モノが主張し過ぎると、人が持った時に大げさに見えたり、気負った雰囲気が出てしまったりします。私達は、細部まできちんと、そして道具としての原点を大事していくことで、存在していることを忘れる位、使い手と一体化して「なじむ」ようなモノを作っていきたいと思っています。
財布と他の革製品との違いに「折り目」があります。どのような形状の財布であれ、たいていは身ごろだったりカードやコインの収納部分のどこかに折り目がついています。そして、ほとんど毎日休みなく使い続けるうちにどうしても、その折り目にボコボコとシワができてしまう革がほとんどです。ところが、そういった摩耗や傷がつきものの財布の為に開発された革は、チリチリとわずかな細かいシワがでるのみで、きれいな状態を保ってくれます。革自体が上質で美しいのはもちろんですが、負荷がかかる部分に至るまで、財布にしっかりマッチしたレシピで革作りが行われています。
ミニマル、シンプル、ニュートラルなデザインなのでジェンダーレスにはもちろん、どのような装いやライフスタイルの方にもお使い頂けます。デザインや設計にあたり大事にしたのは、使い手の装いや雰囲気を妨げるような装飾性を極力抑えることで、財布がユーザーに自然に馴染むように心がけました。持つ人の生活やスタイルに合わせて、自由にのびのび使える財布です。
アップデートや最適化はもちろん必要だと思うのですが、効率的なモノ作りが優先されるあまり、しっかり作らなければならないところを簡略化されてしまうのは残念でなりません。そういうことにならないように、本来必要である工程や作業は一切簡略化せず職人さんに作って頂いています。皆様も経験があると思いますが、使っていくと、なんだか理由は分からないけど、使い心地や風格が良くて長く愛用するモノに遭遇することがありませんか? これはやっぱり、簡略化せずにしっかり作られたモノに共通する雰囲気ではないでしょうか。そういったことも含めて、便利なのは当然のことですが、ユーザーの皆様が愛着がわくようなモノをご提案していければと思っています。
カードホルダーも小銭入れもしっかり拡がるように、そして紙幣入れはスッと出し入れがしやすいように構造を工夫したことで、レジ前でもたつく心配がありません。次の3つの構造でスマートな動線を可能にしました。1.折りマチ仕様にしたことで、開口部はがばっと大きく拡がり小銭を取り出しやすくなっています。2.カードポケットの背側は真ん中部分を2箇所縫い付ける事で、ポケットの形状が絶妙に変化する仕様にしました。これにより、出し入れがしやすくなっています。3.札押さえが少し大きく、そして曲線になっている事で、角部分などの余計な引っかかりが無い上に安定感のある収納ができます。ユーザー目線で考え、使い勝手の良い財布に仕上がりました!