本日は、カンボジアとエファプログラムマネージャー 鎌倉幸子(かまくらさちこ)の話をさせていただきます。
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鎌倉は、18歳よりアメリカの留学・勤務経験を経て、1999年、公益社団法人シャンティ国際ボランティア会カンボジア事務所に入職しました。
図書館事業課コーディネーターとして行った事業の一つが、ポル・ポト政権下で失われた物語をよみがえらせる仕事でした。
本ページの写真は全て2022年7~8月、エファのカンボジア出張時のものです
カンボジアは、1970年から1998年まで30年にも及ぶ内戦状態にありました。
多くの学校や図書館は、処刑場や刑務所として使われました。図書館員は殺害され、図書館の蔵書の大部分が焼却されたといいます。
ほとんどの本はゼロから作り直さなければならなくなりました。
赴任当時のカンボジアは高齢者が人口に占める割合が3%程度。内戦で体力のない高齢者の多くが亡くなったからです。
鎌倉は、「いま、物語を聞き取らないと、絶滅してしまう」と、村々を回り、民話を収集しました。
カンボジア各地に、その地域にまつわる民話があります。
「カンボジア人は龍の子孫だからさ」と楽しそうに物語を話す村人の顔を見ながら、鎌倉は「カンボジアは物語でできた国だ」と思いました。
ポル・ポトの恐怖政治と闘ったカンボジアの人々。
絵本や紙芝居を出版する過程で「私たちは祖先から伝わる物語の根を途切れさせない」と多くの人が口にしたそうです。
「カンボジアで本や紙芝居をつくることは、ただ教材をつくることではなかった。失いつつあったこの国の『物語』を、カンボジアの人の『記憶』と『自身の手』でよみがえらせることだった」と鎌倉は感じました。
鎌倉は、9年間、カンボジアで絵本や紙芝居の出版、図書館建設、学校の図書室の設置、図書館員育成に携わりました。こうした経験が、現在のエファの活動に活きています。
(参考資料)シャンティ国際ボランティア会 「【寄稿】カンボジアで絵本と紙芝居をつくる(鎌倉幸子)」(最終閲覧日 2023/03/18)