杉浦菜々子です。今日は、母校である武蔵野音楽大学へ行き、本プロジェクトの返礼品になっているCDを寄贈してきました。現在制作中のCDと楽譜も母校にいずれ、寄贈したいと思っています。本プロジェクトのミッションは何といっても、日本の貴重な文化遺産である「知られざる山田耕筰のピアノ音楽」の普及です。皆様から頂いた資金はこうした活動に充当させて頂きます。 そんなわけで、今日は久々に母校に足を運びましたが、武蔵野音楽大学では、大学院博士前期課程の2年間学びました。それまで音楽大学に在籍せずにピアノを学んできた私にとっては、まさに夢のような環境で、夢のような2年間でした。社会人を経ての入学でしたので、当時27歳で、ピアニストとして既に成熟していても良い年齢ですが、そこからがスタートでした。出会った先生方、友人たちとの時間は、かけがえのないもので、今に繋がる大事な大事な2年間です。さて、本日、武蔵野音大に寄贈したのは、以下のCD5点です。〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜①「休暇の日々~フランスバロックからセヴラック、タイユフェールまで~」 ピアノ:杉浦菜々子②「山田耕筰ピアノ作品集《子供と叔父さん(おったん)》 」【レコード芸術特選盤】 ピアノ:杉浦菜々子③高久敏春「リュート、19世紀ギター,ギター」④「J.S.バッハ&S.L.ヴァイス リュート作品の鍵盤用トランスクリプション集」【レコード芸術準特選盤】杉浦菜々子(ピアノ)⑤「近藤浩平&山田耕筰◆ピアノ作品集◆『麦草峠のギター』」ピアノ:杉浦菜々子 ギター:坂場圭介〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜① 〈神秘のバリケード〉を原調の変ロ長調ではなく、ピアノの適正音域の変ロ長調に移調して演奏したり、ルイ・クープランの小節線のない前奏曲をピアノで演奏したり、、、実はこれまでにない試みを色々やってる挑戦的アルバムですが、家具のように生活に溶け込むようなとてもナチュラルな仕上がりです。② 入手し得る限りの出版譜はもとより、自筆楽譜、初出版譜などを徹底的に校閲し検証。テンポや響き、表情など、洗いなおされて甦る山田耕筰の魅力。演奏と校訂の両面で高く評価された一枚です。③名曲・秘曲揃いのアルバム。3つの楽器の特性に合い、且つクラシック音楽として一級と言える作品を厳選した充実の2枚組。その表現の可能性を開拓する高久敏春の卓抜した演奏をお楽しみください。④J.S.バッハとS.L.ヴァイスのリュート作品を完全な鍵盤作品として生まれかわらせたアルバム。静岡バッハハウスのベーゼンドルファーで収録。『レコード芸術』6月号より、「温もりと艶のある音色がリュートの持つ優雅で木質の響きを代弁している。」「ヴァイスの4作品は全て山中哲人の編曲によるもので、ピアノ書式からの積極的な表現方向が明瞭で、それぞれの曲のスタイルを十全に活かしている。」(草野次郎氏)「モダンのピアノにしては響きの混濁が少なく、しかも響きの作り方がリュートに近い。フーガの各声部の動きもよくわかる。」「当盤を機にこれらの曲をもっとピアノで弾く人が増えてくれればと願う。」(那須田務氏)⑤これまでにない不思議な時間感覚を体験できるイチオシの最新作です。麦草ヒュッテオーナー島立正広さんの美しい写真や、作曲者近藤浩平による観光案内など、現代音楽やクラシックの概念を超越して自然存在に昇華した仕上がり。徐々に近藤浩平と山田耕筰の境目が失われて行き、近藤の会心作〈三段峡と八幡高原〉の神々しいサウンドは時が止まったよう。ヤマハC3Xespressivo の響きも圧巻で録音も秀逸です。①②④⑤がクラウドファンディングの返礼品になっているCDです。このプロジェクトで制作を進めているCD「知られざる山田耕筰のピアノ音楽」と楽譜「山田耕筰ピアノ拾遺1〜3集」も寄贈後、音楽大学の学生さんにたくさん触れていただきたいと思います。
こんにちは。ピアニストの杉浦菜々子です。昨日、一般社団法人全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)福田成康専務理事、並びに実方康介本部事務局、ピティナ・ピアノ曲辞典編集長と本プロジェクトについてミーティングをさせて頂きました。「ピティナ」は、ピアノがお好きな方々なら、一度はお耳にしたことがあると思います。毎年全国で延べ4万人を超える参加者が競う「ピティナ・ピアノコンペティション」を初め、アドヴァイザーの先生方から講評がもらえる発表会形式の舞台である「ピティナ・ピアノステップ」、そして、ネット最大級のピアノ・鍵盤音楽データベース「ピティナ・ピアノ曲事典」などを運営している組織で、ご存知の方も多いと思いますが、実は1966年に「邦人作品の研究と振興を目的」として発足した団体です。その発足の経緯からも、日本人作品の普及に力を注いでおられます。私の日本人作品を演奏する活動も応援してくださり、ピティナ・ピアノ曲事典には現在演奏動画421曲が登録されています。昨日のミーティングでは、本プロジェクトの内容に大きなご賛同をいただき、福田専務理事からは、「国家が行うようなプロジェクトだ」と力強いお言葉をいただきました。本プロジェクトで採り上げた「知られざる山田耕筰のピアノ音楽」は、西洋音楽に最初期に触れた日本人の瑞々しい喜びで溢れており、日本人が最初に書いた「本格的ピアノ作品」です。現代という視点から改めて評価する際に、その是非はあるとしても、これらの音楽には丁度、宮澤賢治の詩が私たちの心にとって大切な文化遺産であるように、純粋な音楽の喜びが宿っています。そうした大切な芸術作品が、100年も日の目を見ずに、眠ったままであることは大変な損失だと感じ、私自身、調査のなかで「今自分がやらなければ!」という強い思いがありました。その気持ち一つに、福田様、実方様が応えてくださり、感無量でした。そして福田様、実方様からは、次のような素晴らしいご提案を頂きました!********************・国会図書館に楽譜、CDを寄贈。現代の人々に広めるだけでなく次世代にも伝える。・音源をもっと聴いてもらうために、ピティナレーベルと拙レーベル、バカンス・ミュジカルのコラボ企画として、各種音楽サブスクリプションで年明けころから配信を開始。********************これから具体的な調整を行い、その後メインページに記載させていただきます。この日本の至宝を普及させる活動にぜひご参加いただければ嬉しいです。
こんにちは! 「山田耕筰ピアノ音楽プロジェクト」実行委員長の山中です。夏が急に到来して猛暑が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか? 多くの皆様にご支援頂き、誠にありがとうございます。製作は順調に進んでおりまして、まもなく、CDの完成をご報告できるかと思います。 さて、そんな中、左手のピアニストの智内威雄さんより、以下のメッセージを頂戴いたしましたので、ご紹介させて頂きます。智内さんは、NHKのETV特集「左手のピアニスト~もう一つのピアノレッスン」、BS1スペシャル「私は左手のピアニスト〜希望の響き 世界初のコンクール〜」でも採り上げられ、館野 泉さんと並んで最も著名な左手のピアニストとして精力的に活動されています。実は、私山中も以前、共同プロジェクトにお声がけ頂いたことがありまして、「左手のためのオールバッハプログラム(おそらく世界初)」の企画、編曲で関わらせて頂いたことがありました。智内さんならではの格調高い含蓄あるメッセージを頂き、本プロジェクトの歴史的意義を改めて再認識させられました。是非、ご一読ください!ーーーー我々日本人音楽家が欧米で勉強をすると「何故日本人が西洋音楽を学んでいるのか」、「何故日本人が西洋音楽を演奏をするのか」という悩みがついて回ります。そこには「この分野には一生涯かけるだけの価値あるから」という答えがあるのですが、それをうまく説明できないんです。その素晴らしい音楽分野と自分のアイデンティティを、どのように同化させるかという葛藤であり揺らぎがあります。近代の芸術・音楽は、西洋が東洋に近づき、東洋が西洋に近づいた双方向の交流に始まります。しかし次第に各国が日常を奪い合うという負の感情がもたげる時代へと移り変わっていきます。その中での表現活動には様々な側面があり多種多様な音楽が生まれたことでしょう。彼の足跡を辿ることは、東洋から見た西洋であり、日本人がたどる西洋音楽を発見することに繋がります。日本人音楽家の偉大なる先人の音に耳をすます機会がこうして与えられたことに喜びを感じます。彼が生きた時代の空気感を今に伝える大切な役割をすることでしょう。このプロジェクトの更なる発展に期待をしています。左手のピアニスト・智内威雄