皆さん、エゾシカって、食べたことありますか?
奈良公園でお馴染みのシカさんを筆頭に、日本には数種類のシカが生息していますが、その中でも最大の亜種が北海道のエゾシカです。サイズ感は、小ぶりなウマくらい。その大きさからも、クセがあるとか、硬そうだとか、ちょっと野生的すぎるかも──なんて言われることもあるのが、エゾシカの肉。でも、私たちにとってエゾシカは「北海道の森を守る」ためには避けて通ることのできない「大切な存在」であり、そしてなにより「ものすごく美味しい食材」でもあるんです。
15年ほど前、東京・多摩川の河川敷で、一頭まるごとのエゾシカを使ったビリヤニパーティを開いたことがありました。炊きあがった瞬間、スパイスとエゾシカの香りが川風にのって広がり、集まった人たちの笑顔が一斉に花開いた。あの時、「エゾシカの美味しさを伝える道は、これだ」と感じたんです。
そのビリヤニを作ってくれたのが、いまやミシュランのビブグルマンにも選ばれた「ビリヤニ大澤」のシェフ、大澤孝将さん。このビリヤニプロジェクト、実は第一弾のイノシシビリヤニよりもずっと前の──あの日の多摩川のエゾシカビリヤニが原点だったんです。
北海道では、エゾシカによる農林被害が深刻です。増えすぎた個体を捕獲しなければ森が荒れ、農家さんの畑も守れません。だから、駆除します。でも、その命の多くが食べられずに捨てられている、という現実があります。
私たちは「捕る」だけではなく「活かす」ところまでを、当たり前のことにしたいと考えています。食べることで、森を守る──これなら、大自然から遠く離れた都市生活者の皆さんにも、自分ごととして参加してもらえます。そんな循環を作っていくために立ち上げたのが、今回の「エゾシカビリヤニ」プロジェクトでもあるんです。
エゾシカ肉は低脂肪、高タンパクで、鉄分も豊富。そして、スパイスとの相性が抜群です。
今回もまた大澤さんが十数種類のスパイスを調合し、肉の旨味と香りを最大限に引き出してくれました。
前回のイノシシビリヤニでは、炊飯器で簡単に作れる手軽さを重視しました。ただ「スパイスの香りが炊飯器に残る」という声もありました。そこで今回は、炊飯器はもちろんですが、家庭の鍋でも簡単に作れるようにレシピを最適化しています。
どちらでも簡単ですが──ぜひ一度、鍋で炊いてみてください。スパイスの香りがふわっと立ち上がり、エゾシカ肉の旨味がより引き立ちます。また炊飯器では実現しにくい香ばしいおこげにチャレンジするのも素敵です。コンロの前で、炊き上がりを待つ時間までがごちそうです。そして皆さんから「ウチの鍋でも失敗せずに美味しく炊けた!」という報告を寄せていただくと、たぶん大澤さんがニンマリします。
エゾシカ肉の加工は、北海道新冠町の「北海道食美樂」で行っています。地元のハンターが捕獲したエゾシカを現地で解体し、無駄なく使い切る。このプロジェクトは、地域の雇用を生み、若い世代が関われる〈新しいジビエの形〉でもあります。
インドでは、鹿は〈法(ダルマ)を聞く聖なる動物〉として大切にされています。日本では、森と人とのバランスを守る存在。文化は違っても、どちらも「自然と共に生きる知恵」を伝えてくれます。
15年前、多摩川で感じたあの香り、あの感動を、いま再び、多くの人に届けたい。エゾシカビリヤニを通して、自然と人の新しい関係を味わってもらえたら嬉しいです。
🦌 食べることで、森を守る。そのひと口が、次の森をつくります。
キットの中身と規定量の水を入れたら、ざっと混ぜて蓋をして、あとは火を点けるだけ! 沸騰したら、弱火で10分。その後蒸らしで10分。小ぶりな鍋で材料に厚みを持たせたほうが、炊き上がりのふっくら感も上がる気がします。写真の鍋で、20センチ径です。
私たちクイージは、ジビエ専門の肉屋です。
前置きが長くなってしまいましたが、私たち「株式会社クイージ」はジビエ、すなわち狩猟によって捕獲された野生の肉をメインに扱う食肉販売業者です。もともとは飲食店に向けた狩猟肉の卸販売として、ジビエの伝統があるフランス料理のレストランに国内産では最高レベルであろう3週間熟成のエゾシカなどを使っていただいていましたが、その後に新しい拠点を設けてイノシシも多く取り扱うようになり、並行して一般小売販売のオンラインストアにも力を入れてきました。
創業の当初はジビエ料理を出すレストランがまだまだ高級店に限られていたこともあり、もっとジビエの美味しさをを知ってもらいたいという思いから、本業のかたわらで(おそらく)世界初のエゾシカ専門カフェを営んだりもしていましたが、やがてジビエの普及が進み、カジュアルな飲食店のメニューでも見かけることが増えてきたのは、皆さまご存知の通りです。そんな中で私たちも、精肉の販売だけでなくハムやベーコン類から、缶詰やレトルト商品へと展開を広げてきました。
そんな私たちの自信作が、この「ビリヤニ大澤」監修「ジビエビリヤニシリーズ」です。第一弾のイノシシビリヤニでは、すでに開発し販売していた「イノシシ肉のスパイス煮込み」をベースにしたレシピとして、スパイスソースの開発で大澤さんに苦心していただいたわけですが、今回の「エゾシカビリヤニ」では、なんとこのためにエゾシカ肉を使い「シカ肉と香味野菜のトマト煮込み」を新規に開発しました。気合い、入ってます。
手作業の缶詰には、小ロットならではの強みがあります。
今回のエゾシカビリヤニでも、前回のイノシシビリヤニ同様に、ベースとなる肉は缶詰になっています。小さな小さな厨房で、エゾシカ肉を香味野菜とトマトでじっくり煮込み、家内制手工業よろしくひと缶ずつ手作業で充填し、巻締(缶に蓋を乗せて密封すること)をしています。大きな食品工場なら、ラインに並べられた空き缶にチューブから流し込むところを、大鍋からレードルで一杯ずつすくって入れているんです。
でも、このスタイルでないと、ゴロゴロとした塊肉を缶詰にすることはできません。具材をチューブの内径よりも小さく切りそろえないと、充填できないから。そこが私たちの強みです。だって、肉、やっぱり大きいほうが、うれしいでしょ? 野菜の甘みと、たっぷり使ったトマトの酸味がエゾシカ肉の旨みを引き立て、まろやかで奥行きのある味わいになっています。もちろん無添加、無着色で仕上げています。
そして前回の大澤さんのコメントにもあったように、密封された缶の中でコンフィのように加熱されることで仕上がる肉とスパイスの薫り高いマリアージュは、それを生肉から調理していたらどれほどの手間と時間になるのだろうか……という着地点。まあ「ビリヤニ大澤」では毎日の仕込みでそれ以上のことをしているわけですが、皆さんのためには私たちが缶詰とスパイスソースまで準備しておきますので、最後の仕上げのオイシイところだけ担当して、ビリヤニを楽しんでください!
現在の準備状況
エゾシカビリヤニキットの製造を行うのは、島根県美郷町にある弊社の美郷支店です。新しく開発を進めているエゾシカの缶詰、スパイスソースのテストが続いています。そしてほんの数日前、エゾシカの缶詰は〈香味野菜とトマトの煮込み〉として完成させることができました! パスタに合わせても、もちろん単品の料理として食べても美味しい、トマト煮込みの缶詰です。
第一弾のイノシシビリヤニキットと同じく、数種類のスパイスを米油でテンパリングしたスパイスソースと、単品でも成立する味の缶詰とのバランスで苦労しています。そんなわけで、最近のランチはエゾシカビリヤニとイノシシビリヤニが続いています。
リターンについて
もちろん「エゾシカビリヤニキット」を、リターン品としてお届けします! 基本キットは2人前、炊き上がりで約500グラムになります。
【エゾシカビリヤニキット】
・シカ肉と香味野菜のトマト煮込み(200グラム)1缶
エゾシカ肉を香味野菜とトマトでじっくり煮込んでいます。野菜の甘みとトマトの酸味がエゾシカ肉の旨みを引き立て、まろやかで奥行きのある味わいに仕上げています。無添加、無着色で、ひと缶ずつ手作業で調理、充填、巻締をしています。手作業だからこそ実現できる、ゴロっと入った食材の旨みを、ぜひお楽しみください。
・スパイスソース(42グラム)1袋
大澤シェフ監修のもと、10種類のスパイスと国産の米油を合わせ、香りを引き出すためにていねいにテンパリングしています。ビリヤニにふさわしい豊かな香りを立てるために、スパイスはフレッシュなものを、粗めに挽いたり、ホールで加えたり、それぞれ使い分けています。
・バスマティライス(150グラム)1袋
ビリヤニに欠かせないのは、なんといってもバスマティライス。使いやすい量として、1合分の小分けにしました。
なお、第一弾のイノシシビリヤニキットのセットもリターン品として揃えました。イノシシとエゾシカのジビエビリヤニ食べ比べもぜひ楽しんでください。
スケジュール
2025年11月27日 ── クラウドファンディング開始
2025年12月31日 ── クラウドファンディング終了
2026年1月中旬 ── リターン発送予定
なお、本プロジェクトはAll-In方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。プロジェクトが終了したのち、1月下旬ごろにご用意ができしだい、随時発送させていただきます。
「ビリヤニはインドで生まれ、やがて日本で発展した」
これは、いよいよ覚悟を決めて「ビリヤニ大澤」を立ち上げることになった大澤さんが語っていた〈夢〉です。このプロジェクトは私たちにとっても新しい挑戦ですが、この「ジビエビリヤニキット」が皆さまに喜ばれ、その先にまた違った具材でシリーズが続いていけば、大澤さんの夢の実現に一歩前進し、私たちの食の未来は、もっと楽しく、面白く、美味しく、そしてスパイシーになるんじゃないか、と考えています。
第二弾の「エゾシカビリヤニキット」もまた、パクチーやコーラ、お好みのライタなどを添えて、ぜひぜひお楽しみください。そして皆さまどうぞ、応援よろしくお願いいたします!
最新の活動報告
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なぜ“缶詰+スパイスソース+バスマティライス”のセットなのか?
2025/12/04 13:33こんにちは、石崎です。今日は、今回のビリヤニキットの「構成」に込めたこだわりを、少しお話しさせてください。今回のエゾシカビリヤニは、「いつでも炊きたての美味しさを味わってほしい」という想いから、あえて・エゾシカ缶詰・スパイスソース・バスマティライスという3つのパーツに分けています。なぜこんな手の込んだ形にしたのか?理由はとてもシンプルで、ビリヤニの本質は“炊きたての香り”だからです。(ここは、大澤シェフの受け売りです。耳にタコができるくらい聞かされました。)最近、ちょっとビリヤニはブームになっています。コンビニでもビリヤニ弁当は売っていますし、レトルトパウチのビリヤニもあります。それらも手軽で十分に美味しいのですが、本当に美味しいビリヤニは「鍋でも炊飯器でも、炊き上がり大事!フタを開けた瞬間の香り!!」が最大のポイントです。では、どうすれば誰でも失敗せずに、炊きたての香りを味わえるのか?最初に考えたのは、「しっかり味が付いたスパイシーなカレー煮込みの缶詰とお米さえあれば、ビリヤニができるのでは?」という案でした。けれど、それをやると……スパイスの一番大事な香りが、缶詰の中で飛んでしまう。そこがどうしても許せなかったんです。そこで、構造を見直しました。✔ スパイスは、スパイスのままテンパリングしてパウチ香りが飛ばず、そのまま閉じ込められる。✔ お肉は、スパイスと一緒にしっかり煮込んで「旨さをキープ」エゾシカのうま味は逃さず、お肉も崩れない。✔ 仕上げは“混ぜて炊くだけ”だから失敗しないし、時間もかかりすぎない。この3つパーツをバラバラで提供することで、家庭で再現しにくい「本格的な炊きたての香り」 を実現できました。ビリヤニは「カレーの炊き込みご飯」ですが、本当に大事なのはスパイスの香りを、いかに落とさず食卓に届けるかだと思っています。(耳にタコが......)だからこそ、この3点セットは多少面倒ですが必要不可欠でした。大手の食品会社はやらない、もしくはできない構成だと思います。「家で作るからこそ味わえる炊き立てビリヤニ、それもジビエ!」を届けたいと思っています。引き続きの応援、どうぞよろしくお願いします! もっと見る
クラファン開始パーティーを開きました
2025/11/30 13:35こんにちは、石崎です。エゾシカビリヤニのクラウドファンディング、いよいよスタートしました。公開のタイミングと合わせて、関係者向けの小さな開始パーティーを行いました。一般公開イベントではありませんでしたが、日頃から応援してくれているビリヤニ界隈やジビエ、ハンター界隈の方々にお越しいただき、鍋から立ちのぼるスパイスの香りを囲みながら、プロジェクトの背景や想いを共有しました。(懐かしのエゾシカフェルック)当日は、大澤さんはドバイ滞在中ということで会場には来られませんでしたが、なんと——ビデオレターで特別参加してくれました。エゾシカフェでの出会い、15年前の多摩川ビリヤニの話や、もちろん今回のエゾシカビリヤニのポイントを語ってくださって、会場からは「これ絶対美味しくなるね!」と声があがるほどでした。(このビデオレターは、後日あらためて公開します)この日は、炊飯器で炊いたものと、鍋で炊いたものの“食べ比べ”も実施。どちらもおいしいのですが、鍋で炊いたビリヤニは、なんと言っても——おこげの香ばしさが最高でした。スパイスと鹿肉の旨味が底にぎゅっと凝縮されて、参加者からも大好評。「これ簡単!家でもやりたい!」という声が多かったです。鍋炊きのコツやレシピについても、今後の活動報告で順次公開していきますね。おかげさまで公開直後から多くの支援をいただき、本当に励まされています。ここから年末まで、エゾシカビリヤニの魅力と、“食べることで森を守る”という取り組みの意義を丁寧に届けていきます。ぜひ引き続きの応援・シェアをよろしくお願いいたします。 もっと見る




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