
みなさんは、「早すぎる妊娠」「望まない妊娠」「Teenage Pregnancy」「10代の妊娠」などといった言葉を聞いたことはありますか。もしかするとどれかひとつでも、聞いたことがあるかもしれません。PLASはこの夏から、ケニアで10代の女の子たちを対象とした新たな事業を開始します。ケニアの現状ケニアでは、10代の子ども・若者の18%が妊娠・出産を経験しています。中でもPLASが活動するケニア共和国ホマベイ郡では、10代の妊娠率は33%であり、ケニアの全47郡のうち2番目に高い地域です。ケニア地域別の10代の妊娠の割合を示したグラフホマベイ郡において、健診で妊娠がわかった子どもの数は、2020年において15‐19歳では10,686人、さらに10‐14歳では1,181人でした。検診に来ていない子どもを含めるとその数はさらに多いと予想されます。現地パートナー団体ビアジェンコからは、ホマベイ郡において9歳の少女が妊娠・出産した事例も報告されています。私たちが出会ったある少女FLOWER事業(カウンセリングと農業による生計向上支援)で村に畑の様子を見に行ったとき、丘の上に寄り添うように立っている3軒の家がありました。FLOWER事業の参加者は真ん中の家のおばあちゃん。左右の土壁に藁ぶき屋根の家、左側の家の上がり框に腰を下ろす女の子がいました。10代前半に見え、日本であれば中学1年生か2年生かといったところ細い手足に大きなお腹を抱え、うつむきがちにスクマウィキ(ケール)を足元のたらいにナイフで刻みいれています。おばあちゃんに尋ねると、妊娠しているので家の手伝いをさせているそうです。学校にはもちろん行っていません。※写真はお話には全く関係のない、これまた別の村で出会った女の子。 これは、私たちが出会った初めての10代の妊娠のケースではありません。他の村のモニタリング中にも、近所の屋台に野菜を買いに行くときにも、とても若いこどもが大きなお腹を抱えていたり、新生児をおんぶしていたりする姿をよく見かけます。 「早すぎる妊娠」の問題10代での妊娠は、母体にも胎児にも大きな負担がかかります。また、社会的負担も相当なものです。「悪いのがうつるからあの子には近づくな」「学校に行かせたお金が無駄になった」このような、いわれのない差別や偏見の問題もあります。生活をしている村でも、学校でも周りから視線が気になり、ストレスを感じることが多いそうです。母親や祖母が擁護してくれるのは幸いな例で、「『夫』になるべき人のところへ行け」と家を追い出された例も事前調査でありました。PLASが新たに出会った、10代の女の子の早すぎる妊娠の問題。この問題に取り組むべく、新しい事業を開始します。