本プロジェクトの目的は、大きく分けて次の2点に集約されます。 1. 若者に「能登の未来に夢を持ってもらいたい」 2. その「夢を抱き続けてほしい」 能登地方の図1. 能登の未来に夢を持つために:世界目線でのアプローチ若者が能登の未来に可能性を感じるためには、まず「外からの目線」で能登の価値を再発見することが重要だと考えました。そこで、日本と縁のなかった海外(アメリカなど)の若者世代に能登の魅力を知ってもらい、建築や都市計画の視点から未来を描いてもらう試みを始めました。これが、USC(南カリフォルニア大学)建築学部での「能登復興計画講座」の始まりです。学生たちが描いた未来の設計図に対し、日本の防災・都市計画の世界的権威からフィードバックをいただき、GIS(地理情報システム)や3D技術を用いて、長年生き続ける現実的な計画へと吟味を重ねました。この分析・評価には、NPO法人Rise、プリツカー賞受賞のアメリカの設計事務所Morphosis、そして能登の現地の方々が深く関わっています。USC学生によるデザインの提案2. 夢を抱き続けるために:世界基準の技術を若者へ夢を形にするには、それを自分の課題として消化する必要があります。能登の若者が将来世界で活躍し、いつか能登に戻って自らの手で未来を築けるよう、世界に通用する最新・最高のIT技術を届ける活動を行ってきました。この1年間、NPO法人RiseやEsriジャパン様が中心となり、輪島高校にてGIS技術の講習会を継続して開催しています。輪島高校でのGIS/IT講習会の様子「能登プロジェクト Version 2」への挑戦と、クラウドファンディングのお願いこれまでの復興計画を一歩進め、被災した若者たちが未来に夢を持ち続けられるよう、「世界トップクラスの人材と学びの場」を提供すること。これこそが、能登プロジェクトの本質です。Morphosisのオフィスの様子現地での反響も非常に大きく、昨年に引き続き、今年もUSCでの復興講座や輪島高校でのIT講習会を継続する「能登プロジェクト Version 2」を始動させました。USCでの能登復興計画・設計講座の様子しかし、これまではYi教授やNPO法人Riseメンバーが私財を投じ、完全なボランティアで運営してきたのが実情です。個人の資金や時間でカバーできる活動にはどうしても限界があり、現在の形で継続できるのは「あと2年が限界」というのが正直なところです。これまでに築き上げた世界とのネットワーク、そして何より能登の若者たちの学びの機会をここで途絶えさせるわけにはいきません。活動を継続し、さらに前進させるため、どうか皆様の温かいご支援をお願いいたします。
3)NPO法人Riseについて 公式ウェブサイト: NPO法人Rise NPO法人Riseは、日本の思春期世代が自らの「可能性」に気づき、大きな「夢」を抱き、「世界」に翔ける人に成長できるように、IT技術の促進を通して様々な活動を行っています。① 防災・IT分野の第一人者による確かな信頼性と実績私どもの団体は、世界の第一線で培った豊富な経験を持つメンバーで構成されています。 理事長:林 春男(京都大学名誉教授) 国立研究開発法人 防災科学技術研究所(防災科研)の前理事長であり、これまでの防災への貢献から「瑞宝中綬章」を受章しています。瑞宝中綬章とは、国や地方公共団体の公務、または教育や研究、医療などの公共的業務に長年にわたり従事し、顕著な功績を挙げた人物に授与される日本の勲章で、旭日章と並ぶ主要な勲章の一つです。詳しくは、内閣府の瑞宝中綬章に関するページをご覧ください。 瑞宝中綬章 経験豊かな理事メンバー: 雑誌「GISネクスト」の編集長をはじめ、防災・防犯分野でGIS(地理情報システム)やIT技術を駆使してきた専門家が集結しています。 【これまでの具体的な実績】 私たちはこれまで、防災分野において「被害認定調査アプリ」や「り災証明書発行システム」などの開発・実用化を行ってきました(その後、NTT東日本様やEsriジャパン様を通じて全国約400自治体へ導入されています)。これにより、被災者への支援と復興をより早く進めるための基盤づくりをサポートしてまいりました。② 現在展開している3つの主要活動現在、私たちは以下の3つの柱を中心に、能登の復興と次世代の育成を同時に行うプロジェクトを推進しています。 1) IT技術の習得と問題解決能力の育成: 輪島高校でのGIS(地理情報システム)講習会などを実施しています。 能登のGISレイヤー例 2) 世界の第一線で活躍する人材との交流・協働: プリツカー賞受賞設計事務所(MORPHOSIS)による講演会や、防災分野の第一人者と輪島市役所職員との協議などを開催しています。 3) 世界へ向けた提案の場づくり(USCとの連携): 被災地の思春期世代が、直面する課題を見出し、新たな解決策を世界に提案できるよう、米国南カリフォルニア大学(USC)において「能登復興計画・設計」の講座を開設しています。 ③ 私たちの想い:世界の最先端にある「知恵」を次世代へ今後もこのような活動を通して、日本の思春期世代が「自信」を持って「世界」で活躍する人材として成長し、ひいては未来の「日本」がより良い国になるよう、私ども中高年が世界の第一線で培った豊富な経験や繋がり(内なる資産)を若者たちに引き継ぎたいと強く願っています。世界の最先端を行く人々の「知恵」「思い」「考え」「知識」「経験」を次世代に残すため、皆様のあたたかいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
(2)Yi教授とプリツカー建築賞(The Pritzker Architecture Prize)について本能登プロジェクトには、世界の建築界における実質的な最高権威であり「建築界のノーベル賞」と讃えられるプリツカー建築賞を受賞したトム・メイン氏が設立した、世界的な建築設計事務所MORPHOSISの現最高経営者(CEO)であり、USC建築学部の教授でもあるYi教授が深く関わっています。プリツカー賞受賞建築家トム・メイン氏世界各地の被災地支援で圧倒的な実績を持つYi教授の世界最先端の知見と志が、能登の未来を創る大きな力となっています。【解説】建築界のノーベル賞「プリツカー賞」とは?プリツカー賞(1979年にハイアット財団によって設立)の受賞は、その建築家が「世界のマスター(巨匠)」として歴史に名を刻んだことを意味します。彼らの手がけるプロジェクトや発言は、世界中の都市計画、環境政策、そして次世代の建築教育に巨大な影響を与えます。選考において、単に美しい建物を建てたことへの表彰にとどまらない「3つの凄さ」があります。 圧倒的な希少性: 原則として「年にわずか1人(または1組)」しか選ばれない極めて狭き門です。 「人類への貢献」を審査: 「独創的なデザイン」だけでなく、「その建築が社会をどう豊かにしたか」「災害復興やコミュニティの再生にどう寄与したか」という深い思想と社会的責任が厳格に審査されます。 圧倒的な影響力: 被災地支援や地域活性化の現場においても、彼らのデザインや提言は世界的な注目を集め、多くの人々を動かす原動力となります。 ◆ 日米のプリツカー賞受賞者アメリカと日本は、これまでに多くの受賞者を輩出している「建築超大国」です。今回のプロジェクトは、この日米のトップ建築の知見が交差する最前線でもあります。 アメリカの主な受賞者(計8名): フィリップ・ジョンソン(1979年・第1回)/ ケヴィン・ローチ(1982年)/ I. M. ペイ(1983年)/ リチャード・マイヤー(1984年)/ ゴードン・バンシャフト(1988年)/ フランク・ゲーリー(1989年・USC卒)/ ロバート・ヴェンチューリ(1991年)/ トム・メイン(2005年・USC卒/MORPHOSIS創設者) 日本の主な受賞者(計8組・9名): 丹下健三(1987年)/ 槇文彦(1993年)/ 安藤忠雄(1995年)/ 妹島和世&西沢立衛[SANAA](2010年)/ 伊東豊雄(2013年)/ 坂茂(2014年)/ 磯崎新(2019年)/ 山本理顕(2024年) 日本の建築家は「自然との共生」「災害時の社会貢献」「人と人を繋ぐコミュニティの創出」といった社会的価値を提示し続けているため、世界から非常に高いリスペクトを受けています。
1)USC(南カリフォルニア大学)建築学部について公式ウェブサイト: USC School of ArchitectureUSC(南カリフォルニア大学)キャンパスUSC(南カリフォルニア大学)の建築学部は、アメリカ国内はもちろん、世界の建築界において極めて異彩を放つ、名門中の名門です。① プリツカー賞の「世界の2大巨匠」を輩出した凄まじい実績アメリカのプリツカー賞受賞者8名のうち、現代建築に最も革命を起こしたと言われる2人の大巨匠が、USC建築学部の卒業生(アラムナイ)です。 フランク・ゲーリー氏(1954年卒:ビルバオ・グッゲンハイム美術館など、建築をアートに変えた天才) トム・メイン氏(1968年卒:革新的な構造で知られる建築集団モーフォシスの主宰) 世界に星の数ほどある建築学校の中で、プリツカー賞受賞者を複数名輩出している大学はごくわずかです。巨匠たちのDNAが今も脈々と受け継がれています。② ロサンゼルスという「建築の実験場」が生んだ先進性USCが位置するロサンゼルス(LA)は、建築の歴史において「新しい挑戦が最も許されてきた実験都市」です。 1950年代のミッドセンチュリー・モダン(ケース・スタディ・ハウスなど)から現代のデジタル建築まで、LAの挑戦的な建築ムーブメントの多くは、USCの教員や学生たちが牽引してきました。都市そのものをラボ(研究室)として捉え、気候変動や住宅問題、最先端のデジタルテクノロジーを取り入れた「未来の建築」を学べる環境が整っています。USC(南カリフォルニア大学)の校章③ 能登プロジェクトに繋がる「社会貢献・人道支援」への高い志USC建築学部の最大の強みであり、今回のYi教授と学生たちの行動の根底にあるのが、「建築を通じて、いかに社会やコミュニティ、災害からの復興に貢献するか」という強い社会的責任の精神です。彼らの教育は、単に「見た目が美しいお洒落な建物をデザインする」ことにとどまりません。 災害が起きたとき、建築家として何ができるか? 傷ついた地域コミュニティを、建築やアートでどう再生できるか? こうしたリアルな社会課題に対し、泥臭く現場(フィールド)に飛び込んで解決策を模索する実学のスピリットを徹底的に叩き込まれます。今回、Yi教授とUSCの学生たちが能登の被災地へ赴いて高校生や地域の方々と「未来の復興」について深く対話したという行動は、まさに「世界最高峰の技術と、社会に尽くす高い志」を併せ持つUSCの伝統的な精神(トロイアン・スピリット)そのものです。
さらに能登では、地域の文化やコミュニティに根付いた活動についても学びました。輪島キリモトさんをご訪問させていただき、輪島塗の歴史や素晴らしい技術について直接ご説明を受けました。また、Art Front Galleryさんのご案内のもと、能登に設置されているアート作品を視察し、地域コミュニティに根付いた活動がいかに大切かを肌で感じることができました。 珠洲市の金田副市長、そしてArt Front Galleryの北川フラムさんからは、災害からの地域活性化や「奥能登珠洲ヤッサープロジェクト」について深く学ぶことができました。お忙しい中ご対応いただいた皆様、本当にありがとうございました。塩田千春さんの作品<時を運ぶ船>(奥能登国際芸術祭、珠洲市)で、Art Front Gallery・スタッフさんとの記念撮影■ 皆様への感謝 今回、このような多岐にわたる素晴らしい活動と学びを得ることができたのも、ひとえに皆様からのご支援のおかげです。チーム一同、心より感謝申し上げます。今回の日本訪問で得た貴重な経験と繋がりを、今後の活動にしっかりと活かしてまいります。 引き続き、温かい応援をどうぞよろしくお願いいたします!





