11月10日放送の"Radio DIalogue"にYSCグローバル・スクール代表の田中宝紀が出演しました!https://www.youtube.com/watch?v=Em1QesnaKlkこちらは、フォトジャーナリスト安田菜津紀さんと佐藤慧さんが主宰している Dialogue for People のラジオ番組です。今回のテーマは「共生社会に近づくために」フォトジャーナリストのお2人と田中の3人で、海外ルーツの子ども達が抱える課題や政策比較、日本語教育におけるボランティア率の高さの問題など、「共生社会」を軸に多岐に渡る話を展開しています。YouTubeでアーカイブ動画も配信中です。お聞き逃しの方は是非!★現在、YSCグローバル・スクールが実施中のクラウドファンディング「海外ルーツの子どもたちに、コロナ禍でも切れ目のない学びとつながりを届けたい!」に、安田さんより応援メッセージも頂いております。是非ご覧ください!.「言葉の壁が学びの壁とならないように—フォトジャーナリスト・安田菜津紀さま応援メッセージ」https://camp-fire.jp/projects/501138/activities/321401#main
こんにちは!YSCグローバル・スクールです。コロナ禍で学びとつながりの機会がいっそう減少している海外ルーツの子どもための奨学金クラウドファンディング、現在目標の【48%】に!これまでに【131名】もの方々がこのプロジェクトに参加してくださいました。本当にありがとうございます。皆様から寄せていただいた応援のメッセージ一つひとつに勇気づけられています。プロジェクト終了まであと【25日】。ひとりでも多くの子どもたちに手を伸ばすことができるよう、ぜひこのプロジェクトを広めてください!皆様の引き続きのご支援とご協力をどうぞ、よろしくお願いいたします。<多文化コーディネーターに聞く―高校進学の現状と課題>朝晩冷え込むことが増えてきたこの頃、海外ルーツの子どものための専門教育支援事業YSCグローバル・スクールでは、そろそろ「高校進学支援」が本格化してきます。現役の中学3年生はもちろん、15才以上の、中学を進路未決定で卒業し再受験を希望する子どもや、出身国で中学校相当を修了してから来日した若者などが日本での高校進学を目指してがんばっています。海外にルーツを持つ子どもたちにとって、高校進学は日本人の子どもと比べて更に大きな難関となっています。日本の子どもたちの高校進学率がおよそ100%に近い中で、海外ルーツの子どもの高校進学率は70%程度にとどまるのではないかと推計されていますが、「日本語で受験する/高校の授業を受ける」という言葉の壁に加えて、具体的に何が問題なのでしょうか? 当スクールの設立当初から支援に携わり、海外にルーツを持つ子どもたちのサポートに豊富な経験を持つ多文化コーディネーターのピッチフォード理絵さんに聞いた内容をまとめました。今回は前篇として海外ルーツの子どもの高校進学に関する現状と課題をお伝えします。(続く後篇では、ふだんはなかなか詳細を知ることのできない、多文化コーディネーターによる高校進学支援活動についてご紹介しています。)*記事中のマスクをしていない写真は全てコロナ禍以前に撮影(写真:🄫Yuichi Mori)試験を数日後に控えた生徒たちへ、当日の注意事項を説明するピッチフォードさんどこに暮らしているかが分かれ目に—入試制度に大きな自治体間格差海外ルーツの子どもとその家庭の状況はさまざまですが、日本語力を含む学力や経済的な事情、入試制度の問題などから、実際に入学できる学校は限られてしまうことが少なくありません。例えば東京都内の場合、都立高校8校に「在京外国人特別枠」(注1)があります。定員は8校合わせて155名。こうして見ると多いようにも感じますが、もともと海外ルーツの子どもも多い東京都。受験資格に「外国籍」で「来日3年以内」という制限があり、高校進学を希望する海外ルーツの子どもたちが充分に受け入れられているとは言い難い現状です。この特別枠では入試科目は英語、または日本語の作文と面接です。英語圏出身ではなく、作文を書けるほどの日本語力がない生徒にはどちらも難しく、制度の恩恵に預かれずにこぼれ落ちてしまいます。この他、日本国籍を持つ子どもには「帰国枠」(注2)がありますが、基本は「保護者の海外赴任等に伴い、一家で海外に在住していた者」が対象です。「呼び寄せ」というケースでよく見られるような、保護者が先に日本で生活していて、子どもが一定の年齢に達するまで海外の親族に預けられていたような場合には利用できません。一方、一般入試で都立高校を受験するとなると、ほぼ全校で5教科(国語、英語、数学、理科、社会)での入試が行われていて、たとえ日本語ネイティブ向けの問題文にルビを振ってもらったとしても、来日してわずか数年の生徒にとって設問を正しく理解することは困難です。下の表は、全国各地の支援者や関係者有志がネットワークを組んで実施している高校入試制度に関する調査結果です。各都道府県や政令指定都市等の外国人特別入試枠や特別措置の有無をまとめていて、入試上の特別な配慮のある、なしだけを見ても地域ごとの高校への入りやすさに格差があることがわかります。(詳しくは 「外国人生徒・中国帰国生徒等の高校入試を応援する有志の会」高校入試特別措置調査が掲載されたホームページをご参照ください)『2020年調査 都道府県立高校(市立高校の一部を含む)の外国人生徒及び中国帰国生徒等への2021年度高校入試特別措置等について』(外国人生徒・中国帰国生徒等の高校入試を応援する有志の会)より引用これを読んでくださる方の中には、もしかしたら私立の学校やインターナショナルスクールに行けばよいのでは、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。私立高校の中には外国人生徒のために国際入試を実施している学校もありますが、私たちのスクールで出会う家庭の多くにとってその学費を負担することは困難な状況です。また、インターナショナルスクールの学費は更に高く、もともと日本に赴任してきた外国人家族のための学校として企業が授業料を負担することが前提だったため、一般家庭では賄えないほどの金額である場合が少なくありません。入試本番直前のある日。お菓子と共に配られたのは、他の子どもたちが折り紙で作った「お守り」でした。高すぎる中退率-海外ルーツ高校生にこそ、教育機会保障を現時点で、多くの高校では海外ルーツの生徒たちへの支援がまだ整っておらず、言葉の壁やより高度になる学習内容についていくことが難しくなってしまうことも少なくありません。文部科学省が行った調査によると、高校に通う日本語があまり得意でない生徒の中途退学率は9.6%にの上っています。これは、一般高校生の7倍以上の数(注3)となっており、がんばって高校に入学できたとしても、支援体制が整っていない中では卒業までの道のりに大きな困難が立ちはだかっていることを表しています。上述の通り、特別入試枠等、入試上の特別な配慮の拡充は進められていますが、まだまだ子どもたちのニーズに追い付いていないのが現状です。加えて、たとえ頑張って高校に合格したとしても、卒業までたどり着くことにも困難が立ちはだかっており、子どもたちの学びの権利を保障するには程遠い状況です。高校は義務教育課程ではないため、長らく海外ルーツの高校生に対する支援は学校任せ、自治体任せの状況が続いてきました。その結果、多くの子どもたちが高校生活で挫折を経験し、不安定な状況のまま日本社会で生き抜いていくことを余儀なくされています。支援体制の拡充と共に、あたたかな学校づくりを上でご紹介したような外国人のための特別入試枠を持つ高校では、一般の高校よりも支援体制の整備が進められており日本語指導や通訳などのサポートを受けることができます。また、海外ルーツの生徒たちが一定の人数在籍していることから、子どもたちにとってより学びやすい環境となっており、進学率の向上と中退防止の観点からもこうした特別入試枠を持つ高校の設置を加速させることが重要です。一方で、このような支援体制が整っていない高校でも、子どもたちが安心して過ごせるような場づくりがされている学校もあります。たとえばYSCグローバル・スクール学ぶ生徒たちが毎年一定数進学する定時制高校。中学校時代に不登校を経験したり、学習上の困りごとを抱えたりなどの経験を持つ生徒が多く通う定時制高校は、生徒たちの様々な事情に考慮しきめ細やかな支援が行われている場合も少なくありません。生徒たちのバックグラウンドやルーツがどのようなものであれ、学校に通い学んでほしいという先生方の想いが、海外ルーツの高校生にもじゅうぶん届いていると感じることも多々あります。大切なことは、仕組みや制度上の支援に留まることのない、子どもたち一人ひとりを大切にするあたたかな学校づくりなのかもしれません。YSCの「卒業文集」よりYSCグローバル・スクールでは、現在、全国各地から高校進学を目指す子どもたち30名以上が学習に参加しています。彼らが進学しようとするすべての学校が充実した環境にあるわけではないかもしれません。高校に合格するための支援はもちろんのこと、少しでも中退を防ぎ、高校生らしい素敵な時間を過ごしてもらえるよう、進学後を念頭に置いた支援にも力を入れています。ぜひ、多くの方々に、このプロジェクトへの参加を通して、私たちと共に日本の高校に進学を希望する海外ルーツの子どもたちの未来を支えていただけたらと願っています。次回後篇では、引き続き当スクールの多文化コーディネーターがどのように子どもたちの高校進学や進学後の高校生活をサポートしているのかについてご紹介します。どうぞお楽しみに。(注1)「在京外国人生徒対象入試」とは、東京都立高校入学を希望する外国籍の方を対象とした入試で、一定の応募資格を満たせば受検することができます。試験は一般入試より事前に実施されるため、一般入試を併願することが可能です。東京都以外の自治体も、最近では多くがこのような入試における「外国人特別枠」を設けています。外国人特別枠入試が受検できる要件や試験の内容などは都道府県等によって異なっています。また、特別入試枠の他に、一般入試における合理的配慮を実施する自治体があります。東京都の場合は、事前の申請を行うことで一定要件を満たせば入試問題へのルビ振りや辞書の持ち込みが可能です。こうした特別な配慮は一般的に「特別措置」と呼ばれています。(注2)「帰国枠」とは、「海外帰国生徒」を対象とした入試制度で、いわゆる「帰国子女枠」と呼ばれている枠組みです。本文の通り、保護者の海外赴任等により、一家で海外で暮らしていた子どもが対象となるため、日本国籍を持つ海外ルーツの子どもであっても、保護者と国をまたぎ離れて暮らしていたような場合は利用することができません。(注3)参照:文部科学省『「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成 30 年度)」の結果について』
こんにちは!YSCグローバル・スクールの田中宝紀(たなか・いき)です。コロナ禍で学びとつながりの機会がいっそう減少している海外ルーツの子どもための奨学金クラウドファンディング、現在目標の【39%】に!これまでに【106名】の方々がこのプロジェクトに参加してくださいました。(感謝!)プロジェクト終了まであと【32日】。皆様の引き続きのご支援とご協力をどうぞ、よろしくお願いいたします。<フォトジャーナリストの安田菜津紀さまより応援メッセージをいただきました!>©Dialogue for People「言葉の壁が学びの壁とならないように。コロナ禍が将来まで奪うことがないように。共に生きる場を築くのは、私たち大人の責任です。本来であればしっかりと、公的資金によってこうした学習の場が支えられるべきですが、制度や仕組みが変わるのを待つ間にも、子どもたちは成長していきます。さらなる公助を求めつつ、YSCグローバル・スクールの取り組みを支える一人でありたいと思います。」安田 菜津紀(やすだ なつき)NPO法人Dialogue for People 副代表/フォトジャーナリスト ―1987年神奈川県生まれ。NPO法人Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル/D4P)所属フォトジャーナリスト。同団体の副代表。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)、他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。<安田さんと海外ルーツの人たち>安田さんは海外だけでなく、日本国内でも難民や入管問題など重要な発信をしてくださっており、たびたび学ばせていただいています。特に名古屋出入国在留管理局(名古屋入管)の施設で収容中に亡くなられたウィシュマ・サンダマリさんについて、様々なメディアを通して広くご発信を続けておられ、直近では、スリランカのご家族の下を訪ねてその想いを取材し、伝えてくださいました。安田さんの発信は常に、取材対象者と「社会課題(の象徴)」ではなく、ひとりの人として向き合っておられ、その姿に勇気づけられています。安田さんのメッセージにあるように、本来であれば海外にルーツを持つ子どもたちの日本語教育は公教育および公的資金で保障されるべきものです。しかし、政府や自治体の取り組みは、進展は見られるものの、まだまだ地域間格差があり十分ではない状況です。海外にルーツを持つすべての子どもたちに、適切な教育機会が保障されるまで、しっかり手を伸ばして行きます。安田さん、心強いメッセージをありがとうございました!YSCグローバル・スクール 田中宝紀協力:NPO法人Dialogue for People(https://d4p.world/)
こんにちは!YSCグローバル・スクールの田中宝紀(たなか・いき)です。コロナ禍で学びとつながりの機会がいっそう減少している、海外ルーツの子どもための奨学金クラウドファンディング、現在目標の【36%】に!これまでに【96名】の方々がこのプロジェクトに参加してくださいました。(感謝!)プロジェクト終了まであと【35日】。皆様の引き続きのご支援とご協力をどうぞ、よろしくお願いいたします。<作家の温又柔さまより、心強いメッセージをいただきました!>(写真:朝岡英輔)「私も日本語育ちの外国人です。小学1年生のときに、あ、い、う、え、お……と学んだときから、日本語はずっと私を支えてくれました。言葉の杖をしっかり掴めたからこそ、私は、私自身を支え続けることができます。自分自身を信頼し、他者と関わるうえでの自信を持つためには言葉が必要だったと身をもって感じながら生きています。しかし今、コロナ禍で、言葉の杖を掴み損ねて孤立している子どもたちがたくさんいます。彼らには安心して学べる環境が不可欠なのに。今この国で育ちつつあるすべての子どもに「切れ目のない学びとつながりを」届けるYSCグローバル・スクールさんの試みを私は心から応援します。」温又柔(おん ゆうじゅう)-1980年、台湾・台北生まれ。3歳のときから台湾人の両親とともに東京で暮らす。両親や親戚たちが話していた中国語や台湾語を織り込んだ「ニホン語」で小説・エッセイ等を執筆する。2016年、『台湾生まれ 日本語育ち』(白水社、のち白水Uブックス)で第64回日本エッセイスト・クラブ賞受賞。20年、『魯肉飯のさえずり』(中央公論新社)で第37回織田作之助賞受賞。著書に、『真ん中の子どもたち』(集英社、2017)、『空港時光』(河出書房新社、2018)、『「国語」から旅立って』(新曜社、2019)、木村友祐との往復書簡『私とあなたのあいだ いま、この国で生きるということ』(明石書店、2020)など。<温又柔さんとYSCグローバル・スクール>温さんからのご支援、折々でスクールニュースとしてもご報告させていただいています。温さんは2015年より私たちYSCグローバル・スクールの活動と海外ルーツの子どもたちを応援し続け、折に触れ子どもたちの学びのために温かなサポートを届けてくださっています。去る2020年の年末には、雑誌「婦人公論」において、私、田中が温さんと対談させていただき、温さんのご著書であり、織田作之助賞を受賞した小説『魯肉飯のさえずり』(中央公論新社)の大きなテーマとなった、日本という外国で子育てをする母親の想いや、彼女たちを取り巻く環境について語り合いました。さらに、受賞に際して温さんへ贈られた賞金を海外ルーツの子どもたちのために、とご寄付してくださるなど、温さんはYSCグローバル・スクールの活動になくてはならない存在です。その際のご寄付は、経済的に苦しい家庭の子どもたちが学ぶための教材購入費として大切に使わせていただいています。日本語がわからない状態で来日して日本語を学ぶ子どもたちが、長い文章を読んだり書いたりできるようになるまではとても長い道のりとなりますが、 いつか、温さんが書かれた物語を海外ルーツの子どもたち自身が手に取り、そこに込められた想いやメッセージを受け取ってくれる日が来るように。子どもたちのサポートを続けて行きたいと思います。温さん、いつもありがとうございます!(YSCグローバル・スクール 田中宝紀)
こんにちは!YSCグローバル・スクールの田中宝紀(たなか・いき)です。今日は先日、私がオーサーを務めているYahoo!ニュース個人にて公開した「【2021衆院選】有権者ではない日本社会の一員「外国人」のことどう見てる?ー外国人関連公約・政策比較」をベースに、“スピンオフ”版として、迫る衆議院議員選挙に際し、各政党が海外ルーツの子どもに関連するキーワードをその公約や政策集に盛り込んでいるかどうか、どのような内容で記載しているのか等をまとめました。クラウドファンディングは目標金額の【30%】になりました!ご支援くださっている皆様、本当にありがとうございます。政策面では年々充実し始めている海外ルーツの子ども支援ですが、現場レベルでは「まだまだぜんぜん、あれもこれも足りてない!」状況が続いています。一日も早く全面的に、公的支援の手が伸びるようにと祈りながらも、それまでの間、今目の前で苦しい状況の子どもたちを放っておくわけにはいきません。学校や地域での支援にバトンタッチができるその日まで、YSCグローバル・スクールはオンラインも活用しながら子どもたちへ手を伸ばして行きます。ぜひ引き続きの応援とご支援をどうぞ、よろしくお願いいたします!Yahoo!ニュース個人で公開した記事。2017年衆院選、2019年参院選でも比較を実施しました。長きにわたる政策不在から前進なるも…海外ルーツの子どもに関する課題は山積で、受け入れ体制の地域間格差や、日本語教育や学習支援機会の量と質、不登校や不就学の課題や高校進学の壁、高校入学後の中退率の高さや大学・専門学校への進学率の低さなどにとどまらず、母語・母文化継承にまつわる課題や海外ルーツの発達に凸凹のある子どもたちのこと、外国人学校等で学ぶ子どもたちの環境整備のことなど、挙げればきりがないほどです。そしてその多くが、長年可視化されてこなかったために、限られた自治体や学校現場、支援団体のみが熱心に取り組むばかりで、政府による関与は非常に限定的でした。その結果、多くの「海外にルーツを持つ“元”子どもたち」が来日後、苦しく大変な思いをし、今でもその影響が残る方々も少なくありません。その「政策不在」に変化が見られたのが2018年。政府が外国人材の受け入れのために大きく門戸を開放しはじめ、「外国人(労働者)の子ども」にかかわる様々な取り組みが拡充、新設されてきています。そんな中で行われる2021年衆議院議員選挙。「有権者ではない外国人」を親に持つ子どもについて、各政党の視点はどのようなものとなっているでしょうか。それぞれホームページからダウンロード可能な公約・政策集や、ホームページ内の政策等から海外ルーツの子どもに関連するキーワードへの言及の有無をまとめました。投票の際の参考になれば、と思うと同時に、この記事をきっかけに、少しでも海外ルーツの子どもたちについて関心を持っていただければ嬉しいです。(注)*「●」はマニフェストや政策集、ホームページ上の記載など「一般有権者」としての私が入手可能な資料において、関連キーワードの記載が見られたものです。*「-」は記載なし、または海外ルーツの子ども等を対象として特定できなかったものですが、必ずしも政策集等の中で「まったく記載がない」とは限らず、表現から明確にカテゴライズできなかったものを含みます。詳細はぜひ下記または各政党ホームページ等でご確認ください。*以下、斜体は各政党政策集等からの転載です。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━就学対策についての言及━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【自由民主党】「日本に在住する外国人が社会に溶け込み、また活躍する環境を整備するため、外国人の就学を促進するよう、地方自治体における多言語の就学案内の送付や就学状況把握などの取り組みを支援します。」(J-ファイル120ページ)【立憲民主党】「中長期に渡って日本で暮らす外国人が増加していることから、外国人の子どもの就学機会の確保や就学支援、学習支援を行います。」(政策集27ページ)【共産党】「外国人の子どもへの教育条件の整備――このほど国は、日本に居住する外国籍で義務教育年齢にあたる子どもたちのうち、学校に通っていない子どもたちは約2万人にのぼることを明らかにしました(文科省推計)。内外人平等を保障した国際人権規約、子どもの権利条約にもとづき、公立学校への受け入れ体制の整備、外国人学校への支援、日本語教室設置、公立高校への入学資格の改善など在日外国人の子どもの教育を保障します。」(分野別政策56,教育)¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨(コメント):就学対策については、共産党の記載の通り2019年の文部科学省の調査によって、義務教育年齢にある外国籍の子どもの内、約2万人が学校に通っているかどうか自治体が把握していない、不就学の可能性があることが明らかとなって以降、その取り組みが加速している課題です。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━(子どもの)日本語教育、学習支援等についての言及━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【自由民主党】「公立学校における外国人の子供の日本語能力や学力を保障するための指導を行う教師や指導員・通訳等の配置やICT機器・教材の活用など、学習者の日本語能力に応じたきめ細かな受け入れ体制を構築します。」(J-ファイル120ページ)「様々な困難を抱える人々も含め全国民の学びを保障するため、子供向けから大人向けまで多様な動画教材や学習講座を紹介するポータルサイトを整備し、地域・障害・言語などの壁を越えて学びの機会を提供します」(J-ファイル155ページ)【公明党】「外国人やその子どもたちが日本語を学べる機会を充実し、日本語教育水準の向上を推進します。あわせて、日本語教師に関する資格制度の創設に向けた検討や日本語教育機関の振興と活用を進めるための支援を行います。」(政策集41ページ)【立憲民主党】「外国人労働者の子どもについては、学校教育の機会を保障するとともに、その受け入れ体制の整備を行います。」(政策集27ページ)「母語・母文化を尊重しながら、すべての外国籍の子どもの就学と日本語教育の充実のための公的支援を整備します。」(政策集75ページ)「海外在留邦人子女に対する日本語教育支援や、在外邦人コミュニティとの連携強化を推進します。」(政策集69ページ)【国民民主党】「障がい、ヤングケアラー、不登校、引きこもり、外国ルーツ、性的マイノリティなどの子どもが互いを理解し、共に学べる環境をつくります。」(重点政策6ページ)【日本共産党】「地域での円滑な日常生活をおくるために、夜間中学などを含め外国人労働者・家族の日本語教育の充実を図ります。」(分野別政策69、外国人問題)「外国人児童の学校教育、外国人学校の支援に取り組みます。」(分野別政策69、外国人問題)「内外人平等を保障した国際人権規約、子どもの権利条約にもとづき、公立学校への受け入れ体制の整備、外国人学校への支援、日本語教室設置、公立高校への入学資格の改善など在日外国人の子どもの教育を保障します。」(分野別政策56、教育)【れいわ新選組】「インクルーシブ教育を推進し、障がいの有無や、民族性、性自認などの違いがあることが、子どもたち相互にとっての利点と思えるような学校づくりをめざす。」(れいわ子ども・教育政策)¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨(コメント):自由民主党、立憲民主党、共産党は学校教育での受け入れ体制に言及しています。公明党は大人を含む日本語教育機会の質の向上を含む充実に、立憲民主党は母語・母文化の尊重と共に就学・日本語教育の公的支援機会と、海外在住の日本にルーツを持つ子どもの日本語教育支援について言及した点が特徴的です。また、国民民主党とれいわ新選組はインクルーシブ教育の観点から、他の困難を抱える子どもたちと海外ルーツの子どもを併記する形で記載しています。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━夜間中学、高校についての言及━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【自由民主党】「高校・大学等への進学の促進を行うとともに、キャリア教育支援を充実することにより、将来、わが国の社会での活躍を目指した学習意欲の向上を図り、日本人の子供と外国人の子供がお互いに学びあい、切磋琢磨しあう環境づくりに取り組みます。」(J-ファイル120ページ)「2016年4月に制度化された小中一貫教育を地域の実情に応じて積極的に推進すると共に、フリースクールやインターナショナルスクール、フリーアクセスができる教育クラウドの作成などの学校外教育の環境整備、夜間中学の設置促進・教育活動の充実、飛び級の制度化など、個人の志や能力・適正に応じ、様々な挑戦を可能とする学びの保証システムを実現します。」(J-ファイル115ページ)【公明党】「不登校経験者や外国人の方などの学ぶ機会を確保するために重要な役割を果たしている夜間中学校を5年以内に全ての都道府県・政令市への設置をめざします。」(政策集41ページ)【立憲民主党】「学齢を超過した後に就学を希望する人に対する教育機会の確保を進めるため、全都道府県での夜間中学の拡充を図ります。」(政策集75ページ)【日本共産党】「夜間中学は、戦争の混乱や経済的な理由により教育を受けられなかった多くの人、不登校の子ども、障害者、中国帰国者・在日外国人らにとってかけがえのない義務教育の場となっています。ところが公立夜間中学は全国にわずか34校しかありません。2016年12月に成立した教育機会確保法を生かし、全県での協議会設置と公立夜間中学開設を急ぎます。また、就学援助の年齢撤廃、夜間中学の教員配置と研修保障、在校生の八割を占める外国籍の生徒に対応した日本語指導教員等の配置、バリアフリー化、自主夜間中学への公的支援の実施をすすめます。」(分野別政策56、教育)【れいわ新選組】「なんらかの事情で学びを断念した人が、いつでも学べる機会・学びなおせる機会を保障する。夜間学校や二部授業の復活など。」(れいわ子ども・教育政策)¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨(コメント):自由民主党は高校・大学等への進学促進と、キャリア教育に言及。夜間中学の全都道府県での設置について、立憲民主党は拡充を図ると記載した一方で、公明党は政令市への設置も含め、5年以内に行うと明記しています。共産党は夜間中学の教員配置や日本語教育にまで踏み込み、最も具体的な記載が見られました。れいわ新選組は二部授業の復活を含めた学習機会保障について言及しています。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━外国人学校等、学校外教育施設についての言及━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【自由民主党】「外国人の子供の健康の確保のため、外国人学校の保健衛生対策の取り組みを進めます。」(J-ファイル120ページ)(再掲)「2016年4月に制度化された小中一貫教育を地域の実情に応じて積極的に推進すると共に、フリースクールやインターナショナルスクール、フリーアクセスができる教育クラウドの作成などの学校外教育の環境整備、夜間中学の設置促進・教育活動の充実、飛び級の制度化など、個人の志や能力・適正に応じ、様々な挑戦を可能とする学びの保証システムを実現します。」(J-ファイル115ページ) 【公明党】「外国人の子どもの健康確保のため、外国人学校の保健衛生対策の取り組みを進めます。」(政策集41ページ)【共産党】外国人児童の学校教育、外国人学校の支援に取り組みます。(分野別政策69、外国人問題)【社会民主党】外国人学校を含む小学校から高校までの学修費(学校教育にかかる総ての費用)並びに高等教育の授業料の漸進的無償化を進め、子どもたちの学ぶ権利を等しく保障します。また、義務標準法の総額裁量制の廃止と教員定数の引き上げによって20人以下学級を実現し、教員が子どもたちの声に耳を傾け、応えられる学校環境を整えます。(基本政策)【れいわ新選組】「ヘイトスピーチ解消法」だけではなく、更に外国人差別をなくすための法律が必要です。また、各種学校である外国人学校 (朝鮮学校含む)についての学費無償化対象に加えます。(れいわ外交政策)「フリースクールやコミュニティスクール、民族学校など、多様な「学校」を認め、公的に支援する。」(れいわ子ども・教育政策)¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨(コメント):自由民主党および公明党は外国人学校の保健衛生対策について言及。これは現在、文部科学省内に有識者会議が設置され、その方策等について検討が進んでいるものです。社会民主党は外国人学校を含む小学校から高校までの漸進的無償化を進めるとの記載があり、れいわ新選組は朝鮮学校を含む外国人学校の学費無償化対象化について言及しています。れいわ新選組はこのほかの項目でも唯一「民族」という言葉を使用して表現している点に特徴があります。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━その他についての言及━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━海外ルーツの子どもについても外国人全般と同様に、関連する政策に関する記述は依然と比べて増加しています。今回取り上げたキーワードの他には、自由民主党が地域、障害、言語などの壁を越えた学びの機会を提供するために、動画教材や学習講座を紹介するポータルサイトの整備に言及。立憲民主党は海外ルーツの子どもの幼児教育や不登校問題にも取り組むとの記載がありました。日本維新の会は「AIチャットボット・AI翻訳を活用した行政の多言語対応など、外国籍児童・外国出身児童を含めた外国籍住民との共生を図」ると記載あり。日本共産党は加えて、日本で育った子どもをはじめとする非正規滞在者の地位安定化に踏み込んでいます。れいわ新選組は、「国連自由権規約が保障する子どもの最善の利益や家族の結合権といった権利を踏まえ、家族分断が生まれないよう法・制度の改善」を行う政策を盛り込んでおり、各政党の特色が現われました。最後に、各政党の公約、政策を比較するにあたって参照したホームページ等のリンクを掲載します。私の身近には、選挙権を持たない海外ルーツの方々がたくさん暮らしています。毎選挙ごとに、彼らのことを思いながら一票を投じることにしています。有権者ではない「サイレント・マイノリティ」(声なき少数者)である外国人、海外ルーツの子どもたちのこと、たくさんの有権者の方々に知っていただき、関心を持っていただけたら心強いです。<参照した各政党公約・政策集およびホームページリンク>【自由民主党】政権公約 https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/manifest/20211018_manifest.pdf政策パンフレット https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/pamphlet/20211011_pamphlet.pdf総合政策集 J-ファイル https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/pamphlet/20211018_j-file_pamphlet.pdf【公明党】重点政策 https://www.komei.or.jp/special/shuin49/wp-content/uploads/manifesto2021_s.pdf政策集 https://www.komei.or.jp/special/shuin49/wp-content/uploads/manifesto2021.pdf【立憲民主党】政策集 https://change2021.cdp-japan.jp/seisaku/files/%E6%94%BF%E7%AD%96%E9%9B%862021.pdf【国民民主党】政策パンフレット https://new-kokumin.jp/wp-content/themes/dpfp/files/DPFP-Policies-Pamphlet2.pdf【日本維新の会】衆院選マニフェスト https://daikaikaku.o-ishin.jp/manifest/manifest2021.pdf重点政策 https://daikaikaku.o-ishin.jp/manifest/panel.pdf日本維新の会政策提言 https://o-ishin.jp/policy/pdf/seisakuteigen20211015_fix.pdf【日本共産党】総選挙政策 https://www.jcp.or.jp/web_policy/2021/10/2021-sosenkyo-pamphlet.pdf分野別政策 https://www.jcp.or.jp/web_policy/2021/10/2021-sosenkyo-index.html【社会民主党】重点政策 https://sdp.or.jp/priority-policy-2021/選挙公約 https://sdp.or.jp/pledge-2021/【れいわ新選組】マニフェスト https://reiwa-shinsengumi.com/reiwa_newdeal/