キャンプファイア会員の皆様、こんにちは。
沸かし屋をリニューアル・オープンいたします株式会社丸優のブランド戦略室室長の住井彩乃(すみいあやの)と申します。
この度は、沸かし屋プロジェクトにご興味をお持ちいただき、誠にありがとうございます。
今日は、「沸かす」という言葉について、沸かし屋がどのように捉えているかについてお話しさせて頂きたいと思います。
「沸かす」という言葉を聞くと、多くの人はお湯がぐつぐつと沸く様子を思い浮かべると思います。
ですが、私たちにとっての「沸かす」は、何かを強く変えることではありません。
むしろ逆で、変えすぎないための技術です。
素材には、それぞれ本来持っている状態があります。お肉であれば、水分の量、繊維の向き、脂の質。
本来それだけで、すでに“美味しさの設計図”は中にある。問題は、それをどう扱うかです。
強い火で一気に焼けば、香ばしさは出ますが、同時に水分は外へ出てしまう。整っていたバランスは、そこで崩れます。
つまり「焼く」という行為は、美味しくすることもできる一方で、壊してしまう可能性もある行為です。
だから私たちは、できるだけ壊さない方法を選びます。それが「沸かす」という考え方です。
お肉を変えようとするのではなく、お肉の中で起きていることに合わせる。
温度を上げすぎず、水分が外に逃げる手前で止める。
すると、お肉の中で水分が動き出し、旨味が全体に行き渡っていきます。
外に出すのではなく、中で巡らせる。それが「沸かす」です。
見た目の変化は小さいかもしれません。でも、食べたときの印象は大きく変わります。
やわらかさが自然で、旨味が広がり、最後まで軽く食べられる。
それは何かを足したからではなく、引き出しただけの美味しさです。
この考え方は、スープにも同じことが言えます。強く沸騰させて一気に旨味を取り出すのではなく、壊れない温度で、ゆっくりと引き出していく。ここでもやっていることは同じです。
無理に引き出すのではなく、出てくる状態をつくる。だから味は濃くても重くならない。
これは技術というより、素材との距離感の問題だと思っています。
近づきすぎてもいけないし、離れすぎてもいけない。
どこまで触れて、どこで止めるか。その見極めが「沸かす」です。
そしてもうひとつ、私たちが大切にしているのが、一頭の牛との向き合い方です。
いい部位だけを使うのではなく、一頭すべてをどう扱うか。
部位によって、状態も違えば、必要な温度も時間も違います。
だからこそ、すべてを同じように“焼く”のではなく、それぞれに合った“沸かし方”を考える。
それは料理というより、素材に合わせてこちらが変わる行為です。
「沸かす」という言葉には、人の気持ちを動かすという意味もあります。
私たちが目指しているのは、強い刺激で驚かせることではなく、食べたあとに、「あ、なんか違うな」とじわっと感じること。
その静かな変化が、結果として心を動かす。それもまた「沸かす」だと思っています。
「焼く」から「沸かす」へ。それは調理方法の違いではなく、素材との向き合い方を変えることです。
変えようとするのではなく、引き出す。加えるのではなく、整える。
その積み重ねの中に、本来の美味しさが現れてくると、私たちは考えています。

沸と言う字は氵(さんずい)つまりは水、そして弗(ふつ)は“止まらない”
“もうどうにも止まらない様”を表しています。
沸かすのは召し上がる皆さんの、絆や繋がりそれが止まらない(途切れない)ことも込めています。
家族で、友達で、商談でと大切な人との絆をも沸かして行こう、それでやがて世界を沸かして行こう!
と言うのが、私たちの“沸かす”と言うコンセプトです。
株式会社丸優
ブランド戦略室 室長
住井彩乃



