ウチノ食堂藤蔵の野呂巧です。僕が住む町は、新潟市内野町。ここには2016年までユニークな本屋“ツルハシブックス”がありました。県内の大学生が店員をしながら、同店の一つのミッション“地域の中高生に本を届ける”ことを通し、全国から多様な人が集い、人同士の関係性とカルチャーを深められる場所でした。(ツルハシブックスの詳しい話は他の寄稿に譲るとします。)待ち合わせをしているわけでもなく、そこに行けば誰か好きな人がいる場所、何かを生み出すカルチャーに包まれている場所、そんな“居心地の良さ”と“偶然性”がある場が 、少なくとも自分にとっては必要な存在でした。そんな本屋が閉店する。という出来事。好きな人たちが集まる場所がなくなるという出来事。それは大好きなバンドが解散するようなことだったように思います。・・・・・「バンドを組み直すように本屋を始める。」2019年8月4日“APARTMENT BOOKS”という本屋を始めました。各本棚を部屋に見立て、5人の書店主が選書する、書店主の想い住まう本屋です。メンバーは選書担当が5人とデザイン担当が1人。場所は内野町の“ウチノ食堂”という飲食店の壁を一つ、間借りする形です。《選書メンバー》・かえるライブラリー(新刊・古本)・古本詩人ゆよん堂(古本・アート・詩集)・古本雑貨べべる(古本・雑貨)・Books風見鶏(新刊)・APARTMENT BOOKS (ZINE・リトルプレス)なぜ、こんな本が売れない時代に“本”なのか?“本”とはなんなのか?“本を届ける”ってどんなことなのか?まだよくわからないけれど、僕の中の1つの答えは『本とは、作り手その人の“声”』だということです。きっと答えはたくさんあります。そして、その答えはこれからここに来る人と一緒に考えられたら良いと思っています。APARTMENT BOOKSのメンバーは、立場は違えどツルハシブックスに出入りしていた人たちです。『それぞれができることを持ち寄って、続けられるかたちを考えながら進めていく。』これって、なんだかバンドっぽくないですか?本を売るための本屋は生き残れない時代なのかもしれない。でも、本やその中の言葉、声を必要としている人はいるはずです。これを読んでいるあなたも、「バンド組もうぜ」みたいに「本屋やろうぜ」と言ってみませんか?



