みなさんこんにちは!
アラ出汁プロジェクトも2022年1月に開始してはや8ヶ月が経過しました。次から次へと障壁があらわれては乗り越えていく、それの繰り返しでした。そして9月、ついアラ出汁が完成しました! まずはクラウドファンディングでご支援いただいた方々へ返礼品として発送し、フィードバックを集め、必要があれば更に改善させていこうと思います。
今回の活動報告では、アラ出汁完成の直前までたちはだかった【乾燥】【調味】の2つの課題を乗り越えた軌跡をお伝えします。
課題①「乾燥」
我々おのざきのお店から排出される大量の魚のアラの乾燥を依頼するべく、日本中の乾燥メーカーをあたりましたが、衛生上の理由で全社に断られました。どうやら魚自体の加工を各社嫌がる雰囲気があります。それでも諦めずに、乾燥メーカーさんに他の乾燥会社さんを紹介いただけないか打診するなどして探し続けましたが、全滅でした。どの乾燥会社さんも、アラを自社の乾燥機にいれることで乾燥機が汚れることを嫌がるのです。私たちに残された選択肢は、「自社乾燥」しかありませんでした。新しく乾燥機を購入するために、様々なメーカーさんとやり取りしましたが、初期投資が大きくリスクがあります。どうしたものかと頭を抱えていた時に、お世話になっている冷凍機器の社長さんから「スチームコンベクションを活用したらどうか」との助言をいただきました。スチームコンベクションならば、おのざきで複数台持っています。
試しにスチームコンベクションで乾燥をかけてみると...
数十分で焼き上がりました。乾燥直後はまだ表面に水分があるように見えます。
乾燥後、数分経つと表面の水分が抜けてこんな感じに。
いい感じにカリッと水分が抜けている!!!しかし、どうも油が気になります。写真の通り、鉄板を傾けると魚の油が流れ出ています。
特に白身の魚から滲み出る油分が多く、このまま強引に粉末化をしても、さらさらした粉末にならなそうです。またしても、魚の油が私たちの前にたちはばかります。困っていると、お世話になっている冷凍機器の社長さんが再び登場!「まずは低温でスチームコンベクションにかけ、その後高温で一気に水分を抜くと脂がより落ちると思うよ」なるほど。さらには、他の乾燥会社さんからも、「魚の骨の中に油が詰まっているので、5~10cm四方に細かくカットすればより油が外に逃げやすくなる」との助言もいただきました。
早速やってみると....
しっかり水分が抜けている!!!!明らかに違います。乾燥前の生のアラの重さと、乾燥後のアラの重さを比較すると、乾燥前の重さよりも約40%ほどにまで軽くなっていました。この状態でしっかり粉末化できるのかチェックするために、業務委託契約をしている岩手県の加工会社シャインさんに早速送りました。数日後、シャインさんからの連絡があり「粉末化は問題ない」との返答。うぉー--!なんと、あれほど障壁だった乾燥工程を、自社でコストをかけずに既存の設備で内製化することに成功したのです。灯台下暗しというか、既存の資源を有効活用するために創意工夫をこらすことは大切ですね...。
課題②【調味】
乾燥の課題を乗り越えた私たちに待ち受けていた次なる課題は、「調味」です。魚のアラから抽出した出汁は、上品な割烹料理のような香りが溢れ出るものの、口に含んだ時の旨味がやや弱いのです。旨味を出すために、どうするか悩んでいた時に、いつもお世話になっている栃木県の調味メーカーさんの社長に、「酵母パウダー」を使用したらどうかと助言いただきました。酵母エキスは、添加物ではなく食材扱いでして、たんぱく自己消化物、デキストリン、酵母エキス、昆布エキスなどから作られる魚介エキス調味料です。
捨てられてしまう魚のアラを活用し、添加物は使わないで循環型の商品を作りたい、という我々の思想に外れない形での旨味の添加です。我々おのざきにぴったり!ということで、酵母パウダーを使用することにしました。さらには、岩手のシャインさんが普段製造している昆布パウダーをブレンドすることで、「グルタミン酸」を、おのざきで普段販売しているどんこ椎茸をパウダーにしてブレンドすることで「グアニル酸」を加え、旨味をパワーアップさせることにしました。
早速調合してベストな配合を実験。
趣味でスパイスからカレー作りを6年くらいやっているので、粉ものの調合はなんだか自分の性に合いますw
こんな感じで様々な配合でブレンドしては、何度も何度も出汁を抽出してはテイスティングしての繰り返しで、胃がきつかったです...。
そしてついに!!!ベストな配合にたどり着きました。数十種類の配合でテイスティングしましたが、一口飲んだ瞬間に、「これだ」と確信しました。
たくさんの社長さんの知見をお借りして、乾燥と調味の課題を乗り越え、この度、ついにプロトタイプを完成させることに成功しました。こちらを、クラウドファンディングでご支援いただいた方々に返礼品として郵送し、反応や感想を集めてみます。そこで、更に改善する余地があれば、パートナーである岩手のシャインさんと協力してブラッシュアップをしていきます。次なる課題は、「量産化」ですかね。
みなさま、お楽しみに!