クラウドファンディングにご協力下さったみなさま、またこれからご協力くださる皆様、おはようございます!チェロの長南牧人(ちょうなんまきと)です。 今日はコンサートで演奏されるヴァイオリンとチェロのデュオで演奏されるグリエールという作曲家に少し触れてみたいと思います。 彼はロシア帝国で、ドイツ人楽器職人の父とピアノを弾くポーランド人の母の間に産まれました。モスクワ音楽院とベルリンで学び、のちにモスクワ音楽院で教鞭をとり、彼の生徒にはハチャトリアンやプロコフィエフがいます。ラフマニノフと同世代の作曲家です。 西側の国で彼の楽譜が出版される際に「Reinhold Moritzevich Glière」とグリエールの綴りのeの上にフランス語のアクセントを付けたため、フランス系の作曲家であるとか父親がベルギー出身であるとかの誤った情報が出回ったそうです。 今回演奏されるヴァイオリンとチェロのための8つの小品 Op.39は8つの曲から成る組曲ですが、今回はその中から抜粋で3曲演奏いたします。作風は、彼自身ロシア生まれではあるものの、全くロシアの血筋は入っていないせいか、どことなくドイツ的でもあり、かといってロシア的な雰囲気もあり、若干、無国籍なロマン派的な響きがするように思います。大上段に構えていない、とってもチャーミングな作風だと思います。 そしてこの曲、アメリカの作曲家フランク・プロトによってヴァイオリンまたはヴィオラとコントラバスのための組曲として、この中の5曲が編曲されています。ヴァイオリンやヴィオラとコントラバスで演奏されるこの曲の響き、どんな響きになるのか聴いてみたくなります。 そして彼はアメリカで活躍したロシア人指揮者クーセヴィツキーのために計4曲のコントラバスとピアノのための小品が書いています。クーセヴィツキー、指揮者として知られていますが実はコントラバス奏者でもあったのです。そして彼はチェロのソロ曲も書いていますが、コントラバスのソロの曲を書いた作曲家、低音楽器奏者としては非常に親近感がわいてしまいます。 先程、グリエールはロシア帝国出身といいましたが、ロシア帝国キエフ出身、そう、現ウクライナのキエフ出身です。このコンサートでグリエールを取り上げようと決めた頃は、火種はあったにせよ、まさかこんな事になるとは思ってもおりませんでした。コンサート当日は色々な想いを込めて演奏させて頂きたいと思います。彼も天国からどんな想いで生まれ故郷を見ているのでしょうか・・・ オーケストラ曲や室内楽曲など、もっとコンサートで取り上げられて良い作曲家のひとりだと思います。昨年のコンサートの写真。その時はドヴォルザークのユモレスクを演奏。






