随想「つつじ野」(3)8/21付掲載分
■タイトル:『絵』を届けたい!(下)
仮設への『絵』のカレンダーのお届けが始まると、たくさんの反響を頂きました。
「震災前の風景を想い出し、とても懐かしい!」「津波で流された自宅が描かれていて、とても貴重で涙がでた。」「仮設を出てもこのカレンダーは大切にとっておきます。」など多くの嬉しい感想を頂きました。
羽黒山公園の桜の絵を見た女性からは、「昔、図書館の所にあった高校に通っていた。青春時代を思い出ししました。ありがとう。」と。父の絵で青春時代を思い出してもらえるなんて素敵だなと、絵の深みをさらに感じました。皆さんに喜んでもらえてやって良かったと思いました。
お届け2年目の暮れに女川の仮設を訪れた時の事。集会室で皆さんでクリスマス会をされていました。「一緒に混じゃらい!」そう声をかけられ、その日最後の団地だったので、お言葉に甘えて宴席に混ぜて頂きました。「遠慮するな」と言われたのでいつもの宴会のように料理皿に箸を伸ばしていたら多少ポカンとされましたが、楽しいひとときを過ごすことが出来ました。
その帰り道。車の中で、後ろのスタッフに気づかれないように静かに泣きました。受け入れられたような気がしたのです。
「なんだい、あんだも被災したんだっちゃ?こっちゃ来て呑むべ」と言われた感じで。地域の本当の優しさに触れた瞬間でした。「想い」のみでやって来た自分の「想い」も同時に、伝わった気がしたのです。
皆さんと交流しながら最期の仮設が解消された2018年まで5年、お届けする事ができました。今も郵送ですが、配布継続を希望の復興住宅の方に暮れに『絵』のお届けは続いています。
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