現在、肥薩線においては瀬戸石駅、海路駅、那良口駅の廃止が計画されています。これらの駅は周辺に集落が少なく、利用者も限られていることから、経済的合理性に基づいた判断としては理解できます。しかし、その一方で、これらの駅が持つ観光資源としての価値は、十分に再評価されるべきだと思います。豪雨災害前、私はロードバイクで人吉から八代まで球磨川沿いを走ったことがあります。ルートは、国道219号線を走り渡瀬駅を越え、球磨川を渡って県道15号線へ。球磨川を右手に、左側には肥薩線が並走する静かで、たまに山道を進み、鎌瀬で再び国道219号線に合流するコースでした。国道219号を走れば、瀬戸石駅は対岸となり、当時立ち寄らなかったため、記憶には残っていませんが、最近になって瀬戸石駅跡を訪れて、その変り様に驚かされました。海路駅は、ホームに立つと目前に美しい球磨川が広がり、非常に印象的です。確かに、都市部の視点や机上のデータだけでは、周辺に人家のない駅の存在意義は見出しにくいかもしれません。しかし、自転車で走ると、これらの駅がちょうど良い距離感で配置されており、旅の途中で立ち寄るには最適な場所であると実感できます。特に海路駅のホームから望む球磨川の穏やかな流れは、旅人にとっての癒しの風景です。こうした視点から考えると、地域振興の手段として、公共交通と観光資源、そして、新たな地域集落を結びつけた、「コンパクトシティ」的な都市計画の再構築が、今後の地域創生には、求められているのではないでしょうか。鉄道は単なる移動手段にとどまらず、地域の風景や文化を伝えるメディアとしての価値を持ちます。駅から望む球磨川の絶景は、鉄道と地域社会が共存する未来を描くための重要な手がかりとなるはずです。




