
最終日の朝を迎えました。
長かったような、あっという間だったような——
今日という日が来るのを、ずっと待ち望んでいたような、 でも来てほしくなかったような。 不思議な気持ちで、この文章を書いています。
正直に言うと、はじめる前はとても不安でした。
「こんな小さな牧場の夢に、誰かが共感してくださるだろうか」 と、何度も自問しました。
それでも勇気を出して一歩踏み出してみたら、 201人の方が「応援するよ」と手を挙げてくださいました。
その一人ひとりの気持ちが、本当に胸に届いています。 ありがとうございます。
ビジョンブックを作ったとき、「milk」という言葉についてこう書きました。
「丹後の魅力、SORAの魅力が一滴のミルクに凝縮されている。 その一滴のミルクが、人々の笑顔を作り、 同時に丹後に還元され、丹後を良くする。」
この言葉が、私たちのすべてだと思っています。
祖父は昭和24年、味噌小屋を片づけて1頭の乳牛を飼いはじめました。 朝2時に起きて、手製の布袋に熱々の牛乳を入れ、自転車で配達しながら、 牛の世話、草刈り、田んぼ、畑——毎日休まず働き続けました。 社会的にも認められづらい時代に、それでも誠実に前を向き続けた祖父がいました。
父は「社長は社員の手本になる必要がある」という信念で、 誰よりもよく働き、牧場の作業後には深夜まで書類を作り続けました。 牛を想い、従業員を大切にし、真心を込めて嘘のないものづくりを続けてきました。
振り返るたびに、胸がいっぱいになります。
そんな先代たちの想いと歩みを、次の世代へとつないでいきたい。 この長期熟成チーズへの挑戦は、 三代分の想いが重なった、私たちにとって大切な一歩です。
この2週間、8人のゲストが丹後の未来を一緒に語ってくださいました。
建築家の安宅さん・池田さんとは「牛ランド構想」を。 まちまち案内所の坂田さんとは「人が集まる場所とは何か」を。 Tango Barの関さんとは「地域の食を未来へ」を。 CYCLEの中原さんとは「街の記憶を残すこと」を。 ARIAの小池さんとは「空間が人を動かす力」を。 gyoninbenの山田さんとは「内側から見た牧場の話」を。 GURIの當間さんとは「この場所でやる意味」を。 縄屋の吉岡さんとは料理教室——なぜか私が包丁を握ることになりまして(笑)。
語り合うたびに気づかされました。 丹後の未来を本気で考えている方が、こんなにいる。 このチーズは、私たちだけの夢ではないのだと。
そして、このクラウドファンディングには、 丹後・城崎でそれぞれの想いでものづくりをされている 4つの場所が、リターンとして力を貸してくださいました。
毎朝ひとつひとつ丁寧に焼き上げ、 「城崎のインフラになる」という言葉を胸に営む〈PARADI〉さんは、 そらのゴーダチーズを使ったオリジナルのチーズサブレを作ってくださいました。
天然酵母と湯種製法で仕込む、ふわもち食感のロールパンが 普段は予約でしか出会えない〈あさみせのはなれ〉さんは、 そらのバターと一緒に朝ごはんセットにしてくださいました。
兵庫・京都の生産者とともに農薬不使用のビーツを手仕事で育てる〈BETTE〉さんは、 そらのフロマージュブランとの組み合わせで、 日々の食卓に自然となじむ一皿を届けてくれます。
地元食材とナチュラルワイン、スペシャリティコーヒーで 城崎のローカルを丸ごと味わえる〈OFF.kinosaki〉さんは、 食を通じてそらの挑戦を一緒に応援してくださっています。
それぞれが、素材に誠実に、自分たちの場所に誠実に向き合っている方々です。 「一緒にやろう」と手を挙げてくださったこと、本当に嬉しかった。
支援者の皆さんには、チーズと一緒に、 この地域のものづくりの豊かさも味わっていただけたらと思っています。
ビジョンブックには、これからのそらが目指す姿をこう書きました。
「SORAがあるから丹後に行こう」——そんな場所になりたいと。
久美浜湾を望む牧場で、牛たちと過ごす静かな朝。 搾りたての牛乳から生まれるチーズ。 地元の食材を使ったレストランで、丹後の恵みを味わう食卓。 そしていつか、丹後でしか生まれないチーズが、世界の食卓で語られる日を。
「誠実さ・創意・忍耐」——祖父の代から変わらないこの言葉を、 これからもものづくりの根っこに置いて、歩んでいきます。
一滴のミルクが、人々の笑顔をつくり、丹後に還元されていく。 その小さな循環を、この熟成庫からはじめられたらと思っています。
達成率84%。あと457,487円。今夜、終わります。
最後の一日です。
もしこの投稿を読んでくださっているなら、 大切な誰かひとりに届けていただけませんか。
皆さんのシェアのひとつが、このチーズが生まれる力になります。
今日一日、どうかよろしくお願いいたします。
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