出演者紹介5「結婚して子供が生まれて。子供が不自由なく暮らしていけるように。一個一個牡蠣をつくっていく」TRITON PROJECTを立ち上げてから、常に先頭を走り続ける若者がいます。大野さんは、いつか独立して自分でつくったものを出荷することを目標に、2016年に石巻にやって来ました。その大きな夢を叶えるために可能性のある浜を探し回ったのが、宮城県漁協石巻地区支所の職員・三浦さんです。ときに兄のように彼を叱咤し、支え続けてきました。現在、大野さんは浜で一軒だけとなった牡蠣漁師・亀山さんのもとで、3年独立型の補助を受けながら就業しています。そんな大野さんは大の牡蠣好き。いくらでも食べられるそうですが、自分が育てた牡蠣となればなおのこと。でも今は誰よりも先に食べてもらいたいひとがいます。大野さんは石巻で結婚をしました。奥様も大の牡蠣好きで、「おいしい」と食べる姿を見ることが、何よりの楽しみだそうです。一昨年には可愛らしい女の子が生まれ、パパになりました。ひとつ、またひとつと守るものが増えた今、もうあとに引くことはできません。昨年購入した船外機には、奥様自ら筆を取って名前を入れました。たくさんのひとの期待を背に、大野さんは今日も先頭を走り続けます。関連記事:一人前の漁師を目指して
石巻市の天候は、雨。 静かに、あの時間を迎えようとしています。すこし、最近のお話をしたいと思います。私たちFISHERMAN JAPANは、若い世代の漁師・魚屋、そして「よそ者」によって2014年に結成されました。出会ったきっかけとしては、やはり震災復旧です。「よそ者」の中には、ボランティアをきっかけに、石巻に移住した女性もいますし、大手企業の職員もいます。漁師達の声に心動かされ、集いました。震災前から漁業者の高齢化・担い手不足が問題視されていたのですが、今回の震災によって、三陸地方の漁業は大きな打撃を受けました。私たちが本部を構える石巻市だけでも、震災後、漁業者は37パーセント減少と言われています。今後、新規漁業者が漁業権を取得を目指したところで、浜に人が住めなくなってしまったという問題も抱えています。たくさんの課題が山積ではありますが、みんなでチームになって、未来の水産業をつくろうと取り組んでる最中です。たとえば、新しい水産業の担い手を呼び込む「TRITON PROJECT」。漁師の家の子ではない「よそ者」が約30人も漁師になりたいと言ってきてくれました。彼らは震災復旧のために来たのではありませんが少なからず、何かしらの思い入れを持ってやってきてくれていると思います。しかし、それぐらいの気持ちでいいのだと思っています。「漁師を目指したい」「この街だったら漁師になれる」そんな希望を持ってやってくる若者がいること、それを精一杯受け入れようとする親方がいること、それを見守る地域の方がいること。このこと自体が、震災で傷ついた街の希望そのものだと感じているからです。水産業をカラフルにする。それは、いろんな人が集まって、いままで想像もしなかった世界をつくること。わたしたちは、ひとりではどうにもならなくて諦めそうになる気持ちが、同じ想いをもつ仲間がいると知ることで、動きだす勇気や、辞めない決心に変わることを知っています。これからもチーム一丸となって、日本の水産業を変える挑戦ー革命ーを起こしていきます。
出演者紹介4「漁師やりたいな、漁師やりたいなって、いつまでも思い浮かんでくるんで。やるんだったら今しかない」今回の動画で、誰よりも「漁師になりたい」という思いを語ってくれたのが上村さんです。40歳を機に長年の夢を叶えるべくやって来ました。親方の阿部さんは、その地域で誰よりも早く担い手募集を行っていましたが、サラリーマンとして20年近いキャリアのある上村さんを迎え入れることに1ヶ月以上悩み続けました。漁師として一人前になるには、最低でも10年はかかるという世界です。このまま安定した職に就いていたほうが、彼のためになるのではないか……。悩み続けた阿部さんを動かしたのは、「漁師になりたい」という上村さんのまっすぐな想いでした。まだ薄暗い朝。浜にはいつも、誰よりも早くやって来て仕事の準備をする上村さんの姿があります。動画の撮影中、「ここは最高の海だよ」と、親方の阿部さんと同じことを言う場面もありました。40歳といえば一般的には守りに入る時期なのかもしれません。しかし、彼のように新しい世界に飛び込んだ人もいます。彼がつくりだす新しい漁業の世界は、どんな色になるのでしょうか。
出演者紹介3「自分で魚屋をやりたいと。何も迷うことなく、頑張れ、応援するよって」(親方/大森圭)水産仲卸業を営む親方の大森さんは、その目利きと技、豊富な知識を駆使し、量より質にこだわった漁業を目指しています。彼のもとに弟子入りした吉岡さんは、水産学科のある大学を卒業後、スーパーの鮮魚コーナーで働いていました。しかし、魚と向き合えば向き合うほど、漁業への思いは募るばかり。はじめは漁師を志してやって来ましたが、大森さんの仕事に感銘を受け、弟子入りを志願しました。動画の中でも、大森さんにジッと視線を向ける姿が登場しますが、常にメモを持ち歩き、学んだことをノートにびっしり綴る勉強熱心な若者です。魚の扱いに人一倍厳しい大森さんも、「捌き方は自分よりもきれい」と一目を置く存在。最近は、自分たちが手がけた魚を扱う鮨屋に一緒に食べに行くこともあるそうです。水産業界は、いくつもの歯車が噛み合って動いています。いつか一人前の漁師になった仲間が獲った魚を、吉岡さんが手をかけ、食卓に届ける……そんな夢物語が現実になるのも、そう遠い日ではないかもしれません。
出演者紹介2「かっこよく言えば家族。なくてはならない存在」(親方/千葉勝)いつか若いひとと働いてみたい。そんな思いを抱いていた親方の千葉さんのもとに流星の如く現れたのが、新人漁師の中でも最も遠い地域(岡山県)からやって来た磯島さんです。千葉さんから見た第一印象は、もって1週間。大丈夫かな?と最初は不安もありましたが、いきいきと船の上で仕事をする姿を見て、この子は大丈夫と確信したそうです。磯島さんは、素直で爽やかな雰囲気とは対照的に、負けず嫌いな一面があります。新人漁師が覚えるまでに時間がかかるロープワークも自主練を重ね、あっという間に覚えて周囲を驚かせました。動画では、秋口に松島で行なわれる作業の様子が映し出されていますが、美しい風景に負けないくらい楽しそうな2人の表情が印象的なシーンです。今では千葉家全員、磯島さんのことを「ゆう」「ゆうくん」と呼びます。そのやわらかな響きには、本当の家族のような温かいぬくもりを感じることができます。関連記事:知りたい!海苔養殖のすべて