今回は、本の印刷仕様のおはなしを少し。黒板が主役の本なので、まず判型は横長にしました。チョークの線や図面は横方向に伸びるので、板書全体を一望できることが読み取りの前提になるからです。さらに、見開きで黒板全体を眺められるよう、背を見せてパタンと開くコデックス装を採用。ページの喉の奥まで紙面を使えるので、写真全体を隅々まで眺めることができます。長く手元に置けるよう、表紙の強度と開きの良さを両立する上製(ハードカバー)+スイス装で仕立てます。本文ブロックを表紙に貼り込むスイス装は、机の上で自然に開いたまま保てるのが利点。しかも今回は横長フォーマットとの掛け合わせ——「横長のスイス装なんて見たことない!」という声が聞こえてきそうですが、その驚きをかたちにするべく、印刷所と詳細を詰めています。黒板の前の空気を、紙の上でもう一度立ち上げるための選択です。





