心に支援を希望する生徒が急増しました。続々とやってくる新規入所生徒たちの対応に追われる日々ですが、”まさみ先生”をはじめとする日本語教師や教科学習担当スタッフは子どもたち一人ひとりのバックグラウンドや性格、出身国での学習歴や現在のニーズなどを頭に入れながら、子どもたちにとっての最善を尽くせるよう、日々、実践と研鑽を重ねています。全国各地で「無支援状態」となっている海外ルーツの子どもたちは少なくとも1万人以上。1人でも多くの子どもたちへ、質の高い支援機会を届けたい。私たちYSCグローバル・スクールのクラウドファンディングは、残り【13日】となりました!あと【41万円】で目標金額達成となります。たくさんの方々に海外ルーツの子どもたちと私たちの活動を応援していただけるよう、プロジェクトの拡散やご支援にご協力をお願いいたします。
2010年より、海外にルーツを持つ子どものための専門教育支援事業として運営を行っているYSCグローバル・スクール。当スクールで子どもたちをサポートするスタッフは、多文化コーディネーター、日本語教師、教科学習担当の3つの役割に分かれて活動しています。その全員が、基本的に給与を受け取り支援に携わる専門家たちです。これまで、関係機関や保護者等と連携しながら、海外ルーツの子どもたちのニーズに寄り添い、学びの環境を整える【多文化コーディネーター】のお仕事については 10月18日に公開の『【インタビュー】平野成美さん(多文化コーディネーター)』および11月5日、12日に公開した『進学率70%の現実-海外にルーツを持つ子どもの高校受験(前篇)(後編)』でお伝えしてきました。ここからは、3回にわたって当スクールで活動する【日本語教師】と【教科学習担当】のスタッフ”ミニ”インタビューをお届けします。彼女たちが何を思い、どのように海外にルーツを持つ子どもたちと向き合っているのか。”ミニ”インタビュー、今回は、日本語の先生として活動する”ゆりこ先生”にお話しを伺いました!*記事中のマスクをしていない写真は全てコロナ禍以前に撮影(写真:🄫Yuichi Mori)―― まずは自己紹介をお願いします。YSCグローバル・スクールでどんな担当をしていますか? スクールに関わる前のご経歴なども教えてください。2017年度に非常勤の日本語教師として入職し、翌年から常勤で勤務しています。現在は主に、学校の放課後の時間帯に当たる夕方から夜間にかけて受講している小中学生の日本語指導に関するカリキュラム作成や教材選定、授業実施を担当しています。また、日中のクラスでティーンエイジャーの日本語初級の授業も行っています。週に1回、教科指導と日本語力向上を併せて行う小学生の算数クラスでも教えています。大学を卒業してから十数年間、ずっと日本語教師です。日本語学校の非常勤だったり、公立学校の日本語指導員だったり。こちらに来る前は、マレーシアの語学スクールで現地のビジネスパーソンや大学生などに教えていたりもしました。―― 日本語教師として、海外ルーツの子どもの学習で特に課題だと感じていることは何ですか?日本語教師の仕事は教える対象や勤務先などによって様々ですが、その中でJSL(注1)環境下の児童生徒への日本語指導や学習支援に興味・関心を持つ方が近年増えてきたと感じています。しかし、同時に支援を必要とする子どもたちの数も増えていて、まだまだ全国にこの分野での人手が足りていないのではないかとも思います。だからこそ、当スクールのようにオンラインで全国とつながる方法を持つ場が貴重になってくるともいえます。関東地域のみならず地方にも海外にルーツを持ち、日本語支援が必要な子どもたちが多くいますが、支援者の育成等に関しては集住地域と散在地域(注2)とで温度差があるようにも個人的には感じます。―― 「海外ルーツの子どもを支援している」、または「これから支援したい」という方々に向けて、ご自身の体験からお勧めしたいことはありますか?これは学習者が大人であってもおそらく同じなのですが、学習者の母文化(言葉、文化、習慣など)に積極的に触れようとするのは大切だと思います。何も、がっつり語学を学ぶとか海外へ行くとか、そういうことでなくても良いのですが、例えば「〇月に生徒の国では〇〇というお祭りがあって、その時に何をする」というような知識がひとつでもあると、生徒と話をするきっかけになります。生徒の側も「自分の国のことに興味を持ってくれている!わかってくれる!」という安心感を抱くことができると思います。うまくいけば、生徒からの(小さな)信頼を得ることも!私はマレーシアでディパバリというインド系住民のお祭りの時に食べたビリヤニの味が忘れられず、その話をインド出身の中学生に話したらけっこう盛り上がって。その生徒から、南アジアの代表的な食べ物である、色々な種類のビリヤニについて教えてもらえました!海外ルーツの子どもたちにとって、日本語教育の専門性を持つ先生と学ぶ機会はまだまだ足りていません。同じ日本語教師の中でも、子どもに対する日本語教育はまた少し異なる知識や技術を必要とする特別な分野。それゆえに、担い手が育ちにくいという現実もあります。しかし、子どもたちの大切な時間は待ってはくれません。一日も早く、ゆりこ先生のような日本語教師が全国各地に配置され、子どもたちに質の高い日本語教育機会を届けることができるよう、YSCグローバル・スクールでは、zoomを活用したハイブリッド形式のオンライン支援を提供することで、その実現を後押ししていきます!+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+(注1)JSLとは:Japanese as Second Language(第2言語としての日本語)の略。ここで言う「JSL環境下」とは、複数言語使用環境や日本語を母語としない環境の意。(注2)・集住(しゅうじゅう)地域と散在(さんざい)地域:外国人住民の人口比率が高い自治体や地域を「(外国人)集住地域」と呼びます。逆に、外国人住民がゼロではないけれど少ない地域を「(外国人)散在地域」と呼びます。外国人集住地域の自治体では、外国人生活者や子どもの受け入れ体制整備に予算や人材を確保しやすく、多言語対応や日本語教育機会などが充実する傾向にあります。一方で、外国人散在地域では「学校に日本語がわからない子どもが1名しかいない」という状況などがあり、恒常的な予算や人材の確保に課題がある。また、外国人散在地域の場合、NPOやボランティアによる活動も限定的であり、学校内外で無支援状態におかれる子どもも珍しくありません。+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
こんにちは!YSCグローバル・スクールです。コロナ禍で学びとつながりの機会がいっそう減少している海外ルーツの子どもための奨学金クラウドファンディング、現在目標の【67%】に!これまでに【161名】もの方々がこのプロジェクトに参加してくださっています!プロジェクト終了まであと【18日】。あと約【58名】からの応援が必要です!ひとりでも多くの子どもたちに手を伸ばすことができるよう、ぜひこのプロジェクトを広めてください!皆様の引き続きのご支援とご協力をどうぞ、よろしくお願いいたします。+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+さて、先日11月5日に公開した新着情報記事『進学率70%の現実-海外にルーツを持つ子どもの高校受験【前篇】』では、海外ルーツの子どもたちの高校進学について現状や課題をまとめました。海外ルーツの子どもたちの高校進学率が全体で70%程度にとどまる中で、当スクールではどのように進学へのサポートを行っているのか。今回は後篇として、当スクールで多文化コーディネーターとして活動するスタッフの長年の実践から、海外ルーツの子どもの高校進学支援のポイントについてお伝えします。*記事中のマスクをしていない写真は全てコロナ禍以前に撮影(写真:🄫Yuichi Mori)YSCグローバル・スクールに通う受験生たちYSCグローバル・スクールでは、高校進学を希望する海外ルーツの受験生たちを2つのコースで受け入れています。1つは、平日の日中に学校や予備校代わりとしてフルタイムで利用するコース。もう1つは、昼間は中学校に通いながら、放課後に塾代わりとして利用するコース。昼間のクラスには、主に15歳以上で来日し出身国で中学校を卒業していたり、日本の中学を進路未決定で卒業した10代後半の子どもや若者が利用しています。加えて、公立中学校に在籍しているものの、学校の中でのサポート体制がじゅうぶんでないため平日の昼間、学校の代わりに通ってくる子どもたちがいます。このような現役中学3年生の場合は、在籍中学校とよく連携し、YSCグローバル・スクールで学んでいる時間を学校の出席として扱っていただいています。学校の先生とは日ごろの学習の様子を定期的にレポートし情報共有したり、時には三者面談に多文化コーディネーターが同席し、学校の先生や保護者の方々の間を取り持つこともあります。一方、日中は中学校に通っている生徒で放課後のコースを利用する子どもたちの中には、日本での生活が長く、日常会話の日本語はネイティブという子どもも少なくありません。しかし、学校の勉強に必要となる「学習言語」と呼ばれる日本語の力がじゅうぶんでなく、授業についていくことが難しかったり、試験の点数が伸び悩んでいるような生徒が少なくありません。こうした生徒たちに対し、「日本語」という視点を加えながら、教科の学習をサポートしています。また、中には日本語力も学力面でもじゅうぶんな力を持っており、一般の学習塾利用も可能な状況にあるにもかかわらず、「日本人だけの場所は居心地が悪く感じる」との理由から、自らのアイデンティティにあった居場所として放課後に通ってくる生徒もいます。このように、一口に「高校進学支援」と言っても、対象となる海外ルーツの子どもは多様な状況です。今では、オンラインで全国各地から子どもが利用することもあり、教室の有る東京都立高校だけでなく、現地の地域団体と連携しながら、各府県公立高校等への進学もサポートするため、多文化コーディネーターは膨大な知識と情報をもって子どもたちが望む進路を選択できるよう支援を行っています。一人ひとりの状況に寄り添って、子どもたちの進学をサポートしています。来日時期のわずかな差で明暗-子どもたちの現状把握が、進学支援の第一歩前述の通り、海外ルーツの子ども一人ひとりの状況はさまざまで、来日した時期や在留資格、家庭環境、学校や地域での支援の有無や来日前を含むこれまでの学習の状況などの個別多様性が高いことが特徴です。そこに加えて、前篇でもお伝えした通り地域ごとに異なる入試制度の壁などが絡み、子ども本人や支援者側だけではどうしようもない状況も少なくありません。例えば、同じ時期に日本にやってきた子どもが2人、AさんとBさんがいたとします。Aさんはその年の3月に来日し、数年後の高校入試の際に外国人特別入試制度を利用できました。一方、BさんはAさんより来日が2週間早く、同じ年の2月下旬に日本にやってきました。Aさんは外国人特別入試制度を活用し、作文と面接で入試を受けましたが、Bさんは外国人特別入試制度の要件を満たさず、一般の日本人と同じ5教科の試験を受けなくてはなりませんでした。このように、わずかな来日時期の差で特別入試枠や入試における配慮措置などが使えなくなることがあります。また、日本国籍や二重国籍の海外ルーツの子どもの場合、外国籍の子どもと使用できる制度が変わってくる場合もありますので、子どもたちの進路を考える上で、各都道府県の入試制度や特別入試枠の要件を確認した上で、その利用が可能なのかどうかを調べ、家庭や本人に情報提供することが重要なポイントのひとつとなっています。外国人保護者への進学説明会も実施しています海外ルーツの子どもならでは―外国での教育バックグラウンドを把握現場で多様な子どもたちの進学支援をしていると、特別入試制度の活用ができるかどうか、経済的に過度な負担にならないかどうか、在留資格や家庭状況、本人の希望から進路の選択を検討し、高校入学に向けて準備してきたのに、そもそも入学に必要な条件を満たしていなかったと後でわかる、ということが起こります。出身国の小中学校の卒業証明書などを日本から取り寄せるには時間がかかるため、最初の面談で確認し、できるだけ早く取り寄せるよう手配しています。また、保護者が先に日本で生活の基盤を築いてから子どもを呼び寄せた場合、保護者は子どもと離れていた時期が長く、自国での子どもの修学状況を正確に把握できていないこともあるので、慎重に確認作業が必要です。例えば、南アジアにルーツを持つRさんは、生まれた直後から日本で働く保護者と離れ、親せきに預けられて育ちました。Rさんの保護者が親せきに国際電話で状況をたずねても「問題ない」と言われてきたため、それを信じ、Rさんは学齢通りに学校に通っているものだと思い込んでいました。保護者の方がRさんを日本へ呼び寄せ、進学を見据えて書類を確認したところ本来は中学校2年生相当に在籍していたはずのRさんが、実際には小学校4年生からほとんど学校へ行かせてもらえなかったということが発覚しました。このように、親子が離れて暮らしている期間が長いことは海外ルーツの子どもにはよくあることのため、外国人保護者が把握していない情報があるかもしれないことを前提として、念入りな確認を行うように心がけています。最初から移住する場合は来日の際に卒業証書、成績証明書等の原本を持ってくる家庭がほとんどですが、最近ではコロナ禍で国に戻れなくなり日本での進学を決めたケースや、出身国で学校がロックダウンしていて書類の取り寄せができないケースが頻発しています。コロナ禍の中での進学支援は、出身国とのやり取りだけでなく、日本国内でも出願方法が持参から郵送やオンライン出願となるなど、平時とは異なるイレギュラーな対応が求められます。生徒の出身国の状況や教育委員会の発表、学校側の動向など、海外ルーツの子どもたちに不利益が生じないよう普段以上に情報収集に奔走しています。コロナ禍の影響大きく―経済状況で進学をあきらめないように家庭の経済状況によっては、たとえ特別入試枠を利用する要件を満たしていても、その学校までの交通費や制服代など、学費以外の負担が難しいため別の進路を考えなくてはならない場合もあります。私たちが活動する東京都の西側は東側の23区内と比べると公立高校自体の数も少なく、かつては外国籍の生徒のための特別入試枠を設置する高校へも電車で1時間近く乗り継がなくてはならない状況でした。(現在はアクセスのよい場所に特別入試枠設置校が追加されています)このため、自転車で通える範囲、交通費負担が少なくてすむ範囲となると、日本語の力がじゅうぶんでない海外ルーツの子どもたちは基本的には定時制高校が第一の選択となります。定時制高校であれば、学費やそれ以外の負担も小さく、昼間はアルバイトをすることもできます。また、高校時代に金銭的に無理を重ねてしまうと、高校卒業後に専門学校や大学へ進学するための費用を確保する余裕がよりなくなってしまう可能性もあるため、学力や日本語力、制度が使えるかどうかだけでなく、包括的な視点から保護者や本人と相談を重ねつつ、最善の選択ができるようにサポートしています。特に現在は、コロナ禍の影響により外国人保護者の経済的な状況が悪化し続けています。経済的な困難により、子どもたちが高校への進学をあきらめてしまうことがないよう、当スクール奨学金だけでなく、他の民間支援金や政府による支援など、可能な限りの支援策に関する情報を収集し、保護者や子ども自身が安心して進学を選択できるようにも務めています。今年のハロウィン。子どもたちの日々を、少しでも楽しくラストワンマイルを人の手で―オンライン支援では地域連携を進めています前述の通り、YSCグローバル・スクールには全国各地からオンラインで受講している生徒たちがいます。地方で学ぶ機会のない子どもたちが当スクールにつながった際には、できる限り速やかにその子どもの身近な地域でサポートしてくれるパートナー団体を見つけ、オンラインでは届けられない「ラストワンマイル」の支援を、直接届けていただけるよう連携しながらサポートしています。特に、地元の高校受験に関する情報は当スクールのある東京からでは把握しきれないため、情報収集、中学・高校との連携、現地の受験に即した対策などは現地パートナーに担っていただきながら、当スクールはオンラインで日本語と主要教科の学習機会を提供するといった形で役割分担を行っています。オンラインで高校に進学する子どもたちの卒業を祝いました子どもたちに、日本の高校生活という青春を謳歌してほしい海外ルーツの子どもたちの高校進学は、様々な壁に阻まれており、いまだに狭き門となっています。当スクールスタッフはもちろん、学校の先生、パートナー団体の方々、そして保護者の方々と一緒になって、子どもたちの未来を応援し続けています。子どもたちがその狭き門を無事に通過し、「高校生活」という青春を心から楽しんで過ごすこができていると知った時ほど、私たちにとって嬉しい瞬間はありません。みなさんもぜひ、このプロジェクトへの応援を通して、海外ルーツの子どもたちの未来を共に応援していただけませんか?