ハンドブック編集長の矢嶋です。今日は、目次から内容をご紹介します。Ⅰ「出会う」についての考察・出会う (文筆家・エンパワメントセンター 森田ゆり)虐待に至ってしまった親の回復を目指すMY TREEペアレンツ・プログラムや、虐待を受けた子ども、加害を行ってしまう子どものためのプログラムなど、人が回復するために大切な、ホリスティック(全体性)なケアの視点を、いつも教えてくださいます。森田ゆりさんの著書の折々に「出会う」について出てきます。風や木や光などの自然との出会いであったり、あなたの物語と私の物語が出会うことであったり、自分自身との出会いであったり、記憶との出会いであったり……。今回「出会う」をテーマに寄稿いただきました。・座談会「出会った責任」という言葉から始まる対話(NPO法人抱樸 奥田知志/他)北九州でホームレス等の支援を行う、抱樸の奥田知志さんとの座談会です。えんじゅからも数人が参加。一時保護を経験した方にも参加いただきましたが、みんながフラットに語り合うという、非常におもしろい時間でした。原稿のボリュームも膨大に。「社会的養護」とか「ホームレス」という枠組みにおさまらない、人間とはどのような存在か、という根本の語り合いができたように思います。こちらは後日、奥田さんとのオンライン対談(スナックえんじゅ)も予定していますので、振り返りたいと思います。・私たちを縛るものはなにかーー社会的養護から自由になる(全国こども福祉センター 荒井和樹)・「支援する/される」の概念を問い直す 全国こども福祉センターのアウトリーチ名古屋の市街でアウトリーチ(声かけ)を行う、全国こども福祉センターの街頭活動を取材ました。また、代表の荒井和樹さんには「出会いと別れ」の体験を交えたエッセイを寄稿いただきました。・出会いのなかで生きている (ゆずりは 高橋亜美)えんじゅの代表理事であり、東京のアフターケア相談所ゆずりはの所長、高橋亜美さんのエッセイ。たくさん講演や執筆もされていますが、今回は、ごく私的な内容で、寄稿くださいました。・風景と共に在る(九州大学 田北雅裕)えんじゅの理事である田北さんに「出会い」についてのエッセイをお願いしたところ、「橋の下」のエピソードが上がってきました。田北さんにとって(時に誰かにとっての)大事な時間、出会いが、描かれています。※他にも、社会的養護を経験した方にエッセイを寄せていただきました。Ⅱアフターケア 現状と課題 (安孫子健輔) 弁護士、社会福祉士の資格を持つ、えんじゅ理事の安孫子さんに、社会的養護のアフターケアの現状と課題についてまとめていただきました。・ 厚労省に聞く これからのアフターケアはどうなる?現在、児童福祉法の改正が控え、社会的養護自立支援事業の拡充も決定されています。どのように変わるのかなど、厚生労働省の担当の方に取材しました。Ⅲ 寄せられる相談内容と、活用できる制度・仕組みえんじゅの団体へ行ったアンケートを参考に、具体的にどのような相談が寄せられ、どのような対応をしているのかをまとめてみました。テーマは以下のように分けています。 1. 住まい 2. 心理・精神的課題 3. 性の課題 4. 家族・子育て支援 5. 進学 6. 就職・就労 7. 経済的課題 8. 生活支援 9. 学習支援・学び直し 10. 病気 11. 戸籍 12. 保証人問題 13. 障害者福祉との連携 14. その他*制度や仕組み解説*奨学金情報Ⅳ えんじゅ団体紹介、コラム全国のえんじゅに参加している団体の情報をまとめました。・全国の32団体のご紹介・コラム にじのはし(沖縄)、あすなろサポートステーション(神奈川)、ゆずりは(東京)
喪うことについて考えるこんばんは。ハンドブック編集長の矢嶋です。グリーフケアを考えるリヴオンの尾角光美さんの本を読んでいました。「なくしたものとつながる生き方」尾角光美さんと3/16(水)スナックえんじゅでオンライン対談します。喪失について語るときそこには「私の」物語が必ずあります。グリーフケアとは、そんな「私」を見つめる作業なのかもしれないなと思いました。いまから楽しみであります。
こんにちは。ハンドブック編集長の矢嶋桃子です。『えんじゅ アフターケアから、出会いへ』の、本のご紹介を少しずつさせてください。今回、表紙の絵は、画家の堀川理万子さんにお願いをしました。堀川さんは『海のアトリエ』(偕成社)という絵本で昨年Bunkamuraドゥマゴ賞を受賞されました。原画展を見て、やさしく、温かな雰囲気に、堀川さんに描いていただきたい!と思ったのでした。ありがたいことにご快諾いただき、何度か打ち合わせをさせていただく中で、イメージやキーワードをいろいろと伝えさせていただきました。この本のキーワードのひとつが「お守り」です。誰かと伴走していて迷ったときに、そうだ、あの本を開いてみよう、と思えるようなお守りとして。そして、もし本を開く機会がなかったとしても、本棚や机の上にあるだけでもうれしくなるような、お守りになるような本になってほしい。そのときに、装画はとても重要でした。そしていろいろとお話をしていく中で、「夜の闇の中にぽっと灯る、あたたかな光」のイメージが湧いてきました。夜とか、闇というと、ネガティブなイメージもありますが、でも、闇が全部悪者かというと、そうとも言えないと思ったのです。消えてしまいそうな気持ちの時に、闇が消し去ってくれる、包んでくれる、溶かしてくれる、そんな優しさを感じることもあるのではないだろうか。お日様や蛍光灯の強いあかりは強すぎるけれど、暗闇に灯る、街灯だったり、月だったり、星だったり、お店の明かりだったり、そんな灯りが、やっぱり誰かのお守りとしてそこにあったらいいな、と思いました。「朝が来るのがいやだ」という人たちの声もお伝えしました。堀川さんからは、「私にも苦しい時期、朝が来るのがいやだと思っていたことがあるのを思い出しました」という言葉もいただきました。そうして、いくつかの案を出してくださった中に、「夜のえんじゅの木」がありました。えんじゅは公園に植えられていたり、街路樹としても珍しい木ではありません。マメ科のため、初夏には白い花を咲かせます。堀川さんの描いてくださったラフ画を見たとき、夜空に立ち昇るような白い花と、枝葉の陰からきらめく星の光が、控えめに、しかしキラキラと、とても美しいと思ったのを覚えています。この度、堀川さんから、原画が完成し、送られてきました。「そこにひっそりとあるだけで、お守りとなるような本」これを受け取ってくださった皆さんが、大切にしたいと思ってくださったら、この上なくうれしいです。もう少し、本の制作も頑張ります。
名古屋を中心に活動する、全国こども福祉センターの理事長、荒井和樹さんから応援メッセージをいただきました!ーーー「であう」を問い直すハンドブック 人と人とのあいだに、“線”が引かれ、分厚い壁で仕切られた現代社会。街にたたずみ、人々が足早に通り過ぎる姿を眺めていると、見知らぬ人であり続けることの是非を考えてしまいます。 わたしは、社会的養護、障害者、ホームレスからの解放、名前を呼び合える関係をめざしています。 「社会的養護ハンドブック」 本書を片手に、ともに「であい」を問い直す活動に参加しませんか?---荒井和樹 全国こども福祉センター理事長、中京学院大学講師。 社会福祉士・保育士、北海道生まれ。児童養護施設在職中、社会制度の枠組みから外れる子ども若者と出会い、2012年に全国こども福祉センターを設立。毎週、きぐるみ姿の子どもたちと繫華街で声かけ活動を続けている。
アフターケア事業全国ネットワークえんじゅの代表、高橋亜美より、遅ればせながら動画でご挨拶をさせていただきます。当初、このハンドブックの企画を出した時にはもっと「マニュアル」色の強いものでした。これを読めば、対応方法が書いてある、といった感じに。それは、本を企画した編集長の私自身が、日々の支援の中で戸惑い、迷い、不安になることがあり、そんな時に「お守り」として携えておけるようなものが欲しいと思ったことがきっかけにありました。ところが、企画会議の場で出すと……といった経緯も、今回、高橋が話しています。どうぞご覧になってみてください。一番下に、動画の内容テキストも置いておきます。(編集長 矢嶋桃子)ーーーーーーこの本を作りたいと、編集長の矢嶋桃子から言われた時、どんな本を作りたいかというやりとりの中で、支援に困った時にその本を読めばいろんな情報や知識が詰まっている、そんな支援のマニュアルになるような本を作りたい、と相談されました。私は(編集長の)桃子さんがやりたい思いは大切にしたいと思いながらも、私は、マニュアル本は正直、読まないなと思いました。 でも、この本をどんな内容にしていくかをえんじゅの仲間とたくさん話していく中で、マニュアルだからお守りになるというよりは、この本の中に「相談者の人たちと一緒に幸せになりたい」とか「楽しく生きていきたい」とか、そんな思いが詰まった内容になっていく過程がありました。私も本の中で原稿を一つ書いているのですが、「私はマニュアル本は読まないな」から始まった本が、「私も、お金を払ってでも私の本棚に置きたいな」と思える本になりました。この本は、支援者とか、相談者とか、応援する人とか、そんな垣根を超えて、たくさんの人に読んでもらいたい一冊になりました。 たくさんの人に読んでもらいたいです。クラウドファンディングで頑張りますので、みなさん、ご支援をよろしくお願いします。(えんじゅ代表・高橋亜美)