2016年の春、第1回のWarmBlueKurumeがどんな様子だったか、皆さん知っていますか?最初は、ほんの数人の仲間が集まって始めた、手作りの小さなイベントでした。大きなライトも、花火もありませんでした。でも、そこには「この街を変えたい」という熱い想いだけがありました。それから1年、また1年と続けていくうちに、賛同してくれる仲間が増えていきました。西鉄久留米駅が青くなり、やがて巨大な市役所の庁舎が青く染まるようになりました。そして、夜空に打ち上がる「青い花火」。10年前の私が見たら、きっと腰を抜かすほど驚くでしょう。何より嬉しい変化は、街の皆さんの反応です。「今年も青くなるんだね」「楽しみにしてるよ」という声。学校の先生が授業で話してくれたり、お店の人が青いリボンを飾ってくれたり。10年という歳月をかけて、久留米の土壌に「理解という名の種」がしっかりと根付き、芽吹いてきたことを、写真を見返すたびに実感しています。
「社会モデル」の考え方を一歩進めると、「合理的配慮(ごうりてきはいりょ)」という言葉にたどり着きます。少し難しい言葉ですが、中身はとてもシンプルです。例えば、背が高い人と低い人が同じ高さの壁の向こう側を見ようとしたら、背の低い人には「踏み台」が必要ですよね?この「踏み台」を用意することが、合理的配慮です。自閉症の人たちにとっても、生活の中に踏み台が必要な場面があります。 ・大きな音が苦手な人に、耳を保護する「イヤーマフ」の使用を認める。 ・言葉だけの説明が分かりにくい人に、写真やイラストを使って伝える。 ・パニックになりそうな時に、一人で落ち着ける静かな場所を用意する。これらは「その人だけズルイ」といった特別扱いではありません。みんなと同じスタートラインに立って、同じように活動できるようにするための「工夫」や「調整」なのです。私たちが目指すのは、4月2日のイベントの日だけでなく、365日いつでも久留米の街に、こうした「優しさの工夫」が当たり前にある未来です。
今回のクラウドファンディングでお返し(リターン)としてお届けする品物は、私たちが運営する事業所「nucca(ヌッカ)」のメンバーが作っています。nuccaで活動するアーティストたちの創作風景を見ていると、驚かされることばかりです。下書きもせずに迷いなく筆を動かす人、独特の色彩感覚で「青」を何層にも重ねていく人、一織りごとに表情が変わる「さをり織り」に没頭する人。彼らの中には、言葉で自分の気持ちを伝えることが得意ではない人もいます。でも、作品を通じてなら、誰よりも豊かに、力強く自分の想いを表現することができます。これらは「障害があるから応援のために買ったもの」ではなく、一人の表現者が生み出した「世界に一つだけの素晴らしいアート」です。リターンを手にする皆さまには、ぜひその作品に触れて、彼らのエネルギーを肌で感じてほしいと思います。彼らの才能が、このプロジェクトを通じて多くの人に伝わっていくことが、私たちの大きな喜びです。
自閉症の正式な名前は「自閉スペクトラム症(ASD)」といいます。この「スペクトラム」という言葉、聞き慣れないかもしれませんが、実はとても素敵な考え方なんです。「スペクトラム」を日本語に訳すと「連続体」という意味になります。一番分かりやすい例えは「虹」です。虹にはたくさんの色がありますが、どこからが赤で、どこからが黄色か、はっきりとした境目はありませんよね?色が少しずつ変化しながらつながっています。自閉症の特性も、これと同じです。「ここからが障害がある人で、ここからは普通の人」という明確な線引きはありません。誰にでも「一つのことに熱中しすぎる」「予定が変わるとイライラする」「人の気持ちを想像するのが少し苦手」といった特性は、多かれ少なかれあるはずです。私たちはみんな、この「特性のグラデーション」の中に生きています。自分と全く違う「特別な誰か」のことではなく、自分の中にもある特性、あるいは隣の友達にもある個性のこととして捉えてみてください。そう考えるだけで、世界の見え方は少しずつ優しくなっていくはずです。
4月2日、世界中の有名な建物が「青色」にライトアップされます。なぜ他の色ではなく、青なのでしょうか?自閉症のシンボルカラーである「青」には、深い意味が込められています。青は、広大な海や空を連想させる「癒し」の色であり、「希望」や「穏やかさ」を表す色でもあります。自閉症の人たちは、とても純粋で鋭い感性を持っている一方で、光や音などの刺激にとても敏感だったり、急な予定変更に強い不安を感じてしまったりすることがあります。そんな彼らにとって、青色は心を落ち着かせてくれる大切な色なのです。私たちが久留米の街を青く染めるのは、世界中の人たちと手をつなぎ、「私たちはあなたのことをもっと理解したいと思っています」「あなたは決して一人じゃないよ」というメッセージを届けるためです。夜空に咲く青い花火も、ただ綺麗だから上げるわけではありません。その一つひとつの光が、誰かの不安を吹き飛ばし、心に安心を届ける「癒しの光」になることを願っています。




