いつもご支援いただいている皆様へ12年目の感謝と決意
今年も震災のあった3.11がやってきました。
12年前と異なり、今年は暖かい日差しが降り注ぎ、平和な日常を送っています。
震災の日に震えていた長女も、震災の年に生まれた次女も、毎日楽しく学校に通っています。震災当日、東京に外販にでて帰宅困難者になったビール工場長も、いつも通り一生懸命ビール醸造をしています。
レストランの仕入れに行ったまま避難した母は、今は引退して庭にくる雀をみて穏やかに過ごしています。
まるであの日がなかったかのように、皆穏やかに過ごせています。
12年を振り返ると皆様に支えられながら、前ばかりを見て挑戦し続けた日々だったと思います。
東日本震災、コロナ、福島宮城県沖地震と、自分ではコントロールできない困難が襲ってきても、いつも応援し、見守ってくださる人を感じていました。
その感覚が私の背中を強く後押しし、前へ前へと進むことができました。
震災当時30代後半だった私も50代になり、世の中への視点も少し広がりました。地域、スタッフ、家族がより良くなるために、地方零細企業の経営者として、挑戦し続けていかなければいけないと思います。 その1つとして、今年は地酒復活プロジェクトとして、世嬉の一の敷地内での酒造りの再開に取り組みました。
ちょうど3.11の今日、初しぼりが終わりました。40年ぶりの“世嬉の一”の地酒です。50代の新たな挑戦として杜氏を私が務めました。清酒醸造を様々な方々からご指導をいただきながら取り組んでいます。
清酒業界は、斜陽産業として云われることもありますが、微力ながら世嬉の一は、地酒を守り発展させ、いわて蔵ビールと共に、地域の誇りになるよう努力し続けたいと思います。
皆様には、いつも様々な場面でご支援、応援をいただいており、本当にありがとうございます。
これからも皆様に当社の社名の由来「世の人々が嬉しくなる一番の酒造りを目指す」を実行していきます。今後も引き続き、何卒、宜しくお願いいたします。
末筆になりますが、皆様と共に、より良い日常が過ごせることお祈りしております。
追伸:震災時にある経営者から二宮金次郎の詩をいただきました。この詩を心に刻んですごしております。
遠くをはかる者は富み
近くをはかる者は貧す
それ遠きをはかる者は百年のために杉苗を植う。
まして春まきて秋実る物においてをや。
故に富有なり。
近くをはかる者は
春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず
唯眼前(ただがんぜん)の利に迷うてまかずして取り
植えずして刈り取る事のみ眼につく
故に貧窮す。
この詩をみながら、私の時代だけでなく、子供や孫の世代にこの地域がより良くなることを想って、今日を過ごしていきたいと思います。