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みなさまこんにちは、寄贈を受けての歓喜の舞い、西田です。
本と舍は温泉津の沖浦と言われる地区にある愛宕神社の麓にひっそりと構えます。温泉津温泉街のメインストリートから小道を入り、民家の垣根を右や左と歩みあれよと見つかる、そんな場所です。
自らも工事現場に入り解体作業をしているため、ご近所のかたと顔を合わせる日もしばしば。その日は裏手のお宅にご挨拶に行った日でした。
夕方、本と喫茶のゲンショウシャに戻ると一人のお客さまが。
90年代の電気グルーブを思わせる、ある一人の殿方が温泉津のクラフトビール「はるかなう」をお飲みになっておられました。
本の寄贈について考えていること
なんと奇遇なことに、本日ご挨拶に伺ったお宅をご実家に持つ方でいらっしゃいました。
「解体作業中に本と舍の前で少しお話したわよ」と、記憶のフラグメントが静かにささやきます。
しばし談笑。今は東京にお住まいですが、温泉津にお住まいの漁師の弟さんのこと、お優しいお母様のこと、色々お聞かせいただきながら、「本」をテーマに会話を交わしました。
漫画から専門書まで、かなり所蔵されておられ、もしよければ寄贈させてもらえたら、とのこと。
それは、私が本と舍にどういった配架をこしらえたいかを散々聞いてくださったあとの静かな申し出。
会話の内容も、デザインや建築、インテリアや家具に関するトピックスが混じられていたことから、この申し出のマッチングは良きかも…!と直感が働きます。
「是非に、“これは人に渡しにくいな” と思う本こそご寄贈いただきたく候。」
そう申し上げました。
寄贈は、提供される側も受け取る側も実は目に見えない攻防というか、気持ちの往来が存在します。
「渡したところで趣味と違えば困るかもしれないな。」
「2000年代のウェブマスター的な本が入ってたらどうしよう。」
「これ絶対面白いけど、あげるのもったいないかも。」
「どんな本が来るか、わくわくするな。」
『‥合わなければどうしよう。』
これ、おそらく双方が思ってることです。好きバレする前の男女の思考戦争みたいですよね。
西田は、寄贈を受け付けます。特に地元の方の寄贈を優先して受付させていただいています。背景は様々ですが、まずは「自分の・自分の家族の所蔵本がここにこうして活かされている」という喜びを感じていただけるからです。
先日のラジオを聞いて、ご自身の書かれた本を寄贈くださった方もおられます。この日、次の予定まで15分ほど時間があったため、少し会話をさせていただきました。
どういった背景から着想された本か、何を参考とされ、何に背中を押されて綴られたのか。全くこれまで自身が手に取る機会のない種類の本でしたが、私はこれを配架に入れよう、と思いました。
さて、工事の進捗は‥
寄贈をテーマに語るのはまたいずれ続編を‥。ということで、活動報告として、思いの外みなさまが面白がってくださっている工事状況についてお伝えいたします。
まず「雨漏り屋根」がなんとかなりそうです。
あくまでも応急処置ですが、と言う前置きあってのことですが、モルタル修繕を施していただきました。
2階の天井部分を解体したとき垂木と竹と網藁の間から煌々と光が指しているではありませんか‥しかも4箇所!本と喫茶のゲンショウシャのときもそうでしたが、よくこんな古くなった家を‥と持ち主のかたに言われることもありますが、特にあまり気にすることなく立地優先で建物を継ぎます。
こうして一日一日進んでいく作業。家が活き活きと息を吹き返してきているようでとても嬉しいです。
2階の現し天井、どうするの問題
↑釘で靴をぶち抜きながら解体した天井。見事な曲がり梁がその姿を現します。
2階のお部屋はひときわ専門色の強い所蔵エリアとなる予定です。靴を脱いで入れるフロアになるので、それも踏まえた作りにするのですが‥。
天井の仕舞をどうするかまだ検討中です。ひとまず掃除や梁磨きをするのでまだ先の決断でよいのですが、決めかねているところです。
①今のまま屋根土が落ちて来ぬようにして現しフィニッシュ
②垂木に杉板を打つ(←本と喫茶のゲンショウシャがこれ)
③その他
こちらは大森・鄙屋の天井です。細い丸太で竿縁をうち、よしずを乗せて構成しています。部屋の形状が細長いため吊木は不要なのでしょう。参考になります。
このような感じで、他の古民家の設えを勉強しながら最適解を見つけようと思います。もし皆様のなかで、アイデア・ご意見がございましたらぜひお聞かせいただきたいです!
コメント欄にて是非お聞かせください。
それでは、次の活動報告でまたあいましょう〜!