
皆様、多くのご支援ありがとうございます。今回も折り紙作家山本が、『時折2024』に収録されている作品の紹介をしていきます!【時折2024 作品紹介】では、それぞれの月のテーマとなる12の作品について一つずつご紹介したいと思います。※作品写真は本番の紙で折る前の「試作」状態のものを含みます。商品に掲載されるものは紙質や色など、より見栄えのする状態になっているかと思いますのでご期待くださいませ。今回の特集:9月掲載分「ウサギ」皆さん、折り紙してますか!いよいよこのクラウドファンディングもあと4日、佳境に入ってまいりました。本日も掲載作品から一つ紹介します。今日のテーマは9月の「ウサギ」です。この作品の原型は、僕がまだ大学生だった2016年に創作しました。見ての通り立った姿に仕上げており、今回のものとはだいぶ見た目が異なると思います。ですが、どちらも同じ基本形から作られています。今回のバージョンは、走っているウサギの姿勢を切り取ったもので、後ろ足を蹴り出した姿になっています。『時折2024』ラインナップにはネコ、リス、ペガサスなどの四足歩行の動物が多くあります。その中でポージングに変化をつけるため、このような仕上げ方を採用しました。こちらが展開図です。折り紙界隈において、皆さんがご存じの「鶴」といった伝承作品に見られる基本的な構造は「基本形」と呼ばれています。「鶴の基本形」だけでなく、「魚の基本形」や「カエルの基本形」などが存在しており、それらを組み合わせたり、複雑に折り込んだりして、全く別の題材を作るような創作法があります。このウサギは、その一つである「座布団小鳥の基本形」と呼ばれる構造から派生させていった作品です。実は、この基本形には少なからず思い入れがあります。僕が中学時代に入り浸っていた「おりがみ新世代」という掲示板サイトがあります。創作を始めて間もないころ、そこで「座布団小鳥の基本形」(通称「ざぶこと」)から発展させることをテーマとした競作の流れが生まれました。一日に数個は新しい作品が投稿される、といった状態がしばらく続きました。僕もこの流れに感化され、自作品のケンタウロスを投稿します。2009年、当時13歳のことでした。憧れていた作家たちの輪に参加できたことが嬉しく、この投稿は私が創作を本格的に続けるきっかけとなったと記憶しています。創作の原体験と言ってもいい、思い入れのある作品であるケンタウロス。それと同じ「ざぶこと」を使った「ウサギ」の原型を7年後の大学時代に作りました。そしてまた7年が経った今年、自分たちで企画した商品にその最新バージョンが収録されることになりました。これってとっても素敵やん、ですね。僕の創作史を凝縮したようなこの作品、ぜひ製品版でお楽しみください。では、また次の作品紹介で!文:山本大雅