手探りで始めたクラウドファンディング、おかげさまでなんとか無事に終えることができました。残念ながら、目標金額には届きませんでしたが、とても良い学びとなりました。頂いたご支援を励みに、また再び皆様に刺さるものづくりが出来るよう、ブレずに、けれど現実はしっかりと受け止めて、精進して参りたいと思います。ご支援下さった皆様、4月の商品お届けまで、今しばらくお待ちください。ありがとうございました。
服部式チーズワインダー(服部機械製作所)セラミックドラムで糸の長さを計測できる20錘と30錘、加えてインバーターでスピードをコントロールできる9錘のチーズワインダーがあります。分割、合糸、チーズアップ等の工程に利用できます。愛知県の服部機械製作所と言う会社で作られました。現在は生産されていません。服部部分整経機(服部工業)木製ドラム(径2.5メートル)のシンプルで小さな部分整経機、屏風には最大600本まで糸を掛けることができ、織物の経糸を準備する工程に使用します。岐阜県の服部工業と言う会社で作られました。現在は生産されていません。シュワイター(ISHIKAWA SEISAKUSHO.LTD)3錘の小さなシュワイター、織機で使用するシャトルに糸をセットするため、管と呼ばれる道具に糸を巻くための道具です。石川県金沢市の石川製作所と言う会社で作られました。現在は生産されていません。橋詰タイングマシン(橋詰研究所)橋詰研究所と言う会社で作られた、手動で織機上の織終わった経糸を、次に織る経糸と繋ぐための道具です。福井県で作られました。現在は生産されていません。IWAMA片四シャトル織機(岩間製作所)岩間製作所と言うメーカーのもので、シャトルを最大四杼まで同時に使用することができる力織機です、一般的には片四(カタヨン)と呼ばれています。0.01は全てこの織機一台で織っています。昭和45年頃に愛知県で作られました。現在は生産されていません。
0.01の生地は、シャリ感のある、着物(上布)や洋服などのお仕立てに向く伝統的な技法の生地と同じ糸を用いていますが、密度からフィニッシュまでを一から見直し、麻のさらりとした感触と柔らかさを兼ね備えたオリジナルのものです。麻糸(ラミー)を染色(白は原糸色)し、経糸緯糸ともに一本糊付加工を施して、小巾シャトル織機で織り上げ、縮み加工で仕上げています。原糸関連以外の殆どの工程を滋賀県で担っていますが、近江上布ではありません。必要な麻糸(ラミー)は年々生産量が減っていて、少しずつ高品質なものが手に入ら無くなっています。現在使用している糸は、海外で栽培された原草を広島県で紡績されている80番手単糸です。肌に直接触れることの多い素材ですから、汗や摩擦で身体や他のアイテムを汚さないように、糸の染色は堅牢度の高い反応染料を選択。繊細にイメージを実現するため、色再現力の高い地元染工場さんにお願いしています。糊付は和歌山県。経糸緯糸共に一本糊付加工を施して頂いています。毛羽を寝かせた状態で織り上げることができ、着用時の毛羽立ちを抑え、肌触りに違いを生むのが目的です。生地のエイジングは劣化では無く、美しさの一つの要素だと考えているので、糊種は敢えて不溶解でない澱粉糊を選択しています。原糸の購入からここまでで2から3ヶ月、制作のベースとなる先染めの糸が完成します。色のついた状態で、販売されているものを購入している訳ではありません。糸の準備が整いましたら、整経から織りまでの工程は自社で。特に整経は、0.01の言葉となるストライプを組む作業ですから、リスクを犯しても目的に対して妥協なく、常に容赦のない縞割に取り組んでいます。織りは生地に膨らみ感がでるよう、経糸をあまり張らずに織る事の出来る古い小巾シャトル織機を使用し、紡績ムラ、染色ロットムラが出ないよう、緯糸が無地の物も必ず二杼以上で、回転数を落とし、織っています。フィニッシュは、伝統的工芸品も手掛けておられる麻に精通した整理加工屋さん。揉み工程は機械ですが、手作業による丁寧な直しが施され、巾出しは必ず2回、耳際まで生地を痛めないクリップテンターを使用、生地をリラックスさせた状態で乾燥させることができる竿干しをお願いしています。後は自社で織傷や汚れを確認した後、必要な長さに裁断し、手作業で房付けをして完成です。生地のロスを少なくするため、この工程はご注文を頂いてから行っています。誰がつくるかでも、どうつくるかでも無く、何をつくるか。こんな物をつくりたい。そう思える布をつくるために、最適な道具と必要なパートナーを選択し、仕事を重ねています。
今日は三日月がキレイでした。三日月の明るさをデザインしたプロダクト 0.01 「目には見えない、写真にも映らない、けれどそこには確かにあって、理由は分らないけれど、誰かの心を動かす小さな要素になっている」そんな仕事を目指した布です。
整経屋は、機屋さん、若しくは機屋さんに向けて発注されるデザイナーさんの望まれたことにお答えするのが役割です。通常は作家さんのように、自分の名前の付いたプロダクトに取り組むことはありません。しかしながら、昔は多くあった難しい仕事や、新しい取り組みはどんどんと減っていて、ニーズはシンプルなモノ、ベーシックなモノの方へ大きく傾き、近年は震えるような仕事に出会える機会は多く無くて、充実感を得ることも難しく成っています。それで、技術の向上を言い訳に、ほんの少しではありますがコソコソと個人的プロダクトに取り組むようになりました。今回の取り組み、当初はもう少し伝わりやすいものを考えていたのですが、ある方の「安くて良いもの、多くの人が望む美しいもの、快適なものなら、我々のような企業でも実現できる。だから、我々には絶対に手出しできないモノが見たい。個人的には、例えば一度使ったら崩れ落ちるようなモノでも良いと思う」と言う言葉に痺れ、振り切ったコンセプトへ向け舵を切りました。もちろん、出来上がったものは多くの方の理解を得られるものではありませんが、取り組んだ日々は私にとって大きな財産となっています。僅かでも、何処かの不要なものが必要な方のもとへお届けできたらステキだなと思います。